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アノス達はハーサバルのギルド会館で依頼板を眺めていた
喧騒と困惑の声、子供達の笑い声
何故ここまで騒がしいのか。それはハーサバルの漁獲祭が間近に迫っていたからだ───その年の巨大遊泳魚を釣り上げ解体したり、稚魚の放流などをする祭り
子供達はそれらを喜んで待っているのだがふと聞こえてきた困惑の声の内容は子供達を落胆させかねない内容だった
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「ということなんです」
「なるほど」
ハーサバルの受付嬢と話すアノスは現在ハーサバルで起きていることを断片的に理解した。アノスはギルドを出ると食事処でゴウマンとリリアナ達に合流した
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「生魚って正気かと思いましたが
案外美味しいもんなんですね」
「俺はダメだわ、せめて火を通した奴なら」
「アノスさん遅いですね」
皆が食卓に着き各々食事をする。皆が食事を続ける中、ゴウマンとアノス、リリアナは一時の離席をしていた
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『ハーサバル漁獲祭の怪奇現象』
これらの準備は終わっていた
後は超凪と言われる漁獲に最も適した海の状態を待つばかりとなっていた
しかし、それを何ヶ月も日にちが過ぎてしまい、外界とのズレが生まれたことで現在ハーサバルの漁獲祭は軽い混乱に見舞われていた
数百年と続いたお祭りの中でこんなことは一度もなかったのである
『バグ・軽度』───『物理的な時間のズレ』
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「ハーサバルで起きてることを
まとめた場合こうなりますね」
「変な話だな」
「ギルドの依頼にも凪が去って
時化に近づいているみたいで
沖に出るのに同行が必要になってるみたい」
テラスで話す3人は情報をすり合わせていた
「なぁバグってのは一体なんなんだ?」
ゴウマンがふと感じた違和感を口にしたがそれを詳しく説明する手札をリリアナ、アノスは持ち合わせていなかった
「僕たちも分かってないんですが
危険な物なのは確かです」
「まぁ、あんな黒い壁を見せられたらな」
ゴウマンが無理やり自体を飲み込むと、アノスは話をまとめ始めた
「今後の方針はハーサバルの漁獲祭を
手伝うでよろしいでしょうか?」
「はい」
「…おう」
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「アノス、さん」
「はい」
ゴウマンさんに呼び止められた
「仲間のこと助かった」
「ご無事で何よりです」
「それと、なんだ…」
言葉に詰まっているゴウマンさんはどこか気まずそうだ
「すまなかった」
「?」
「ギルドに認められた以上
俺が間違っていた」
「なんのことでしょう?」
なんとも微妙な顔をしている
「あん時は女侍らせるのがどうしても
気になってな」
「…」
確かに不思議な話だ。ティナは剣、リリアナは荷物持ち、シルビアさんは魔法使い、僕は斥候で編成には問題はなかった筈だ。いや問題はあったか
「確かに等級が微妙に低かったですね
体外的に見れば自殺行為と
見えたかも知れません」
「…(なんか微妙に噛み合ってねぇな)」
「?」
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「ゴウマンさん!ここの米酒美味いっすよ」
「お前な、これから依頼だってのに
酔っ払ってどうすんだ」
「すんませんゴウマンさん
エノコロの野郎止めたんですが」
「依頼は午後からなので
問題ないと思いますよ」
「すまねぇアノスさん」
アノスとゴウマンが世間話を終え、皆の待つ食事処に戻るとエノコロというゴウマンの仲間が酒で出来上がっていた
「何ゴウマン、アノスさんに
さんなんてつけちゃって」
「もう等級で負けてんだ
ロンも認めてるなら俺はそれに
反対なんてできねぇよ」
「あっそ」
◆◇◆◇◆
「それにしてもジルバレーの第二皇女を
一眼お目に掛かれるとはな」
出来上がっていたエノコロ───ゴウマンの仲間のひとりが徐に立ち上がった
「聖女様、素敵な方だよな!
まるで伝承の光の精霊のような美しさ!
そして、各地に赴き問題を解決する
その手腕!人気によるその影響力は
あのシルバーブラッド様にも引けを取らない
いずれは王位を継ぐ器として完璧だ」
「凄いですよね」
「またお会いできたら光栄だ
あぁ、あの素敵な橙が掛かった金髪
例えるならそう、夕焼けの小麦畑」
「また、始まった」
エノコロの口上にジギルというゴウマンのもうひとりの仲間が頭を抱えた
「この語り方、吟遊詩人なんですか?」
「よく分かるっすね
俺ら転身組なんすよ」
『転身組』───『主職業』を『冒険者』とした者のこと
「もとは製薬業をしてたんですがね
食うに困ってゴウマンさんに拾われて」
◆◇◆◇◆
食事が終わり、日がやや傾いた頃に一度解散する一行エノコロさんがジギルさんに連れられて千鳥足なのを見送りつつ宿屋へと戻ることにした
「凄い方達でしたね」
「そうだね、水薬について
あそこまで理解が深い
冒険者はそういないと思うよ」
「元吟遊詩人のあの方も
歌が上手でしたね」
「世知辛いですね。上手いだけじゃ
やっていけないって」
バグがもたらした影響は色々なところで跡を残している。領域の変化、職業選択、人々の心の中、大小限らず刻まれているそれが消えるように努める
それがアーロンの剣に戻った僕がやるべきなさことであり、僕がしたいことだ




