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◆◇◆◇◆


「これは…」


 フランは到着早々目を疑うこととなる。手付かずの迷宮出土品と核を潰され崩壊した迷宮。加えて死体の広がる平原、その数後に2万と5303と判明


『鏖殺』───これ程のことをたった一人の鉄等級がやったとは到底信じられるわけもなかった。しかし、先行部隊には『アノス』ただひとりが独断専行したことを『フローター』であるリリアナより聞いていることからそう判断せざるを得なかった


「おい!こいつ」


「間違いない、行方不明になってた」


「ひでぇ」


「ひとり足りないな」


 アンデッド騒動が実しやかに囁かれていた時期に失踪していた一団の死体が見つかった。それはアンデッドの第一被害者だった


「アノスさん…」


 フランは僅かばかりの希望である『ティナ』の存在を思い浮かべて心の中で祈りを込めた。氷の気配が一切感じられない戦闘後にティナの関与がないことは薄々気がついているものの祈らなければならなかった


「どうか無事でいて下さい」


◆◇◆◇◆


「…」


 アノスはサイクロプスの目の玉から這い出るとため息を吐きながら地面に座り込んだ。如何せん数が多いこと多いこと


「アーバレストに近づけない」


 鞄の中から水筒を取り出し、口の中を濯ぐと幾分か気持ちが楽になるもののどうにも煮え切らない現状に苛立ちを募らせていた


「…よいしょっと」


 数十秒の休憩の後立ち上がり、腰を鳴らすと歩き始めた


◆◇◆◇◆


「受付嬢さん、迷宮の攻略完了しました」


「え?分かりました。早いですね」


「それが」


 ギルド到着後、F迷宮対策本部設置、アーロン領並びにアーバレスト領の各地に広がりを見せる迷宮攻略を開始


 開始より十数分にて10の迷宮の攻略を果たした。それというのもAやB級の中でも浅い迷宮の攻略にはそれ程の労力が掛からなかったこともあっての成果であった


「この調子が続けばアーバレスト領まで

 直ぐですね受付嬢さん」


「そうだといいんですが」


 冒険者の勢いがこのまま続けば今日中にでもアーバレスト領まで到着することができると思われる。しかし『距離の離れた場所』であるためこの勢いである。最速、最高潮からこれより失速することは明らかだった


 物資輸送や疲労度の影響を鑑みるフランはこの事態に喜びを出すことはなかった


◆◇◆◇◆


「…ック!」


 F迷宮対策本部設置と同時刻、アノスは苦戦を強いられていた。推定D級化け物『朽ちた聖騎士』───信仰に至るまでの活躍を見せたものが非業の死を遂げた後にアンデッドとして蘇った身姿


「…」


【Optimize】を発動させようとする隙を的確に突いてくる。加えてその太刀筋の鋭さによりアノスは物理的な劣勢に立たされていた


「…ッ」

 

 騎士の猛攻を交わす、否す内に片手斧にヒビが入る。聖騎士の続く一撃で斧が砕かれアノスの頸椎に迫る剣が薄皮一枚に触れた


「だぁあ!!」


『捨て身』───剣を鷲掴みにし、流れる血を意に返すことなく騎士を腕力任せに押し続け、後方に吹き飛ばす。騎士が立ち上がろうとする頭頂部目掛けアノスは鞄を振りかぶり叩きつけた


 騎士は幾たびにも続く叩き潰しにより鎧が軋む音と共に『ぐしゃり』と鈍い音が平原に響いた


「【エレメント】【Optimize】」


 鞄を背負い直し、動かなくなった騎士に【不死】解除を施すと先程まで騎士を包んでいた黒い影が解けて行きただの死体へと戻った


「…はぁ」


『回復魔法』による傷口の補強、修復をするアノスは疲労困憊でうつらうつらとし始めていた。高密度の連続戦闘はどれ程優れた個人であろうとも数に負ける


「疲れた」


 パーティーの利点を痛感しつつ、アノスは体力の回復に注力を始めていた。アーバレスト領までの距離はまだ開いている

 

◆◇◆◇◆


「…」


「救護員!」


「負傷者多数」


 F迷宮対策本部もまた苦戦を強いられていた。A級はなくなり、B級とC級迷宮が並ぶようになるとその深さは目に見えて深くなっていた


 そして出現する化け物もまた強くなり、その危険度は跳ね上がりを見せていたアーバレスト領までの到着推定は1日から3日半に激減した


 負傷者が増え迷宮攻略隊の人数と攻略速度の維持ができなくなったことも原因として挙げられる


「援軍第二陣は不明、このままでは

 領域の安否確認も不可能

 切り捨てることも…」


『領域破棄』───各領域への援軍を強行し、各領域の防衛が疎かになっては元も子もない。しからば1を捨て全を救うこともまた戦略となる


 それは『見捨てる』選択である


「どうすれば」


「救援部隊到着」


「え?」


 フランが苦渋の決断をしようとしたその時、老人率いる救援部隊が救護に参加した


「あ、ありがとうございます」


 フランはその名も知らない老人に挨拶をした


「いえいえ、これはゴートン様のお達しです

 それに」


「それに?」


『それは』───情けは人の為ならず、いつかの村娘、アンナの住む村からの救援部隊だった


「私達はアノス様にもご恩がございます

 戦えない者達ですが何卒」

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