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◆◇◆◇◆


 リバレー領にきて、寒さが増してくる今日この頃、初めて【Optimize】を使用してから早半月が経った


 調査依頼や、採取依頼、討伐依頼をこなし、日々の糧に投じていった。今日は僕の『昇格試験』であり、これに合格すれば晴れて『銅等級』───ギルドからの信頼厚い人物として名を連ねることになる


 穏やかになっていく情勢と共に街の活気が来た時以上に盛り返していく、冒険者で溢れかえっていた街の中も次第に旅人や商いを行いに来る人が増えていった


 それに伴い『金』───引退者が増えたのはいうまでもないだろう。それぞれが元の職業に戻って行き、冒険者ギルドは落ち着きを見せていった


◆◇◆◇◆


 アレから『バグ』という存在に出会したのは数える程度だった。その度に倒れる僕にティナ達は寄り添ってくれた


【ズレ】【拡張】と時にはモンスターではなく、空間そのものに対する【Optimize】をすることさえあったものの【誤認】の時の様な被害はなかった


 何かしら【デバッグ】に変化があるのではと思ったが『高位』になる気配や『統合』の様な変化はなかった。提示された条件を達成しない限りは基本変わらないのだろう

 

◆◇◆◇◆


「秋が近いな」


 モンスターが減り、化け物と対峙することが増えとはいってもそのどれもがC級とあり、不謹慎ながらアンブラ・ディアボリカ級の化け物が出てくれることはなかった


『白い糸』───『油断』『弱点』を僕に示す情報ということがレッドトレントを通して分かった。人から伸びる糸は大抵が『油断』死角から声を掛けに驚くこともあった


『黒い糸』───『悪意』『敵意』を僕に示す情報。人から伸びてくるのは大抵『敵意』で表には出さないもののこちらを『警戒』していることが分かる


『赤い糸』───『敵対』『攻撃の軌道』『殺意』の情報。伸びてくるそれは表に出そうとする害意そのものであり、黒から赤に転じることが主であり、化け物から伸びてくる糸、その軌道上に入れば被害を受ける。転じて糸を切り払うなぞることで相殺ができる


 伸びる早さや糸の量でどれ程の強度を持った情報なのかが分かる様になって来た。この辺りでなら油断しなければD級なら対処できそうと思えてしまうほどに僕達の技量は上がった


◆◇◆◇◆


『斥候』───アノスの本職であり、稼ぎの種でもある。地図の作成、簡易拠点の設置やレッドトレントとの戦いでも使った『壺』───中に様々なものを詰めて投擲する道具での支援がいたについて来た


 最近では壺の方も売りに出せる様になり『手先の器用さ』は増して行った


◇◆◇◆◇


『地図』『壺』『拠点設置』などで稼いでいる


◇◆◇◆◇


「今回の試験はなんだろう?」


 軍に志願するには『亜鉛』───銅よりふたつ上の階級、自分の技量を他者に教えられるほどの理解力を持っているという『等級』


 まだまだ道のりは遠そうである


 いつになったら軍に志願できるのか皆目見当がつかない、少しだけ不安になりつつも、リバレー領での依頼を通して協調性というものを身に付けられて来たので気長にやるしかない


「それにしても遅いな?」


 受付嬢さんのフランさんがここで待つ様にと言って数時間が経つも『試験官』が現れる気配が全くない水銀等級は多忙なのだろう


「イバシルさん、アイツです」


「探したぞ」


 そんな僕に声を掛けてくる人物がいた、ひとりは最近突っかかってくるゴウマンと少し前に聞いたあの声だ


「父上?」


 胴回りがだらしなくなった父上がそこに居た。ゴウマンと共に


◆◇◆◇◆


 それは冒険者ギルドを一歩出た所でのことだ。昇格試験を待つ僕にゴウマンと父上が突如として声をかけてきたのだ


「父上?何故こちらに」


「それを聞きたいのは俺の方だ

 何故アーバレスト領にいなかった?」


「色々と込み入った事情がありまして」


「まぁ、そんなことはどうでもいい

 アーロン領に帰るぞ」


「それは、できません」


「何?」


 僕のケジメである汚名返上をするだけの功績がない、これで帰ろうものならあまりに身勝手な振る舞いだ


「僕はまだ、手柄を立てれていません」


「おっと、アノスちゃんの【スキル】は

 使い物にならない、外れだって…」


「黙れゴウマン、俺が話をしている」


「は、はい」


「アノス、お前にはアーロン領に戻って

 やって貰うべきことがあるんだ」


 父上が僕に『黒い糸』を伸ばしている。何かしらの『悪意』を持っていることはあからさまだった。家を追放したものを呼び出すなんて普通じゃあり得ない


「すみません父上、それはできません」


「…」


 ゴウマンと父上を交互に眺める。ここまで太い『悪意』は最近感じていなかったため、余計に不快に思ってしまう


「アノス!領域追放者が領主である

 イバシル様に歯向かうのか?」


 ゴウマンの手が斧に掛かる。僕も鞄に手を伸ばし『目潰し壺』を構える


「お前がダンジョンを破壊したことを

 ギルドに報告すれば立場がなくなるぞ?」


 ゴウマン、邪魔だな。僕は父上と話しているのに


「ゴウマン」


「はい、なんでしょ」


 父上がゴウマンを吹き飛ばした。手の甲で頬を撫でる様に当て、そのまま投げ飛ばすが如く


 地面を何度か跳ね回り、離れた所で蹲るゴウマンに通行人が駆け寄っていく


 しかし、なんだあの『怪力』?父上の【スキル】なのか?それにあんな顔してたっけ?ここまで強引に話を突っぱねる人だっけ?暴力的だっけ?あれ?


「アノス、お前の追放を取り消し不問にする

 だから帰ってこい」


 似てる、けど違う


「…」


「どうした、アノス」


 思考がぐちゃぐちゃだ『頼らないと』吐き気でおかしくなりそうだ。僕は口元に置いていた手を外し、呟くようにいった


「【デバッグ】」


◇◆◇◆◇


『逆引き・解析』


「『こいつ』は『誰』だ?」


『報告』

───『トラウマ』確認


『当該情報』の『閲覧』には

『精神汚染』が『含まれて』います


【デバッグ】により『解析』をしました


 … … …


『閲覧』しますか?


◇◆◇◆◇

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