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リリアナをパーティーに参加しての『物資回収』
『依頼内容』は『レッドトレントの回収』で依頼主は僕だ。思わぬ加入者リリアナの【スキル】があれば後衛にも被害は出ないだろう
「これはまた変なパーティーだな」
「?そうですか」
「ゴウマン…何ですか?急に」
早速回収に行こうとした矢先に見知らぬ男に道を塞がれた臭いから昼間から酒を飲んでいること、装飾品から『鉄等級』、机に立て掛けられている得物から『大斧使い』なのがパッと見で分かった情報だ
僕と男こと『ゴウマン』の間に入ったシルビアさんの口ぶりを聞くに知り合いなのだろう。しかし、良好な関係とは言い難い
「シルビア」
「…」
「お前なんでこんなパーティーに入ってんだよ
俺ならもっと」
「先を急いでるんだ邪魔をするな」
シルビアさんに促されるままにゴウマンの傍を通り過ぎていく、横目に見た時、シルビアさんの毅然とした態度にゴウマンの目の色が変わったのが見えた
「ロンから聞いたが本当だったとはな」
「それで」
「悪いことはいわねぇ、俺のパーティーに入れ
シルビア」
「お断り」
ゴウマン彼から伸びる糸は『黒』何かしらの敵意や悪意のある色と見て間違いなかった
◆◇◆◇◆
「あれでよかったの?」
「いい、前々から誘われてたけど
なんか見る目がキモいから断ってる
ロンが辞めてから一層しつこくて」
「なるほど」
隊列は僕を先頭にティナ、シルビアさん、リリアナの順番で緋杉の林を進んでいく、鼻につく緋杉独特の甘いながらも辛味を感じる空気が強くなっていく
「警戒して、ここからレッドトレントが
混じってくる」
「了解」
僕が先頭にいる理由は道案内ともうひとつ、強襲を防ぐ意図があるが「自分のパーティー以外ではしないで」とのことだった
被害も防げるのにやらない理由はないと思ったが前衛の防御を強固にすれば強襲されたところで問題ないと思い至ったので了解した
「それにしても不思議です」
「何が?」
「レッドトレントと言えば
ここらでは友好的なのとで有名なんですよ」
「へぇ」
「前方警戒、レッドトレント」
レッドトレントは『トレントの派生種』───リバレー領で採れる『緋杉』をベースに変異、挿し木で増えるため人間とは敵対することはない
それは自然の生き物が自分たちを手折るよりも遥かに効率よく伐採してくれる点、数を増やすことへの助力をしてくれることから敵対するメリットがない
しかし『物資回収』『採取』とは別に『討伐』が依頼されていることから『モンスター』に分類されたのだろう
見た目の擬態がそのまま脅威になったのだ
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僕達は林を歩きながら目的地に着いた。『緋杉』には幸い虫食いや動物に荒らされた形跡はなかった。不思議とレッドトレントによる『挿し木』も見られなかった
「さっき手こずった相手がこうも綺麗に
両断されてるの見るこっちの気持ちよ」
「断面が綺麗過ぎません?」
「加工したからね、斧を滑らせるようにして
何回か往復させると」
「アノスさんは木こりにでもなるつもり?」
「いや?」
木こりか、気になるけど今じゃなくていいかな
「いつかやってみようかな」
「え?」
「シルビアちゃん、アノスにその手の皮肉は
伝わらないよ」
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シルビアさんが慣れた手つきで木を束ねる。ティナも見よう見まねで木を束ねるとかなりの量が集まった
「この量、どうやって持って帰るんですか?
荷車も見当たらないし」
「んじゃ、リリアナお願いね」
「かしこまりました」
リリアナは自分の鞄の口を開けた
「え?」
首をかしげるリリアナを余所にシルビアは鞄の口を束ねた木に被せ、移動すると反対側を持ち上げると鞄の中に木の束は吸い込まれていった
「はぁ!?」
荷車もさであれば十数分は掛かる作業が数分で終わった
「リリアナ、重さは大丈夫?」
「問題ありません」
「え?いや、どういうこと?」
「リリアナのあの鞄は『拡張』されてるのよ」
「付与魔術ですか、しかも鞄に?」
「何か不都合でも?」
『付与魔術』───『魔術式』を物体に書き込むことで『魔力』による恩恵を与える。防具や武器などその活用方法は多岐にわたる汎用性の高い『魔法』
「いや、アーロンの領主様は
お金を持ってるんですね」
「というより、あの女が凄いだけよね」
「マグナス様の魔法あってのことかと」
「マグナス?」
リリアナの疑問符を他所に一向は帰路へと向かっていた
◆◇◆◇◆
「シルビア」
「え?うわ!」
帰る途中、不意に飛んできたレッドトレントの攻撃をリリアナが交わし、シルビアを庇った。シルビアの居たところに枝の振り回しが通り過ぎ、風を切る音が聞こえた
「アノス!」
「僕に攻撃して来なかったね」
ティナは反転し、すぐさまレッドトレントの振り回す枝を斬り払い攻撃を止めた。しかし、飛んで行った枝が地面に刺さるとそこから根を張り始める
「あぁもう!」
「ティナ、小ぶりなやつは僕が対処するから
成木をお願い」
「言われ、なくても!」
僕は鞄から『火炎壺』を投げつけ、挿し木の成長を妨害しつつ短刀を根本近くに投げつけ、柄を踏みつけることで地面を抉り取り対処する
「【乖氷昇華】!」
【剣姫】の【舞踊・湖上】───踏み込み様に左右に得物を取り回し正面から受ければ水蓮の花を思わせる軌跡の5連撃。それを【氷相】を使って発動させた
途端に周囲に冷気が吹き荒れ、霜に塗れたレッドトレントは動きを極端に鈍らせ、続くティナの一撃で幹の辺りが粉々に吹き飛んだ
「はぁ〜寒」
◆◇◆◇◆
「ありがとうリリアナさん」
「いえ、それには及びません
それより、下がって下さい」
リリアナの【スキル】───【第六感覚】は人で言うところの『予感』『直感』『共感覚』を確実な形で受けることのできるスキル
リリアナ・ローズ・アーロン───彼女の家系ローズは所謂没落貴族である。家族共々『有用なスキルを手に入れられなかった』ことが原因での没落である
と言うのも『戦争の激化』により『ローズ家』の活躍の場だった『星詠系』───【予知】が力不足と判断されての降格だった
◆◇◆◇◆
リリアナは地面から現れたレッドトレントの根が迫る中
「はぁ…」
静かに深呼吸をすると腰を落とし、アーロン家のメイドとして雇われた彼女の身につけた武器である
「ッ!」
『拳』を握り込み、根を真正面から粉砕した。拳に浮き上がる血管と空気を揺らす正拳突きが硬いはずの根に亀裂を走らせた
「ティナ様」
かと思えば根を腕に巻きつけ引っ張り上げる
「『一絶閃』!」
拘束を振り解くことのできなかったレッドトレントはティナの一撃により幹から切断された
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「何がレッドトレントは温厚な生き物よ
あからさまに襲われてるじゃない」
ティナは何度目かの愚痴を溢す。大剣に寄り掛かり肩で息をし、限界が近そうな様子を見せていた
「おかしいですね」
リリアナもこの状況に頭を悩ませつつ、身体についた落ち葉を払っていた
「リリアナさん鞄って、重!?」
そんな中シルビアがリリアナの鞄を持ち上げようとしてその重さに驚愕していた
「やっぱり、不自然だ」
アノスは辺りを見回し、その違和感の元を探そうと必死になっていた




