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「何やってんの?」
「お久しぶりですティナ様」
「久しぶりリリアナ、じゃなくて」
アノスと合流するべくギルドに着いた私を出迎えたのはアノスとアーロン家のメイドのリリアナだった
何故アーロン家のメイドである彼女がここにいるのか問いただそうとした時、アノスが依頼書を掲げた
「実はですね」
「あんたが喋るんかい」
リリアナが話し始めた
◆◇◆◇◆
リリアナはここ数日の間、アノスを探しリバレー領とアーロン領を行き来していた
ですが今日に至るまでアノスと合流することは叶わず、ゴートンより賜っていた路銀が尽き掛けた辺りで漸くギルドにてアノスの手掛かり、直近の情報を手に入れることが叶い、深々と額をカウンターに押し当てていた
「無茶を通そうとしているのは重々承知です」
がむしゃら一辺倒の頼み方に受付嬢も困り果てていた
「先ほどから申し上げています通り
ギルド規則によりその様なことは
致しかねます」
「そこを何とか」
繰り返しリリアナの【スキル】に引っ掛かるアノスの気配に希望と絶望の反復横跳び、我慢と空腹の限界に達していた
リリアナは数少なくなった路銀をカウンターに積み上げ頼み込んだ
「ですから…賄賂も意味はありませんよ」
「ダメですか」
「加えて申し上げますと
依頼主の方なら午後にいらっしゃいますので」
「リリアナ?」
そんな中、依頼書の確認のためにギルドを訪れたアノスと偶然の再会を果たすのだった
「アノス様…」
目を丸々と見開いたリリアナはアノスの顔を見るなり腹を鳴らしながら
「不遜ながらフローターを努めさせて頂きたく」
自分の使命をすっかり忘れていたのであった
◆◇◆◇◆
「ほぉひぃうことです(ということです)」
「です。じゃないよ。
肝心の何でここにいるのかが分からないし!」
「それはですね」
「リリアナ、食べるか話すかにしなさい」
リリアナは匙を口に運ぶことを選んだ
「(咀嚼中)」
「相変わらずだね」
何やら訳ありだと感じ、受付嬢さんに頭を下げ、リリアナ、シルビアさん、ティナを連れてカウンターから離れた
◆◇◆◇◆
やがてリリアナの腹が満たされた辺りで僕達は適当な飲み物を注文した
「それでリリアナ?
どうしてこんなところに居たの?」
「ゴートン様より
アノス様を探す様に仰せつかっております」
「うん、それで何か伝言があるのかい?」
「いえ、特には」
「えぇ…」
リリアナはこう見えても仕事のできるメイドだ。言伝を忘れることはないだろう。そう思いたい
「ゴートンの意図が分からないな」
「案外帰って来て欲しいだったり」
「ゴートンに限ってそれはないと思うよ」
僕嫌われてるし、追放者だし
「…」
ティナが鼻で笑った、どういう意味なんだろう?
「して、アノス様」
「アノスでいいよ
今、僕はアーロンの人間じゃないし」
「アノス様、私をどうかフローターとして
雇っては頂けませんか?」
「…ええっと、ティナ、どうかな?」
「うん、まず最初にそれ」
ティナが僕に詰め寄り睨んできた。睨んできたというより僕の持っている依頼書を訝しげに眺めていた
「説明して」
「えっと、これは」
◆◇◆◇◆
「アノス?」
「ごめんなさい」
レッドトレントの件がバレた。別に隠そうとした訳ではないことを伝えたが問題はそこではなかった
「パーティーを組んでる以上は!」
「報告と連絡、相談をする」
「今回は連絡手段を考えてなかったから
私の落ち度でもあるけどさ
もしひとりで意識でも失ったら」
「はい」
◆◇◆◇◆
「リリアナさんと
アノスさんのご関係って?」
「メイドと主人…
上司の関係でございます」
「へぇ〜」
アノスさんはティナさんのところで執事長をしてたのかな?でもアーロン家の人間じゃないとも言ってた。しかもティナさんの家名はアーバレストで…っは!
「ま、ま、ま、まさか」
「?」
駆け落ち!そうに違いありません。アーロン家、アーバレスト家の両家を超え、地位を捨てて2人の逃避行、なんてロマンチックなんだ
だとしたら『銀』を捨てて態々『陶器』から再スタートをしたというのは『ある程度2人の地位』ができるまでと考えれば『辻褄』が合います
「はぁ〜♪」
「…」
そうとなれば不束ながら現在等級の1番高い私が2人の恋路を手助けしなければ!
「リリアナさん」
「なんでしょうか?シルビアさん」
「私はシルビアって呼び捨てでいいです
2人で応援しましょう!」
「え?っとはい、かしこまりました
シルビア」
「よろしくお願いします。リリアナ」
◆◇◆◇◆
「シルビアさんとも反りがあったようで何より」
「アノス?」
「はい」
「一度ゴートンの所に戻って話してきなさい」
「それはできないよ」
それはダメだ。追放者が家に戻るには武勲やそれに準ずる成果を持って汚名を返上しなければならないのが決まりだ
「これはケジメだから」
「強情だな」
◆◇◆◇◆
「リリアナはゴートンのところに
戻らなくてもいいの?」
空になったティカップを指先でなぞりつつティナがリリアナに言った
「ゴートン様からはアノス様の元に
行くようにとだけでしたので」
「それ報告までが含まれてるんじゃ?」
「いずれにしろ
私は帰れません」
そう言ったリリアナが財布をひっくり返すと何も出てくることはなかった。本当にギリギリだったんだろう
「路銀が底をついているので
馬車にも乗れませんので」
「ん〜まぁそう言うことなら?」
特に断る理由もなかったため、リリアナが『荷物持ち』として加入した
「でも、リリアナさんは
フローターができるんですか?」
「問題ないと思うよ」
「問題ないわね、アーロンのメイドだし」
「何ですか、その熱い信頼は」
◆◇◆◇◆
リリアナがその服装とは不釣り合いな空間の中で優雅に一礼をすると今日会ったばかりのものもいるため自己紹介を始めた
「本日付で荷物持ち兼メイドを務めさせていただきます。リリアナ・R・アーロン、未熟者でございますがどうぞ何なりと」
「うん、よろしくお願いするよ」
「改めてよろしく」
「よろしくです」
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『現在パーティー』
『銅等級』【支援魔法】シルビア
『鉄等級』『斥候』アノス
『鉄等級』【剣姫】ティナ
『陶器等級』『荷物持ち』リリアナ
等級の高いものが迷宮等では基本リーダーを務めることになる
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