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◆◇◆◇◆


「何故だ?こんなことになるんだよ!?」


 アノスに続いゴートンまでもが俺の下からいなくなった。これではまるで俺が無能だと言われているような者じゃないか!!


 メイドも執事も俺を陰で馬鹿にしてたんだ。不満があるなら言えばいいだろ


「クソ!クソクソクソ」


 療養のためにも何処かで匿ってもらわないと、全身の痛む俺は首を振りながら今生存に必要な内容につい整理を始める


「くそっ、何だって言うんだ」


 なんだ、あのゴートンの呆れて物も言えないとでも言わんばかりの態度は事務仕事につかせてやったし、剣術だって教えてやったのに反抗して、俺を追い出すなんて『何もかも気に食わない』


 アノスがいなくなってから皆が可笑しくなった


「そうだ、俺がアノスを連れ戻せば」


 俺はアーロン家を支えてきたんだ。変化の起点は『アノス』だ。連れ戻しさえすれば、ティナもゴートンも元通りになるはずだ


「そうだ、そうだ。何で気が付かなかったんだ」


 俺が威厳を示せば、アノスだってきっと戻ってくる筈だ。そうすれば俺があの家でのんびりできるに違いない


 そうとなればアーバレスト領に向かおう。あそこが一番近い領域だ。弟に似て行動に性格が出る筈だ。ともなれば急ぎ移動を始めよう


 身寄りのないアノスが頼れる先はアーバレスト領しかないのだからそうと決まれば準備を始めよう。ゴートンの口ぶり、余裕ぶりからして領域内に情報を広めることはしないだろう


 ともかく今は休もう、全身が痛くて仕方がない

 

◆◇◆◇◆


 翌日、俺が領域を出ようと準備をしていた時、興味深い話が耳に飛び込んできた


 どうやら各地でフォードが始まっているらしい。なら尚のことアーバレスト領に向かうのがいいだろう。あそこはダンジョンがない、今も安定して経済が回っているに違いない

 

 気の毒だがその他の領域はモンスターに蹂躙されているに違いない、モンスターの領域にある奴らも全員やられるのは時間の問題だろう


「リバレーでは何やら境の封鎖が行われてるとか」


「物騒ね」


「リバレーの兵も歯が立たないって話よ」


 ほら見ろ、やはりアーバレストに向かうのが1番だ、フォードの対処で各地は手を焼くことだろう


「ジジイどもも流石に動けないだろうな」


 今にして思えばジジイどもの言う【デバッグ】が何なのか考えたこともなかったな。出現したなら速やかに抹殺するべきと言われているが


 まぁ、どうせ『自分達の席が危うくなる』からだろう。いっそのことケシかけてやるのも良いかもしれないな


 共倒れしてくれれば良し、片方が倒れるも良し


「しかし、兵も歯が立たないとは

 情けのない奴らだ」


 剣で食っている奴らが早々に柄を手放す何て打首でいいものを何たら体たらく、実に不愉快な話だ

 

 しかし、兵たちが手を焼くような相手だ『D級かそれ以上』だな。俺なら楽勝だ


◆◇◆◇◆


「領域外に出るには身分証を」


「何を言っている、俺は…まぁいい」


 イバシルは懐から『水銀の装飾』───特殊加工により完全な個体に近い形状をしている水銀。を取り出し身につけた


「これでいいだろう」


「問題ありません、ご武運を」


◆◇◆◇◆


「はぁ〜面倒だ」


 照りつける太陽に遠くには雲、前の日に雨が降ったのか湿気が凄い。路銀も心許ないのでアーバレスト領に着いたらクエストを受けるか


「馬車に乗りたい」


 これが領域主なら命令ひとつでアノスを呼び戻せるに違いないがゴートンを倒すのはほぼ不可能だろう。闇に乗じて弟を葬った時のようにはいかない、面倒なことをしてくれたものだ

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