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「モーリタニアのタコを見てたらプログラミングの難題が解決した」

「どうしてもこの動画チャンネルを紹介させてください!」

「と、この子が言うのでちょっと付き合ってあげてちょうだい」


「きっかけはここ最近のお姉様の趣味だったんですよね」

「あぁ、私、WikipediaとCiNiiiとpixiv大百科とアニオタwikiの

 ページが更新されて、ある程度のビュー数が確保された物を

 自動的に自動音声に朗読させるアプリを自前で作って、

 作業中に常にバックグラウンドで動かしてるんだけど」

「WikiとCiNiiiだけにするか、

 pixiv大百科とアニオタwikiだけにするか

 方向性を決めて欲しいんですよマジで。

 この4つを同列にみてるこの人の頭おかしいんですよ」


「最近はそのアプリを止めて、

 外国のストリーマーさんのウマ娘配信を

 ずっと追いかけてるのよね」

「英語できる人うらやましいなぁ」

「って、思うじゃない?

 YouTubeの自動翻訳って今結構優秀でね、

 まぁまぁ正確な字幕つけてくれるから、

 普通に動画で見る分には問題ないわ。

 あと右目と左目で別の見て別の作業くらい

 普通にできると思うし、

 リスニングができなくてもながら作業に

 ピッタリだと思うわ」

「普通できねぇんですよ。

 その域のマルチタスクはリスニングよりレアスキルなんですよ」

「あ、右と左の目で違うの見るのは速読の技能よ。

 速読とマルチタスクは小さい頃から練習した方がいいわ。

 私のアホみたいな経験値補正の原因の大半がここだから」

「その話は普通に今度してくださいね」

「気が向いたらね」


「で、そんなお姉様が見てる動画を

 私も隣で見てたんですが」

「そうなのよ聞いて頂戴。

 ある日突然私のパソコンの椅子が

 なんかやたら横に広がってる気がするなって思ったら

 なんかすり替えられてたらしくてね」

「むしろなんで気付かなかったんですか?」

「で、いきなりこの子が私を椅子の右に押しのけ

 左側に座るもんだから、あぁこの椅子って

 そういうものなんだって改めて理解したのよ。

 特に気にせず作業進めたけど」

「さらっと流されたのがむしろ安心感すらありましたね」


「で、この子そんなにウマは真剣にやってないし、

 私ほど海外ウマ動画楽しめるのかなぁって思ってたの」

「私がはじめたのって、ソノンエルフィーさんから

 健康的な百合の波動を感じたとこからですし。

 URAシナリオってあんな地獄だったんですね」

「メイクラに比べればマシよ」


「まぁともあれ私、外人の反応とお姉様の反応で

 動画を楽しんでたんですけどね」

「深淵を覗いてると思ったら

 さらに上位の深淵から覗かれてた気分ね」

「そこでたまたま見かけたストリーマーさんの動画が凄くて

 今日はこの話がしたいんです」

「本当にその動画への導線作りたいなら、

 ここまでの60行全部消した方がいいと思うわ」


「それがですね『Kinkymation』ってチャンネルさんで、

 ギザギザ歯で挑発的な見た目した

 ピンク髪のYouTuberさんみたいなんですが、

 この方のウマ動画、ゲームのこと一切関係なく、

 非公式にゲームから吸い出した

 キャラの3Dモデルを確認しながら

 勝負服と私服のデザインと着こなしについて

 ものすごいハイセンスな目線で良し悪しを評価してたんですよ」

「流石にリンク張るのはちょっと怖いので、

 YouTubeで検索してみて。

 『Kinkymation』ってチャンネルさんの

 『ARTIST LOVES UMA MUSUME』って動画」


「ウマの衣装って、実馬の毛色と鞍上の勝負服、

 それとエピソードからデザインされていて、

 一時期日本でも古参の競馬ファンの間で

 衣装からどの馬かを当てる動画がバズったじゃないですか」

「あの手の動画は面白かったわね。

 ちゃんとわかるんだ、って。

 中でも競馬好きのおじいちゃんがカメラの前に

 引っ張り出さえて微妙な顔しながら回答してて、

 そりゃ当たらないし興味もないんだろうなって見てたら

 ゴルシが出た瞬間に『こいつゴルシだろ!』ってなったの

 腹抱えて笑ったわ」

「その点この方、どうもプロのファッションデザイナーさんみたいで、

 競馬知識は当然ゼロ。一応wikiで写真を見ながら

 『あぁなるほどこれがモチーフでこうなってるのね』

 みたいに分析していくんですけど、

 wikiには鞍上の勝負服が載ってないのも多くて、

 他にも日本では当たり前な前提知識が共有できてないんですよ」

「その前提が共有されてない点が

 海外ストリーマーさんのウマ動画の面白さなんだけどね」


「はい、まさにそう思いました。

 ただその上でもこの方の衣装レビューの視点が

 コスプレから入ってアニメキャラクターの

 デザイン論とか考えてしまうようになった身として

 『なんとなく』がガシガシ言語化されていって

 ほんと世界の色が変わって見えるようになった

 体験をさせてもらったんです」

「あるわ。そういう体験は私も頻繁にある。

 ただこれは私だから頻繁にあるんであって、

 一般人には数年に1回、下手したら数十年に1回の

 レア体験らしいわね。ともあれあなたは

 ここでそれを体験したのね。

 楽しかったでしょう?」

「凄い楽しかったです!


「ここで改めて最初の60行に意味が出るんだけどね。

 特定の分野でブレイクスルーを起こす知識って、

 ほぼ確実に無関係な別分野に隠れてるのよ。

 で、それを能動的に探すことは不可能なの。

 私の場合、私のプログラミングのソースコードに

 革新をもたらした発見が、

 モーリタニアのタコ焼きにあったというのが

 今までで一番の無関係eurekaだったわね」

「その話まじで詳しく聞きたいですね」

「で、普通そんなプログラミングの問題解決に

 ちょっとモーリタニアでタコパするかとはならないわけで。

 こんなん偶然起きる奇跡を待つしかないのよ」

「関連性ゼロですもんね」


「ただ、こういう奇跡を起こす確率を高める方法はあって、

 それがWikipediaとCiNiiiとpixiv大百科とアニオタwikiの

 最新記事を片っ端からチェックしてくことなのよ」

「そう言われるとちょっと納得なんですよね」

「これって外から見てると天才のひらめきにしか見えないでしょ?」

「まぁ普通にそうですよね」

「でも違うのよ。私は天才のひらめきを能動的に招く方法を知ってる。

 それが無節操な情報の吸収なの。

 私は天才じゃない。天才をエミュレートする方法を知っているだけ。

 そしてそれは誰でもできることなのよ」


「うーん……でも私にはもう遅い気がするんですよ。

 その理屈で言えば、速読とマルチタスクの技能を伸ばすことで

 学習効率と情報の吸収速度を上げるってのは、

 この人生っていうクソゲー攻略の鍵で

 序盤に獲得すべきTire1スキルだってってわかるんですが、

 私もう26歳なんですよ。アラサーなんですよ」

「まだ26じゃない。私がこれに気付いたのは9歳だから、

 17年しか遅れてないわ。どうせ私達が死ぬ頃には

 この国の平均寿命は90歳を超えてるわ。

 そう考えれば17年がどれだけ短いかわかるでしょ。

 遅いと思って諦めてしまえば、

 あなたは残りの64年の価値を下げるの」

「そう言われるとそうなんですが……」


「それでプログラミングとたこ焼きの関連性だけど」

「あ、それは聞きたい聞きたい」

「話すつもりはないわ」

「なんでぇ!?」

「応用性がないからよ。

 これに気付いて得する人は世界全体で500人いない。

 それでいて理解するための前提が膨大すぎる。

 だからこの話って、モーリタニアのタコを見てたら

 プログラミングの難題が解決した、という時点でもう話の落ちで

 これ以上のバリューがないのよ。

 でも、その落ちだけでもうすごく面白そうで、

 あなたも詳しく聞きたいって思ったでしょ?」

「思いましたね」

「あなたは17年後、こういう面白さに

 2週間に1回のペースで出会えるようになるわ」

「……次回速読とマルチタスクの話お願いしていいですか?」

「よくってよ」

「やったー!」

「ただし更新がいつになるかまでは指定していないわ」

「利根川さーん!」


「あ、ちなみにpixiv大百科とアニオタwikiの情報を入れる意味だけど」

「そこからどんなブレイクスルーが起きてたんですか!?」


「何も起きてないわ。これはただの趣味ね」

「ずこーーーー!!」

「その昭和のギャグ漫画表現久々に見たわね」

「そりゃそうでしょ!」


「あとさっきの『Kinkymation』さんのチャンネル、

 他にもいろんなゲームやアニメの衣装を分析されてて

 もう完全にあなた好みのチャンネルだと思うけど」

「また隣で英語翻訳してください!!」

「だからYouTubeのAI翻訳で十分なんだって」

「お姉様のダウナーな声で囁き翻訳して欲しいんです!」

「私のボイロ作ればいいの?」

「そうじゃな……いや」

「なによ」


「お姉様に卑猥な言葉を言わせまくれる……!?」

「いいから私の椅子を元に戻しなさい」

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