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Black Back  作者: 宿野部 淕闍
プロローグ
3/8

Prologue3 原田 美香


 祐介達が住んでいるところから百メートルも離れていないところ、つまりは木埜島の一角にある家族がいる。


「まぁまぁ、可愛いこと」

 ウェーブのかかったブラウンの髪をまとめた女性は、中国風の青いドレスに身を包んだ少女を見て、まるで子供のように嬉しそうに彼女を眺める。

「そ、そんなことないよ」

 普段は着ないドレスにほんの少しの化粧で少女は嬉恥ずかしくて顔を赤らめはにかんだ笑顔を見せる。

「そんなことあるわよ。まるでお人形さんみたい」

 相変わらずほほ笑む女性は文字通り少女に姿になめるように見つめる。

「ちょ、こら。お母さん。ホントになめないの」

 本当になめる母親を引き離す。何の悪びれる様子もなくむしろ納得していない表情を見せる。

「そうだ。せっかくカメラ持ってきたんだし、写真撮ろうと」

 丸机に置いてあったプロが使う一眼レフのカメラを手に持った。

「ウォッホン」

 いつ来たのかさっきまで閉まっていたドアに堅物そうな男性が咳払いをした。

 母親はその人をみてさっきよりもっと不満な顔をする。

「すまんな、美奈子。もう時間が無いんだよ。美香の写真は家に帰ってからでもいいだろ?」

 男は彼女が持っていた、カメラを取り上げると、高級そうな時計を見て言う。

「すぐに終わるからいいでしょ」

 まるで子供のように頬を膨らまし上目で、男を見る。

 男はこう言う態度をとられるのが苦手のようで、一瞬ひるんだすきにカメラを奪い返し、女の子を撮って、撮って、撮りまくっていた。

「家族で一緒に撮りましょう」

 最後にはこれが出てきた。男はもう諦めたのか渋々彼女たちの隣に立ち、使用人にカメラを渡す。

「いきますよ~。はい、チーズ」

 


 少女の名前は原田美香。

 今日は『WWW』社長で美香の両親の旧友である水谷誠の誕生パーティーが行われるので、普段は着ないドレスに身にまとっていた。

 美香の両親も企業を興し成功し、今や国内でも5本の指に入るほどの業績をあげている。そのほとんどはある程度のスキルを施したロボットである。


 会場に着くと『超』が付くほどの有名人や時の人達が来ていた。

 大きくため息をつく父親が視界の端で見えた。きっと、さっきの事を思い出してため息をついたのだとわかる。でも、あれは母のいつも悪い癖なので美香にはもう慣れてしまっていた。

「美香」

 会場をゆっくりと回っていると不意に父親が呼ぶ。

「ほら、そこに2人、美香と同じ年の子が見えるかい?」

 父親が指をさす。指した先に目を向けるが、人だかりができていてよく見えないでいた。彼女はもういちど父親を見るとニッコリと笑う。

 もういちど指した先を見ると一瞬だけ人と人の間に隙間ができ、その奥に男の子と女の子が見えた。

「あの子たちがどうしたの?」

 不思議そうな顔をして父親を見ると、

「この主役のお子さんだよ。たしか、男の子の方は美香と同じ年だったはずだよ」

 美香は彼らを見ようとしたが、会場が暗くなってしまったので、見ることができなかった。

――主役って、確か『WWW』の社長でお父さんの友達ね。男の子は私と同じだからきっと話が合うわよね。挨拶でもしにいこっと

「おと……アレ、どこに行ったんだろ?」

 いつの間にか両親がどこかに行ってしまったことに気付くが

――ま、いっか。後で言えば。

 と楽天的な考えをしてとりあえず隅によって歩いていると、さっきの子たちが寄りかかっていた。

「ねぇ、ここいいかしら」

 男の子は驚いたように振り返る。

 美香は思わずクスリと笑い、

「私は美香。原田美香って言うの。あなたは?」

「僕は水谷祐介。こっち、アレ?」

 祐介の後ろに隠れてみている女の子を背中で押して、

「この子は、妹の麻紀」

 麻紀はぎこちなく頭を下げる。

 進行役の役員がしめの言葉を言うと会場が明るくなり、祐介達の姿がはっきりとわかるようになった。

 祐介は濃紺の髪が瞼のあたりまで伸びているが、鮮やかなブルーの目が際立って見えた。

 麻紀はライムグリーンのロングドレスを来ていて腰に着いているリボンとツインテールにした濃紺の髪が可愛かった。

「ねぇ、ここから出ましょ」

 美香は言うが早いか、彼の手を引き、会場の外に出た。

 会場の雰囲気というか、人が多く集まるところがあまり好きではなかったのだ。

 会場の外で数人の大人たちが談笑をしていたが、中に入るよりはましかなと思う美香。

 しばらく話していると、進行役の人の声が聞こえてきた。

「あっ、お父様のスピーチが始まっちゃう。……ごめんね。後でまた会いましょう」

 そう言って急いで中に入って行く美香。

 美香は父親のスピーチが『大』が3個付くほど好きで、今までにも何度も聞いてきた。お父さん子というのもあったらしいがそのことは触れないでおこう。

 壇上近くまで来ると、ほんのわずかな明かりだった部屋が急に真っ暗になったが、父親のスピーチで気分が高まりそのことにはまったく気付いていなかった。


 そして、彼女の姿も跡形もなく消えていた。



一週間後と言いながら十日余りが過ぎててすいません。


ちょっとしたトラブルがあり今になりました。

そんでもって、描いてて気づいたんですけど



内容がほぼ一緒だ~~


というわけで、次話は数年後の話になります。

一応、四日後を目途に投稿したいと思いますぅ。

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