リアム中佐
ここはとある場所にある魔力だまり。そこには、Bランク相当の魔物が住み着いていたが、今はあるハンターに蹂躙されていた。
「ふん、これで最後か。この素材と魔石があれば、新たな装備を作ってまた強くなれるか?」
そのハンターは、最後の魔物に止めをさす。その瞬間をまるで見ていたかのように通信が入る。
「調子はどうかね? リアム中佐」
「ハッ! 順調であります、デーモン大佐」
通信はデーモン大佐からであった。リアム中佐は上司からの通信に少し緊張しながら答える。
「それはよかった。では、そろそろAランクの魔物は狩れそうか?」
ハンターの間では、数年前にリナリアによって行われた魔物のランク付けが浸透している。
「どうですかね? 今はとりあえずBランクの魔物は倒せております。Aランクとは戦ったことがありませんが、Bランクより多少強い程度なら問題ありません」
「ならば、実際にAランクの魔物と戦う前に実験体と戦ってみたまえ。基地の方にはすでに魔石を送っておいた。その魔石を持ってサモン・アンデッドと唱えよ。すると、Bランクのオークジェネラルが蘇る。さらに、その者に覚醒と唱えれば、そいつはAランクのオークキング並の強さになるはずだ」
「アンデッド・・・ですか?」
リアム中佐は、デーモン大佐より力を授けてもらっているため、言われることで大抵のことはこなしてきた。しかし、魔石からアンデッドを産み出し、さらにはそれを強化できるとなると人間社会に大きな問題を起こす事にならないかと危惧した。
「そうだ。召喚者の命令に忠実に従う。だから、自身と戦えと言えば全力で戦えるはずだ。それに、Aランクと言えどもステータスだけだ。知能が低くなるから、本来のAランクには及ばないが練習にはちょうどいいだろう」
デーモン大佐はそう言うと通信を切った。リアム中佐は、言われた通り、基地に戻ると、自分あてに送られてきた小包から魔石を取り出す。本来の魔石は赤色なのだが、この魔石は紫色をしていた。
「これからBランクの魔物が蘇るのか・・・。ならば、地下の核シェルターで試すか」
基地の地下には核シェルターが用意されていた。基本的には実験場として使われており、万が一魔物が暴走しても閉じ込める事が出来るだろう。
「サモン・アンデッド」
リアム中佐が呪文を唱えると、魔法陣が魔石を中心に展開される。リアム中佐は驚いて魔石を手放し、落ちた魔石からオークジェネラルが産まれる。
「これがオークジェネラルのアンデッドか・・・とりあえず、先にこいつの強さを確認するか。オークジェネラルよ俺と戦え」
リアム中佐は念のため、覚醒前の強さを確かめた。その力は、確かにBランク相当に思えたが、総合的な戦闘力はBランクでも下の方だと感じる。やはり、知性が低いらしく、技や動きに精細さが無いからだろう。
「よし、もういいぞ。それでは、覚醒」
「グガアアァ!」
オークジェネラルの体が光ると、魔力が立ち昇る。無理やり与えられたパワーにより、体の崩壊が始まる。
「よし、俺と戦え」
リアム中佐は先ほどと同じ命令をオークジェネラルに下す。すると、先ほどまで余裕で相手できていたオークジェネラルに押され始めた。
「ぐっ、これが覚醒の力か! スピードとパワーがさっきよりも数倍あがってやがる!」
覚醒前を1とするならば、覚醒後は5くらいあるように感じた。そして、それは今のリアム中佐の実力では荷が重い。
「ストップ、ストップだ! いう事を聞きやがれ!」
リアム中佐はすでに何度か中止の命令をしているが、暴走しているオークジェネラルに止まる気配は無い。
「クソっ、やるしか無いのか! 半魔化!」
リアム中佐の背中から蝙蝠の様な翼が生え、全身の筋肉が数倍に膨らむ。おかげで、先ほどまで押されていたオークジェネラルの攻撃を逆に押し返す事が出来た。
「・・・これがAランクの強さか。だが、知性の無いこいつでこれなら、本物のAランクには今の俺では恐らく勝てないな」
オークジェネラルの首をはねると、オークジェネラルは魔石になって地面に落ちる。そして、その魔石にひびが入り消滅した。
「デーモン大佐、こうなる事が分かっていてわざと俺で試したな? だが、俺はおかげで強くなれた。今はまだ、あんたの思惑に乗っておくさ」
リアム中佐は、そう言うと核シェルターを後にした。




