シロ
「お兄さん、どうやら魔物は居ないようですよ」
「ありがとう。でも、それはそれで変だよね? 何が原因で魔素が減ったんだろう」
「そうですね・・・。もしくは最近までいたけれど、私達が来た事によって逃げたんでしょうか? 少し、痕跡を探るために私達も調べてみましょうか」
エルダーエルフは、素早く、かつ慎重に各施設跡を調査する。ミニクロ達はその護衛だ。タケルとシュガーは、痕跡を調べる手段が無いため、視覚的に怪しそうなところを探す。
「怪しいとしたら、クイーンスパイダーが居たお化け屋敷かな? まだスパイダー系統の魔物が残っていたとか」
「調べましたけど、見つかりませんでした。一応、天井裏や床下なども見ているはずです」
「あ、そうなんだ。だったら、居ないのかなぁ」
ミニクロ達は本当に隅々まで確認していたようで、実際に魔物が見つかることは無かった。
「あ、エルダーエルフさんにつけたミニクロから連絡が来ました。観覧車のところへ来て欲しいそうです」
「分かったよ」
2人はエルダーエルフの所へ向かう。エルダーエルフは、観覧車の前に待機していた。
「ここに魔力の痕跡があったので調べていた所、異常がありました。見て下さい」
エルダーエルフが指さした場所には、線のようなものが引かれていた。ただ通っただけでは気が付かないだろう。
「そして、この線は観覧車全体に描かれています。近くだと分かりにくいですが、観覧車全体が魔法陣の役割をしています」
「そんな巨大な魔法陣が描かれていたなんて・・・」
「魔法陣の大きさによって効果が変わる事はありませんが、巨大であれば消えにくく丈夫な魔法陣となるでしょう。そしてこの魔法陣は、エリザ様たちが墓地で見つけたものと同じです」
「だとしたら、ここにも魔物が現れる!?」
「いえ。まだ発動しないでしょう。恐らく、魔力が足りません」
「それなら、この魔法陣は破壊しておくべきだよね? 誰が残したのか分からないから、調査してからにする?」
「誰が描いたかは、魔力を注ぎ込んで発動しない限り分からないので破壊しても問題ないでしょう。墓地と同じものだと分かっていますし、犯人は同一の存在でしょう」
「それなら、どうやって破壊しようか。下手に壊すと音とか粉塵とか酷いことになりそう」
「それならお兄さん、私に魔力を下さい! 破壊に適した蟻兵を作り出しますから」
「それなら、シュガーにお願いしようかな?」
タケルはシュガーの手を握り、魔力を渡す。シュガーはそれを自身の魔力と混ぜ合わせ、新たな蟻兵を作り出す。その姿は、クロと対照的な真っ白で羽の生えた蟻だった。
「あなたにはシロと名付けます。シロ、この観覧車を静かに、被害なく片付けなさい」
シュガーがシロに命令すると、シロは静かに観覧車の中ほどまで飛ぶ。そして、光が観覧車を包み込むと、音もなく潰れていく。最後には、観覧車が綺麗に無くなっていた。
「すごいね・・・。シロは魔法を使えるんだ?」
「そうですね。クロなら粉々にすることは出来ますが、綺麗に片付けるとなればやっぱり魔法の方が良いと思いました。シロ、ご苦労様」
シュガーは、役目を終えたシロも次元ストックへと入れるのだった。




