帰還
「ご苦労様」
大学に着くと、リナリア自ら迎えいれる。といっても、場所はいつの間にか作られていた大学屋上のヘリポートだが。
「思っていたよりも、色々あったわよ? これは、想定内の出来事なのかしら? リナリア」
エリザは、リナリアが知っていてわざとこのメンバーで行かせたのではないかと疑っていた。
「想定外よ。私は、たまたま知った獣人達を保護しようと思っただけだもの。ルタがそこに居ると知っていたなら、もっと早く行動していたわ」
「リナリア様が居る事を知っていれば、ワシの方から伺っておりましたわ。何分、獣人の里では情報が入りづらくありましてな」
「山奥で、電気も通ってないでしょうしね。ところで、2人は知り合いなの?」
エリザは、ルタがリナリア様と呼んだことで、知り合いでは無いかと思った。魔界では、天狗とエルフに接点なんて無さそうなのに。
「魔界で一時期であったことがあるのよ。そこで、2人でちょっとした情報交換をしたのよ。私は天狗の術を学び、ルタには魔法陣の知識を与えたわ」
「ハイエルフであらせられるリナリア様から知識を授かるなど、幸運に恵まれましたな。それに、その知識はここでも役立っておりましたぞ」
実際、リナリアのアドバイスによってルタは他の天狗よりも高度な知識を持っており、自称大天狗というだけはあった。
「それは良かったわ。ここにいる間は、すきにしていていいわよ。その代わり、その子を少し貸して欲しいわね」
「―――カエデ。モミジをリナリア様のところへ少し行って貰って構わないかの?」
「構いませんわ。いいわよね? モミジ」
「はい、お母様」
本能的に格上だと理解したカエデは、素直に従う。モミジは、単に母親の意向を汲んだだけだ。
「ついでに、コハクも来なさい。本当に、里で色々とあったみたいね? あとで詳しく聞かせて欲しいわ」
「分かったわ」
リナリアは、コハクとヨーコの魔力量が上がっている事に気づいていた。また、モミジの朱雀にも気づき、コハクが関係すると直感で分かったため2人を呼んだ。
他のメンバーは、エルダーエルフの指示で部屋が割り振られ、それに従う。大抵が、獣人の種族ごとに分けられた。ルタは特別に一部屋与えられるが、カエデとモミジも同室へと招くことになった。
そして、エリザはタケルの元へと向かった。
「ただいま、タケル」
「お帰り、エリザ。どうだった? 獣人の里は」
「ええ。思ったよりも色々とあったわよ? それに、ハンターギルドも見ることが出来たわ」
「へぇ、それは僕も興味があるよ。なんたって、リアルハンターなんでしょ?」
「ふふっ、たぶんタケルが思っているのとは違うわよ? じゃあ、話すわね」
エリザは、久しぶりに楽しくタケルと会話するのだった。




