捕縛
「だから、無駄だって」
コハクは銃弾を躱し、エリザは魔法障壁で無傷で、ヨーコは狐火で弾を防ぐ。
「ここはうちにまかして」
ヨーコは尾が4本になった力を自身でも確かめたかったため、対処を買って出る。
「銃が効かねぇ!」
「かまうな、撃ち続けろ!」
ハンター達は構わず撃ち続ける。ヨーコは素早くハンターに近づくと、指を鳴らす。
「狐火・炎舞」
狐火がハンター達の周りをぐるぐると回り、炎のサークルを作り出す。
「炎が! あちち・・・いや、熱くない?」
「ぶ、武器が!」
狐火はヒメの鬼火とは違い、熱で攻撃するタイプではない。狐火は魔力を含むものを破壊する。そのため、ハンターの魔道具である銃のみを破壊する。さらに、魔力を含む防具も破壊する。ハンター達が下着姿のみとなったため、狐火を消す。
「あら? これはどういう状況ですか?」
そこへ、獣人達が長を連れて戻ってくる。長は、背中に翼のある鳥人のようだった。
「あなたが長なのかしら? ハンター達は無力化したわ。情報を引き出すのだけれど、あなたはどうする?」
「もし私も同席してよろしいのでしたら、尋問の場として私の家を提供いたしますわ。どうぞこちらに」
何人かの獣人がハンターを縛りに結界から出る。代わりに、長に着いて行くようにコハク、ヨーコ、エリザが獣人の里に入ろうとする。コハク、ヨーコに続いてエリザが里へ入ろうとしたところで何かにぶつかった。
「ッ痛。どういうことかしら?」
「――変ね? その結界は、獣人には無害のはずなのですが・・・」
長の目が3人を見据えて細くなる。
「先に言っておくけれど、私達は正式にこの問題を解決するために動いているわよ」
エリザはリナリアから預かった手紙の事を思い出し、コハクを通して長に渡す。それを長はその場で開き、確認する。
「・・・なるほど、分かりました。それでは、一時的に結界の一部を解除します。そこから、その人間達も運んで下さい」
長は、両手を上から下へと扉の形になぞるように動かす。エリザは、さっき何かにぶつかった場所に手を伸ばすが、今度は何も触れることは無かった。エリザは里の中へ入り、続いてハンター達も運び込まれる。ハンター達は、素の力では獣人に勝てないことが分かっているため、無駄に抵抗する事は無かった。そして、ハンター達は長の家の前に座らされた。
「家に入れるのは一人だけでいいわ。人間達の代表は誰かしら?」
「・・・俺が行く」
ハンターの中で、一番年上の男が立ち上がる。両側を獣人に挟まれながら、男は家の中へと連れていかれる。続いて、エリザ達も中へと入る。家の中は自然100%のもので構成されていて、まるで昔話に出てくる様な内装だった。男は、適当に床に座らされる。その場には、切り株の様な椅子がいくつか置いてあり、その一つに長が座る。
「こんなものしかありませんが、どうぞお座りください」
エリザ達は、その切り株に腰掛ける。
「改めて、自己紹介をします。私は、この里の長をさせていただいていますカエデと申します」
「よろしくお願いするわ。それで、先に尋問を終わらせる? それとも、私達も自己紹介した方がよろしいかしら?」
「エリザ様。あなたの事については、リナリア様からの手紙を読みましたのでお立場を理解いたしました。ですので、尋問を先に致しましょう」
リナリアの手紙にエリザ達の事が書かれていたため、カエデは先にハンターの尋問を優先する事にした。カエデはリナリアとは直接の顔見知りでは無いが、お互いの存在は知っているという感じだ。なので、カエデはそのリナリアから正式に依頼を任せられたエリザ達の事をすでに信用している。
「そうね。それなら、単刀直入に聞きましょうか。あなた達は、なぜこの様な問題を起こしたのかしら? 」
「話すなって言われてねーから素直に話すぜ。その前に、あいつらの命の補償をしてもらえねーですかい?」
「元々、命を奪うつもりは無いわよ? あなた達も、まだ獣人を殺していないでしょうし」
「へい。ありがとうございます。俺達が獣人の里にちょっかいを出しているのは、情報を得るためですぜ。最近、魔物が活性化し始めた原因が獣人の里にあるっていう情報がギルドに持ち込まれたんでさぁ」
ハンターギルドは、ハンター達が勤める会社の様なもので、簡単に言えば冒険者ギルドである。
「私は、誰にも迷惑をかけている事をしていません。娘の怪我についても、何も要求していませんし」
「その事に関しては、本当に事故だったんだ。当事者じゃない俺からではあるが、改めて謝罪する。申し訳なかった」
「不用心に結界から出た娘にも注意しておきました。それについては、ここまでに致しましょう」
「へい、ありがとうございます。しかし、俺が話せる情報はもうほとんどありませんぜ。何とかして獣人の里の情報を探れ、以上の話は聞いてないんでさぁ。ただ、報酬が良かったから人が多く集まったんで」
「その割に、平気で私達に攻撃をしたようだけれど?」
「・・・すまねぇ。今まで、あんたらみたいに強い獣人を見た事がなかったんで、若いもんが先走っちまいました」
「まあいいわ。他に情報が無いなら、警察にでも突き出すのだけれど?」
「対処していただけるなら、どこでも構いません。それにしても、私の無実を証明するには、私がギルドへ直接伺って説明するしかありませんね・・・」
カエデは、面倒な事になったと首を傾げ、ほほに手を置くのだった。




