ヨーコの尾
あの後、ヨーコは気絶してしまったため、大学の保健室で休ませていた。そして、次の日。
「まさか、こんな結果になるなんて」
「まぁっ! たった1回の発動でこのような効果があるなんて!」
エリザは呆れ、リナリアは予想外の結果に驚く。肝心のヨーコは寝ているが、エリザ達の気配を感じて目を覚ます。
「・・・おはよう・・・ございます?」
「今は昼よ。どう? 何か変わった事を感じるかしら?」
「うち、確か魔法陣を使ぉて・・・」
ヨーコはおなかをめくって魔法陣の存在を確かめる。魔法陣は発動効果を終え、暗くなっていた。そこにまた起動の魔力を注ぎ込めば発動するのだが、発動の権限はエリザにある。
「体に異変はおまへん。しいて言うたら、力が溢れるような?」
ヨーコは自身の尻尾を確認する。
「なっ!? 尻尾が増えとー! それも、2本も! ありえへん、普通は何十年もかかるはずやのに!」
「そうよね。やっぱり、増えているわよね・・・」
妖狐族自体を知っているエリザとリナリアは、それなりに尻尾がどういう増え方をするのかを知っている。産まれた時は1本。数年たてば2本。しかし、それ以降は指数関数的に必要な魔力量が増えるため、3本以降はよほど自主的に魔力を集めない限り、何十年もかかるのが普通だ。
「もう、コハクを超えましたのね! すばらしい成果ですわ!」
リナリアはぽんと手を叩いて喜ぶ。廃れた魔法陣に、こんな使い道があろうとは、と。魔素の豊富なユグドラシルの近く限定ではあるが、色々な使い道が出来そうだと。
「わたくしは、さっそく魔法陣の改良に取り掛かりますわ。それでは、エリザ、あとはよろしいかしら?」
「ええ」
部屋を出るリナリアを見送り、寝ぼけていたヨーコが覚醒する。
「はっ! うち、こないな短期間でつよなってしもた! それも、気持ちよかったし」
後半は小声でつぶやく。
「それじゃあ、行きましょう。さっそくで悪いのだけれど、次の目的地が決まったのよ」
「あのっ! その前にもう一度魔法陣の発動をお願いします!」
「・・・駄目よ。恐らく、また気絶するでしょう?」
「お願いします! うち、早く強くなりたいんです!」
方言を収め、ヨーコは強くなるため・・・いや、気持ちよくなるために魔法陣の発動を懇願する。
「しばらくはお預けよ。反動がどう出るのかまだ分からないし、しばらく様子を見るしか無いわ。それに、これから出かけないといけないしね」
「そんなぁ・・・」
おあずけをくらったヨーコは、狐耳をへにょりと倒して残念がるのだった。




