ダーク・キャノン
「ゴブリンナイトがやられたか・・・。やはり、さらに上位の魔物の魔石でもないと戦力にならぬか」
「ゴブリンナイトであの強さなら十分でしょう? それとも、自分よりも強い配下を作り出せるのかしら?」
「我よりも強い配下など必要無いわ。我が直々に戦えば良いだけだからな」
エルダーリッチは、答える必要の無い問いに答え自分を不利にする。クイーンアントの様に、自身よりも強い配下を産み出せる魔物も存在するので、エリザはそれを確かめたかったのだ。それだけ魔石からアンデッドを産み出すエルダーリッチを危険視していたのだが、今のところ予想外の事態にはなら無さそうだ。
「それなら、あなたの負けね。それなりに力はありそうだけど、人間に危害を及ぼす魔物は連れていけないわ」
「我の力を知った風な事を」
「雑魚をいくら従えようと、私達には絶対に勝てないわ」
「従えるだけが我が力ではないわ。我に力を寄越せ」
エルダーリッチがそう言うと、アンデッドたちが崩れだす。そして、跡に残った黒い塊がエルダーリッチへと想到する。さらに、骨が集まりエルダーリッチを包み巨大なスケルトンが出来上がった。
「これが我の力だ。食らうがよい」
エルダーリッチは、骨の右手を突き出すと、詠唱無しに黒いエネルギーの塊を撃ちだす。
「っと、びっくりした!」
まさかスケルトンの見た目から魔法が飛んでくるとは思わず、タケルは驚く。エネルギーの塊は、きっちりと右手で上空へと弾き飛ばしていた。
エルダーリッチは、背中の骨を砲台のような形へと変化させる。みるみるエネルギーがそこへ集中するのが分かる。
「あれはちょっとヤバいかな?」
「そうね。確かに、地面に当たると面倒だわ。上へ撃たせた方が良いと思うわよ」
「だよね」
タケルは翼を生やし、上へと飛ぶ。エルダーリッチは目標をタケルへと定めているため、砲をタケルへ向かって追従させる。さらに、骨の手を繋いだような鎖を伸ばし、タケルの動きを制限する。
「食らうがよい。ダーク・キャノン」
砲台へ莫大な魔力が集まり、黒い塊となって撃ちだされる。速度はそれほどでもなかったが、魔法自体に意志があるようで、自在に動きタケルを追跡していた。
「これ、何かにぶつかるまで消えないとか無いよね? それなら、エルダーリッチにぶつけるだけだね」
よくある、対象の直前で急上昇する事によってミサイルなどの追跡物を本体にぶつける方法を試す。しかし、タケルの予想以上にダークキャノンの追跡能力は高く、きっちりと急上昇したタケルにもついて行く。
「馬鹿め。それは対象に当たるまで永久に追跡するわ」
エルダーリッチは、さらに両手からも黒いエネルギーの塊を飛ばしてタケルの邪魔をする。
「それなら、僕も魔力弾で・・・っと、地面に向けちゃまずいよね」
さっきの二の舞にならないように、タケルはダークキャノンを自身の上へと誘導すると、それに魔力を撃ちだす。魔力弾にぶつかったダークキャノンは大爆発を起こす。思ったよりも破壊の規模の大きかったダークキャノンに驚くが、きっちりと消すことには成功した。
「ダークキャノンすら効かぬとは・・・」
さすがのエルダーリッチも、自身とタケルの力の差を完全に理解していた。このままでは負けるという事が分かり、せめて何か痛手を与えようと辺りを見回す。
「あの小娘だけでも道連れにしてくれるわ」
もはや勝ち目がないことを理解したエルダーリッチは、怪我を負って倒れているヨーコを目標に、再びダークキャノンの準備をする。
「させないよ!」
それを見たタケルは、ダークキャノンを止めるために砲台を破壊する。しかし、エルダーリッチは破壊されることを見越していて、今回の発射口は胸部に変更していた。
「我のすべてのエネルギーをくれてやる。ダーク・キャノン!」
ダークキャノンを放ったエルダーリッチは、すべてのエネルギーと言うだけあって放った後に骨が崩れだす。
「ダメですよ。1対1で他を攻撃してはいけないんですよ?」
近くに居たシュガーが、右手を甲殻で覆うとダークキャノンを掴み、そのまま握りつぶしたのだった。




