よーこ
自己紹介が終わったあと、妖狐はタケルに近づく。
「ところで、兄さんは人間やよな? 結構な魔力を感じるんやけど」
タケルは魔物にこそなったものの、今のところ姿形は人間のままだった。やろうと思えばエリザのように翼を生やす事はできるが、必要の無い時に翼があると邪魔なだけである。
「あれ? 言葉遣いが・・・。うーん、今は魔物なのかな? 自分でもよく分からないや」
「うち、転移した場所は関西の方やってん。そこで人間の言葉を覚えたんはえーんやけど、なんやこっちと言葉がちょいと違ってたんや。けど、うちはあっちの言葉の方が話しやすいけん、よろしゅー」
「そうなんだ。それで、僕が人間かどうか確かめた意味って?」
「そうそう、兄さん、うちと子作りせーへん?」
「「なっ!?」
タケルとシュガーは同時に叫ぶ。
「絶対に、お兄さんとそんなことはさせません!」
「そもそも、獣人と魔物じゃ子供はできないわよ?」
エリザは、冷静にそう注意する。
「だから、兄さんが人間かどうか確認したんや。完全な魔物って感じはしないし、うちの本能が兄さんとなら子作り出来るってゆーてるわ。それも、極上の子供が出来る予感がするんよ」
「だとしても、絶対にお兄さんはあなたに渡しません!」
「別に、あんたのものともちゃうやろ。兄さんはどうなん? こう見えてもうちは、この世界基準でも美少女やと思うんやけど?」
妖狐の言う通り、獣耳と尻尾を除けば十分に美少女だった。トップアイドルと言われても納得できるほどに。
「僕は、会ったばっかりの君とそういう関係になる気は無いかな」
「じゃあ、時間をかければおっけーやな? それじゃ、うちは兄さんと一緒に行動するわ」
「それもダメです! お兄さんは私と一緒にずっと居たんですから、今更あなたが居なくても問題ありません!」
「一緒に行動するというのは賛成しますわ。実際、妖狐の潜在能力は高いですし、何よりあなたたちと行動させると予想以上の結果が起きる気がしますもの」
「それじゃあ、うちにも名前ちょーだい。何や、この世界の人間は名前ゆーもんがあるんやろ? うちにもそれを付けて欲しいんよ」
「えっ、僕がつけるの? リナリアさんにつけてもらったらどうかな? コハクはつけてもらったみたいだし」
「うちは兄さんがええんよ」
「と言われても、妖狐の名前なんてここじゃいいイメージ無いんだけど。妖狐、妖狐ねぇ」
日本や中国でも、妖狐と言えば玉藻なり妲己と大抵悪の方だ。
「よーこが呼びやすいん? そなら、ヨーコでええよ」
「あっ、いいんだ」
こうして、新しい仲間としてヨーコが加わった。




