オリジン
「あっ、ちなみに魔界ではブラッド・オリジンっていう名前だったわよ? 地球では、それをヴァンパイアって言う方が分かりやすいってだけで」
「まあ、ヴァンパイアって言われれば分かりやすいけど、僕も魔物の仲間入りかぁ・・・」
タケルは、ちらりとシュガーを見る。シュガーは、魔物として仲間入りしたタケルの事を歓迎している。なぜなら、まず寿命が違う。死にやすさが違う。そして、やはり魔力を持つという事がとても重要だった。ほんの少しだけタケルから魔力を貰うだけでAランク以上の蟻兵を産み出せたシュガーが、今のタケルから魔力を貰えばどんな蟻兵が産まれるのか。
「その事については、あとで説明してあげるわ。あなたの目覚めと同時に、私の魔力も使えるようになったから、リナリアから調査の再開をお願いされるわね、きっと」
エリザはタケルと眷属としての強い繋がりがあったため、魔力を溜めた後も魔法を使う事が出来なくなっていた。しかし、タケルが目覚めた事で全盛期の状態へと戻る。
「よぉ、目が覚めたんだって?」
次に保健室へ入ってきたのはコハクだった。コハクも少し成長し、身長が伸びていた。格好も女子大生風に変わっている。
「コハク? 少し見た目が変わったね」
「見た目だけじゃないよ、あたしは強くなったんだ。まぁ、今のあんたにはあたしのほうが強いとは言えないだけど・・ははっ、何もしてないやつに強さで抜かれるとはね」
コハクはタケルの魔力量を感じて乾いた笑いが出る。コハクの5年前の強さはCランク~Dランクの間くらいだった。今ではAランク~Bランクの強さになり、神獣化も以前より長時間変身できるようになっているが、それはあくまで奥の手であって、コハク自身の実力はAランクくらいだと自負している。なぜなら、同じ大学に通うヒメと手合わせして同じくらいの強さだからだ。
「僕自身、まだ自覚は無いんだけどね。とりあえず、感覚が色々と違っていることは分かるけど、不思議と違和感は無いんだよね」
「当然よ。本能として、自分の出来ることは大体分かるはず」
「あっ、お兄ちゃん、目が覚めたんだね」
次に、ジーナが保健室へと入ってくる。ジーナはエリザと大体一緒に居るので、少し遅れてやってきたのだ。ちなみに、妹キャラは継続中である。ロープレは、長ければ数百年は続けることもあるのだ。
「ジーナは変わらないんだね。でも、今ならジーナの力が分かるよ。強いことは知っていたつもりだったけど、本当にすごい魔力なんだね」
「妖精族の中でも、ロードと呼ばれているからね。でも、今のお兄ちゃんには簡単には勝てなさそうかな?」
「いや、戦うつもりは無いよ? 僕自身、強くなった実感は無いし」
「その魔力量でそう言われると、あたしには嫌味に聞こえるよ・・・」
コハクが、訓練場で戦おうと言う気が起きない程度には実力差がはっきりしていた。5年前と違い、今のコハクは相手の魔力量を測る事が出来るようになっていた。以前は、まったく分からなかった為に痛い目にあったが。
「ところで、リナリアさんを5年も待たせて怒られないかな?」
「大丈夫よ。ハイエルフにとって5年なんて、人間にとっての数時間程度だもの。多分、100年くらい待たせても何も言わないわ。いえ、小言くらいは言われるかしらね?」
「そ、そうなんだ・・・。それは気長と言うか、何と言うか」
「とりあえず、報告はしておきましょう。この5年で世界情勢は変わっているのだから」
「分かった」
タケルは、5年の間に何があったか気になっていた。




