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世界の異変  作者: 斉藤一


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目覚め

エンペラースライムの核の破壊には成功したが、魔石を手に入れることは無かった。素材も、海に沈んでしまい、この戦いでは得られるものは何も無かった。

元々魔力不足の状態であったエリザは、無理やり本来の力を使ったため、魔法を使う事が出来なくなっていた。そのため、補佐としてジーナがつきっきりで付き添っている。

リナリアの目的であった魔石集めは、コハクとエルダーエルフだけで行わなければならなくなったため、強い魔物と戦えず、遅々として進まなくなった。シュガーは、眠りについたタケルの傍にずっと居るため魔石集めには参加していない。


そして、Sランクの魔物であるエンペラースライムが倒された日から5年の月日が経過した。リナリアの魔石集めは進んでいないものの、ユグドラシルの根の拡張は順調に進み、今では全世界をカバーできるほどまでになっていた。その根の魔力だまりには、強い魔物が集まり、さらには弱い魔物も自然発生するまでになっていた。


また、魔素が濃くなったため、人間にも変化が現れていた。空気中の魔素を呼吸によって取り込み、体内に魔力を保有できるようになった。魔石は無いため、魔力を溜めることはできないが、酸素を体に取り込むように魔力も多少保有できるようになっていた。そのため、魔法が使えるほどでは無いが魔道具なら使用できる人間が増えて来ていた。


大きな国では、軍によって排除した低ランクの魔物の魔石や素材を、道具として利用できないかと研究されていた。そこに、協力的で知能の高い魔物が関与する事によって、人間でも魔物にダメージを与えられる武器や道具が作られていた。


ただ、その進歩と引き換えに、5年間で地球からいくつもの国が消えた。Sランク魔物を排除しようと軍を仕向け、返り討ちに遭い滅亡した国。魔物の縄張りが広がり、人間が生きていけない環境になった国。強力な魔界の動物が繁殖し、人にとって危険地帯となった国など様々だ。


人間の中には、魔物を狩る事を仕事とする者が現れていた。もともと、危害を加えなければ比較的安全であった魔物を刺激する結果になり、人間側の被害が増えたのだが、それでも魔石や素材が高値で国に買い取られるという事もあり、魔物を狩る人間は増えていった。


そしてある日、タケルは目を覚ました。タケルが目を開けると、シュガーが顔を覗き込んでいた。


「僕、生きてる?」


「はい。タケルさんはエリザさんの影響で、ずっと眠りについていたんですよ?」


「そうなんだ? ところで、シュガー、成長した?」


シュガーは、小学校の低学年くらいの見た目から、中学生くらいの見た目に変化していた。


「はい。私の魔力保有量が増えると共に、姿も少し大きくなりました。それより、おはようございます、お兄さん」


「あっ、おはよう。って、ちなみに今は何時?」


タケルの感覚では、エンペラースライムと戦った日の次の日くらいの感覚であるため、ちょっと長く寝てしまったのかな? という感じだった。


「今は、朝の7時です。でも、お兄さんが眠ってからは5年経っていますよ?」


「えっ!? 5年! そんなに僕は寝てたの? ってことは、ここは病院?」


タケルは改めて部屋を見回すが、保健室の様な場所である事しか分からなかった。


「ここは、大学の保健室ですよ?」


「保健室? 僕、点滴も何もしてないみたいだけど、本当に5年も経ったの?」


シュガーは、証拠とばかりに壁にかけてあったカレンダーをタケルに見せる。


「本当だ・・・。その割に、僕の体はやせてないし・・・どころか、むしろ筋肉がついてる?」


タケルは自分の体を確認するが、前よりも鍛えてあるような体つきになっていた。それに、5年も寝たきりだったのに空腹も感じない。


「それはそうですよ。だってお兄さん、エリザさんの眷属になったんですから。今の濃い魔素なら、魔物は食事不要ですよ?」


「え・・・魔物? えーーー!?」


死を覚悟したはずのタケルは、魔物となって目覚めたのだった。

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