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世界の異変  作者: 斉藤一


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クイーンスパイダー

エリザ達は、最後にお化け屋敷へと向かう。このお化け屋敷は、期間限定で開放される施設であり、まだ開放前であるためお客は居ない。そのため、調べるのも最後になったのだ。


「あの建物で最後ね」


「他の場所には何も無かったね、お姉ちゃん。それに・・・」


ジーナの言葉を遮るように、一人の女性キャストが近づいてきた。その視線は、どこかずれている。


「どうかしましたか、お客様? この施設はまだ開放されておりませんので立ち入りは禁止されております」


「ちょっと調べたいことがあるのよ。通してもらえないかしら?」


「ですから、立ち入りは―――」


女性キャストは、立ち入り禁止と言いかけて動きが停まる。数秒後、再び口を開いた。


「どうぞ、特別に中へご案内します」


女性キャストは、エリザ達を建物の中へと案内する。建物内は暗く、非常出口の灯りくらいしか無かった。天井からボロい布が垂れ下がり、ところどころ蜘蛛の巣が張られている。そして、通路には本物にしか見えないような白骨死体が転がっていた。


奥へ進むと、少し広い部屋になっていて、他の場所以上に蜘蛛の巣が張り巡らされている。そして、天井から2メートルほどの巨大な蜘蛛がツッと降りてきた。


「ジャイアントスパイダー・・・いえ、この魔力量ならクイーンスパイダーかしら」


「ようこそ、客人。魔力はほとんど感じないが、この場所へ近づける時点で人間では無いのだろう?」


クイーンスパイダーは、意外にも言葉を話せた。それも、きちんと日本語を。そのため、タケルにも言葉が通じる。


「あら、話せるのね。それも、共通言語じゃなくて日本語を」


「私は情報収集が得意でね。この場所を訪れる人間達から言葉を学べたよ。それで、改めて聞こう。ここへ来た目的は何だ?」


「私達は、Aランク以上の魔物を集めているの。私はどちらでもいいのだけれど、依頼主が魔界へ帰りたいみたいで、そのためには魔力が必要なのよ」


「ふむ。そのランクというのは知らないが、要は強い魔力を持つ者を集めていると? ならば、私は協力しない。なぜなら、私はここに新しく自分の世界を作るからだ。分かったら、帰るがいい」


「そうは行かないわ。協力しないのなら、魔石として持ち帰らせて貰うもの」


案外平和的な提案をしてきたクイーンスパイダーに対し、エリザは敵対の意思を示す。タケルとしても、このままクイーンスパイダーを放置すると人間に被害が出そうなので、退治する事には賛成だ。


「・・・その程度の魔力しか持っていない分際で、私に敵対するだと? 馬鹿なのか?」


「馬鹿はあなたよ。強い魔物を集めるために、弱いものが来るとでも?」


エリザは、アラクネでは無かった事に安堵し、Aランク程度なら全く問題ないと強気である。


「ちっ、まだ戦力が育っていない状態で、この極上の魔力場に来るとは。―――やれ」


クイーンスパイダーが命令すると、天井から人間が十数人蜘蛛の糸でぶら下がってくる。そして、女性キャストとその十数人の人間の背中が割れ、蜘蛛の足が生える。


「うえっ、グロい! なにこれ、化物?」


タケルは、白骨死体ならまだ大丈夫だったが、ゾンビのような見た目のグロ耐性は持っていなかった。蜘蛛人間達――スモールスパイダーに体を支配された人間達――は、口から蜘蛛の糸を放ってエリザ達を捕らえようとする。


「ファイア・サークル」


ジーナは、すぐに辺りを発射された蜘蛛糸ごと炎で燃やし尽くす。建物に燃え移らないように上手く操っているため、綺麗に蜘蛛糸だけが焼かれる。


「魔法使いだと? だが、その程度なら準備はある」


新たに天井から蜘蛛が落ちてくる。その蜘蛛の体の色は赤い色で、ファイアスパイダーと呼ばれる火に耐性のある蜘蛛だった。その蜘蛛は、ジーナの火の輪を貫通して蜘蛛糸を発射する。


「私の魔法は、別に火だけじゃ無いよ? ウィンド・カッター」


ジーナは、左手から不可視の風の刃を飛ばし、蜘蛛糸ごとファイアスパイダーを両断する。


「馬鹿な! その程度の魔力量でファイアスパイダーを倒すなど!」


「馬鹿はあんただって言ってるでしょ? 魔力量くらい、コントロールできないとダメよ? それと、相手の魔力量をしっかりと測れないとダメね」


エリザは、わざと魔力量を分かる様に開放する。


「スカーレット・スカー」


エリザは、両手を何回か振ると、数十人の人間達が細切れになっていく。


「わ、私を殺すのか?! 私を殺すと、アラクネ様と敵対する事になるぞ!」


アラクネは、クイーンスパイダーの中でもごく一部のものが長い期間魔力を溜めて進化した魔物である。そのため、エリザの動きも止まる。


「・・・ここに、アラクネが居るの?」


「そ、そうだ。だから、今なら許してやるから、立ち去れ」


クイーンスパイダーは、勝ち目がないとみてエリザ達に帰るよう促す。極上の魔力だまりを手放すのはもったいないが、死ぬよりはましだと判断した。


「ジーナ」


「分かったよ、お姉ちゃん」


ジーナの体が一瞬ひかり、ケットシーの姿へと戻る。そして、ジーナの姿がうっすらと風景に溶け込んで消えた。


「な、何をしている! これ以上ここに留まるなら、アラクネ様を呼ぶぞ!」


クイーンスパイダーがそういい終わると同時に、ジーナの姿が再び現れ、すぐに妹キャラの姿へと変身する。


「ここには、他に何も居なかったよ、お姉ちゃん」


「やっぱりそうよね。魔力を隠蔽して隠れている可能性を考えたけれど、アラクネなら隠れる必要は無いものね」


「な、何を言っている。アラクネ様を呼ぶぞ!」


「どうぞ? 本当にいるのなら、ね」


さっきの一瞬で、ジーナは自らを精霊化することにより、この付近の魔力を完全に探知していた。そして、アラクネはおろか、ろくな戦力はすでに居ない事も分かった。


「き、貴様ら・・・。貴様らが来なければーーー!」


クイーンスパイダーは、やけになり、一番弱そうなタケルへと襲い掛かる。エリザもジーナも、タケルが襲われるとは思わず、油断していた。それに、シーサーペントの鱗なら大丈夫だと分かっている。しかし、襲われる事自体をよしとしない存在の事をクイーンスパイダー知らなかった。


「お兄さんに、触れるな!」


シュガーは、右手に魔力を集め、手を1メートル程の大きさの甲殻にする。そして、その手でクイーンスパイダーの頭を掴むと、ぐしゃりと潰した。







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