子作り
「何を騒いでいるのかしら?」
タケルとクイーンアントの大声を聞きつけて、エリザ達が少し離れていたタケルの方に近づいてくる。メンバーは、コハク、ジーナ、エリザ、姫の4人で、女子高生3人とはすでに別れ、秘書エルフは車を駐車場へと入れに向かっていた。
「えっと、この子が変な事を言うから、ちょっと大声になっちゃっただけだよ」
「誰、その子?」
コハクがタケルに問うが、その答えはタケルも知りたいところだ。そして、エリザがクイーンアントをみて驚く。
「クイーンアント? これは驚いたわ。その子、魔物の中でも珍しい、器をもった個体だわ」
「器? 器ってどういうこと?」
タケルは、クイーンアントを見るが、器が何か分からない。言われたクイーンアントも、何のことか分からず小首をかしげる。
「器って言うのは、とても珍しい現象で、魔物が産まれる瞬間に、近くに器となる生物が居ると、その生物を器にして魔物になるの。ちなみに、ジーナも器を持つ魔物よ」
「お姉ちゃん、私だけじゃなくて、お姉ちゃんもでしょ」
「そうなの? それって、普通の魔物とどう違うの?」
タケルは、ジーナとエリザを改めて見るが、器がなにか分からない。とりあえず、ジーナとエリザは特別だという事だろう。そして、タケルの問いにはクイーンアントの事をじっと見ていた姫が答える。
「うちも器の事は分からないけど、同じクイーンであるはずのうちと、この子じゃ保有魔力が絶対的に違うよ。当然、この子の方が遥かに多いってこと」
「そうよ。魔力の器よ。イメージとしては、普通の魔物がワタアメみたいにふんわりとした魔力を保有してるとしたら、器は風船やビニール袋に入れて固めたような感じかしら。器があるのと無いのとでは、魔力を留めておく力が違うのよ。だから、必然的に器を持つ魔物は、同じ種類の魔物よりも1ランクも2ランクも上の強さを持つわね。つまり、ここに居るクイーンアントは、普通のクイーンアントのAランク以上、恐らくSランクに相当するわね」
「Sランク・・・こんな小さな子が?」
「あら、魔力の大きさに身長は関係ないわよ? 大きさが強さに直結するなら、体長が何十メートルもあるシーサーペントが最強になってしまうわよ」
実際には、大きい方が保有魔力量が多いため、大きい種族ほど強いのだが、それに合わない魔物も多いため、身長がすべてではない。それに、ランクが高い魔物は、自分の姿を自在に変えられるものが多いため、なおさら見た目では判断できない。
「お兄さん、この人たちは・・・? 全員、メスみたいですけど・・・ハッ! まさか、全員お兄さんの奥さんですか!?」
クイーンアントの大声に、それを聞いた周りにいた大人の、主に男性がタケルを睨みつける。美女であるエリザ、高校生くらいの美少女の姫、中学生くらいに見える美少女ジーナ、活発そうな美少女であるコハク。さすがに、ジーナをハーレムの一員と見るには幼いが、それでも複数の美女、美少女を一人の男が独占しているなど許されるはずがない。
「違います! 僕は、結婚なんて誰ともしていません!」
タケルは、周りの人たちに大声でハーレムを否定する。なんだそうかと、男性たちは離れていく。特にイケメンでもないタケルが、そんなにモテるはず無いかと納得した者は去り、それでも複数の美少女たちと仲良さそうに話しているタケルを恨めしそうに見る者がいくらか残る。しかし、それで手を出そうとするような今生のある男はここに居なかった。
「そうですか。それなら、私と子作りしてもいいって事ですね!」
「あら、面白そうね。いいんじゃないかしら?」
意外にも、エリザから子作りの許可が下りるが、エリザがOKしたからといってタケルがOKなわけではない。
「なんで!? どこにそんな要素があったんだよ! こんな小さな子供とそんなことできるわけないだろ!」
「知らないの? クイーンアントの子作りっていうのは、自分の魔力と他者の魔力を混ぜて作り出す兵士の事よ」
「知らないよ! って、えっ、必要なのは魔力なの?」
「なんだと思ったのかしら?」
「子作りっていうから、てっきり・・・」
顔を赤くするタケルを、冷めた目で見るジーナ。よくわかっていない姫は無反応で、子作り自体は何をするのか分かるコハクは、ニヤニヤとタケルを見るのだった。




