ゴブリンクイーン・姫
ゴブリンキングの拠点である廃ビルでは、様々な人間が攫われて飼われていた。と言っても、基本的に情報収集が目的の為、扱い自体は良い。
そこに、ギャルと話すゴブリンクイーンが居た。
「へー、今の流行ってそうなんだ」
「だよ、うちのお気に入りはこれ」
「いけてんじゃん、うちも真似ようっと」
ゴブリンクイーンは、数日前に連れてきた古いタイプのコギャルの事が気に入り、姿も真似ている。肌は緑色なので変わらないが、紙は金髪に、爪はネイル、服はミニスカに制服である。身長は元々小さいため、見た目だけで言えばJKである。
そんなゴブリンクイーンは、ギャルと今の流行アクセやユーツベについて話をしていた。
ちなみに、ゴブリンクイーンの魔物ランクはリナリアでいうところのAランクであり、ゴブリンキングと遜色はない。しかし、オスは筋力、メスは魔法に優れている傾向があり、パワーがすべての種族であるオーガにとっては、メスは立場が低い。さらにいえば、オスとメスが交わって子供を作るわけではないため、さらにメスの価値は低かった。メスの存在は、単なる職業の違い程度でしかない。
「でも、うちらもそろそろ家に帰らないとやばくない?」
「だいじょぶっしょ。今更親がうちらのこと探してるとも思わないし」
「だよねー。うちら、しょっちゅう家出してるし」
ギャルたちは、現在の状況に特に不満は無かった。食事は3食用意され(料理の作れる人間に作らせている)、特に何かしろと命令されるわけでもない。ただ、オーガたちに言葉や情報を提供するだけで安定的な生活を送れるのだ。それに、欲しいものも何でも用意してくれる。
ギャルたちが来る前に、一人のサラリーマンが殺されているらしいが、自分達にとって関係ない人だと思い、気にしていない。
「ねね、クイーンっち、って呼びにくいから姫っちでいい?」
「うちのこと? うちに元々名前なんて無いから何でもいいよー」
「それなら、姫っちでいいね」
「りょ」
オーガクイーンは、オーガクイーンとしか呼ばれた事は無かったが、それは人間で言えば男、女と呼ぶ様なもので名前とは全然別だ。なので、オーガクイーン、姫は自分の名前をつけてもらったことに頬を少し赤くして喜ぶ。
「姫っちは他に何か知りたいこととかあんのー?」
「そだねー、うちはもっとあんたたちの事が知りたいよ」
「うちらの事? なんでも話すよー、うちら、仲間じゃん」
「みんな……」
姫は、あっさりと受け入れてくれるギャルたちに感動する。オーガの群れの中でも仲間外れに近かった姫は、オーガたちよりもギャルの方を仲間だと感じ始めていた。
しかし、姫はこの生活が長く続くとは思っていなかった。ギャルたちの話では、人間を一人殺すことの意味は、オーガたちが思っているよりも重いという事、そして、討伐の対象となる事を理解していた。
よって、姫はこのギャルたちを早めに逃がす事を決意する。
「ね、聞いて。ここから逃げるよ」
「どして? ご飯も寝どこも、欲しいものも簡単に手に入る生活に不満はないよ? まあ、外に出れないからカラオケとかショッピングに行けないのは不満だけどね」
「多分だけど、近いうちに問題が起きると思うんだよね。それに、やな気配が近づいてきてる」
姫の魔法は、探知範囲が広く、魔力の強弱だけ見るのであれば広範囲の事が分かる。つまり、エリザ達が近づいてきた事が分かった。
「姫っちがそういうなら、うちらは任せるよ」
「うんうん、うちら、もともと自由が好きだからねー」
「だよね。じゃあ、姫に任せるよー」
オーガクイーン、姫は、3人の女子高生を連れてオーガキングの元を離れることを決意した。




