表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
世界の異変  作者: 斉藤一
2/140

次元回廊

「まさか、自ら死を選ぶとはの……」


「あのものは最近、ずっと日本へ帰りたいとしか言っておりませんでした。暇がそれほど苦痛であったとは思い至りませんでした……」


「せめて、墓は遺品と共にあ奴がこの世界に来た場所へ立ててやるか」


女王の世界では、死体はすぐに風化し、砂と化すため墓を建てるという習慣はない。けれど、過去に現れた流浪の民から日本の常識をある程度学んでいたため、女王は墓を建てる事にした。


「さて、どこが良いか。やはり、洞窟の中かの」


「女王様……」


「何じゃ? じぃに何か案があるのか?」


「いえ、墓の事ではなく空を見て下され」


「空じゃと?」


女王が空を見上げると、小さな粒が見えた。その粒は、徐々に大きくなってきている。


「魔法か?」


「いえ、どう見ても自然現象だと思います。あれは、隕石でございましょう」


「ほぅ、初めて見たな」


しばらく見ていると、拳大の大きさになり、段々と落下地点がはっきりしてくる。


「……のぅ、じぃや。あれはこの近辺に落ちるのではないか?」


「だとすれば、こうしては居られませぬぞ! すぐに避難しなければ!」


「この地を、あの者のゆかりの場所を破壊させる訳には行かぬ。私があれを排除する」


「正気でございますか!? 大きさを見るに、数キロはありますぞ!」


「城を維持している魔力をすべて戻せばあるいは。じぃは逃げてよいぞ」


「わたくしの命は女王様のものでございます。微力ながら、わたくしも力を尽くします」


「ふっ、では参ろうか」


女王は、隕石に向かって飛ぶ。隕石のスピードはすさまじく、すぐに地表へと到達しようとしていた。地表数十メートルの所で、女王は城の魔力をかき集め、前方に障壁を展開する。じぃは女王へと魔力を供給する。


「くぅぅ、思ったよりも、遥かに重い、のぅ」


「女王様! やはり無理がございます!」


「無理など初めから分かっていた事。何としても、何とかするのじゃ!」


女王は、自分の生命力も魔力へと転換し障壁を強める。しかし、隕石は衝撃で砕けながらも止まる事は無い。


「くぁぁああああ!」


「女王様ーー!」


隕石は、障壁によって落下地点こそ反れた。地表にぶつかりクレーターを作り、破壊的な暴風が辺り一面を吹き飛ばすはずだった。


「…………何も、起きぬ?」


「…………一体、どういうことでございましょう?」


「!! じぃ、あれを見よ!」


「あれは、次元の裂け目ですぞ!」


隕石の衝突エネルギーは、すべて時空に亀裂を広げることに使われた。洞窟の近くには、元々不安定な時空の亀裂があり、隕石によってそれは次元回廊と呼ばれる現象へと変化した。その変化は、女王の世界のすべてに時空の亀裂を入れる。


「周り中に次元の裂け目が出来ておる! 逃げよ!」


「女王様、す、吸い込まれますぞ!」


女王とじぃは、それぞれ近くに出来た次元回廊へ吸い込まれる。女王の世界各地で発生した時空の亀裂は、近くに居た生物や物質を吸い込み消滅していった。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ