“兄貴、一体何やってんだよ” と俺の弟にそう言われて俺は俺に戻る!
・・・この時の俺の記憶はまだない。
そして次の言葉を俺が訊いたときに、俺は俺に戻った!
“兄貴、一体何やってんだよ”
俺は血まみれの包丁を持ってそこに立っていた。
見慣れた場所、ココは俺と家族が住んでいる家のリビングだ!
フローリングは何かを引きずった跡が残っている。
俺の弟は、俺を怯えながら見ていた。
『・・・な、何がどうなってんだよ、』
『兄貴、父さんと母さんをヤッたのか?』
『えぇ!? 正儀、何ってんだよ、なんで俺が、、、!?』
よく見ると? 血まみれになった父親と母親が倒れている。
誰かに胸を深くまで刺された痕も残っていた。
『・・・こ、これを、俺がしたのか?』
『オレは今、バイトから帰って来て、そしたら兄貴が血まみれの包丁を
持って、そこに立ってたんじゃないか!』
『お、俺がヤッたのか?』
『それをオレが兄貴に訊いてんだよ! ヤッたのか?』
『・・・そ、それが、何も、憶えてないんだ、』
『憶えてないって、自分の事だろう!』
『・・・でも? 記憶がないんだよ。』
『・・・何時からないんだよ、なんで父さんと母さんを、』
『だから、俺は何も憶えてないって言ってんだろう!』
『取り合えず、警察に行こう。』
『俺は何も憶えてないんだよ、ひょっとしたら? 俺はヤッてないかもしれ
ないじゃないか!』
『誰が信じるんだよ、そんな訳の分かんない言い訳をさ。』
『・・・で、でも俺は何も憶えてない! 頼む正儀、俺に協力してくれ!』
『・・・ま、まさか? 逃げるつもりなのか?』
『あぁ、そうだ! 逃げよう!』
『・・・じゃあ、取り合えず父さんと母さんの遺体を隠すしかないな。』
『あぁ、そうだな、手伝ってくれるか?』
『“まあな、こんなんでも俺の兄貴だから協力するよ。”』
『ありがとう、正儀!』
俺は弟に協力してもらい、父親と母親の遺体を床下に穴を掘り埋める事にした。
俺は着ていた服を庭でドラム缶に火をつけゴミと一緒に燃やす。
血まみれの包丁も、誰にも分からない場所に隠した。
それは弟にも内緒にしていた事だ。
何らかのキッカケで、弟が警察に訊かれた場合の事を考えて事だった。
『なあ、先ずは二人を生きてるように見せかけないとな、』
『母さんの携帯からオレの携帯にLINEで二人で旅行でも行った
事にすればいいよ。』
『・・・あぁ、悪いな。』
『兄貴、これからどうするんだ?』
『分かんない、まだ何も考えられないんだ!』
『そっか、取り合えず一緒に居ない方がいいと思うんだ。』
『そうだな、何かあったら? 外から連絡するよ。』
『あぁ、じゃあな。』
『あぁ!』
弟は俺の為に、いろいろとしてくれた。
偽の母親からのLINEや俺達両親の遺体の処理など、、、。
父さんや母さんを殺したかもしれない兄貴を庇う弟。
・・・ただ何も俺は憶えていないんだ!
俺は何処へ向かうのだろう、ひたすら北へ向かって車を走らせる。
いつか俺は警察に捕まるのだろうと覚悟も決めた!
ただその時まで俺の記憶は思い出されているのだろうか?
“本当に俺が両親を殺したのか?”
今は何も考えたくない!
ただただ、俺は何も考えず車を何処までも走らせるだけだった。
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