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4-5話 例えば君が傷ついて

次の瞬間、俺の視界いっぱいにニンテージの機影が飛び込んでくる。操縦桿を全力で倒し、ブライXの機体を横にスライドさせた。火線が駆け抜ける。鉄骨を砕き、爆ぜた火花が雨のように散った。


「ヨケタ?」


心臓が喉元まで跳ね上がる。カットリの狙いは寸分の狂いもない。あれは……紛れもなく、あいつ自身の技量だ。


「クダケ……ツミ……」


けれど、声は機械にされたように冷たかった。


「くそっ……カットリ!」


返事はない。返すのはミサイルの警告音だけだ。レーダーに赤点が三つ瞬く。


「シネ…………」


「だったら、フレイムフェザー!」


羽根を展開し、急上昇しながら逆噴射。ミサイルが軌跡を描き、二発がフェザーで爆発した。だが、残り一発がなおも食らいついてきた。寸前で機体をロールさせ、コンテナの影へ潜り込む。直後、爆風が機体を揺さぶった。


「ちっ…洒落になってないな…」


呼吸が乱れる。だが、止まってはいられない。俺はトリガーを引き、アイシクルハルバードを展開。コンテナを両断しながら突き進んだ。狙うはニンテージの胴体部——!


「タタキ……キル……」


だが、カットリはすでに動いていた。グレネードが射出され、爆炎が視界を覆った。反射的に氷を前に展開する。


「チカラ……ムダ……」


しかし衝撃が腕を通じて骨に響いた。痛みで歯を食いしばる。


「ちっ……やっぱり、全部覚えてやがる」


互いの死角を奪い合うように、鉄骨の迷路を駆け抜ける。ブライXのスラスター音が耳を劈き、シートが背中を押し潰す。操縦桿を握る手が汗で滑りそうだ。冷たい液体が額を伝う。恐怖か、焦りか、それとも……悔しさか。


「いや…違うな、あの時強引にでも連れ戻さなかった俺の責任だ…俺のだから」


ニンテージの機影が視界の端にいた。間合いが近い! 咄嗟にスラスターを噴かし、機体を捻る。


「ハジク……クダク……」


アイシクルハルバードとニンテージの刀が火花を散らしながらぶつかった。金属の悲鳴。震動が全身を打つ。


「はぁっ!」


渾身の力で押し返す。しかし、カットリも退かない。互いに刃を押しつけ合い、火花が雨のように降り注ぐ。


「……カットリ、聞こえるか! お前は俺の仲間だ! 操り人形じゃねぇ!」


ニンテージ、その奥のパイロットは別人のように見えた。冷たい、無機質な視線。俺を“敵”としてしか見ていない目だ。


「……ナカマ……イラナイ……タタカイ……ダケ」


叫んでも、通信は返ってこない。むしろ、さらに力が強まった。機体が軋む。警告音が耳を裂く。このままじゃ負ける。だが、引くわけにはいかない。


「だったらこれならどうだ!」


俺はハルバードを捻り上げ、強引に体勢を崩す。機体が悲鳴を上げながらも敵を押し返した。その隙に急上昇、死角を取るべく背後へ回り込む。


「コロス……タダ……ソレダケ」


だが、読まれていた。ニンテージが反転し、すでに銃口をこちらに向けていた。


「っ!」


閃光。耳鳴り。衝撃が胸を突き抜けた。コックピットが揺れる。赤い警告灯が乱舞する。装甲が吹き飛ばされた。シートに叩きつけられ、息が詰まる。視界が霞む。だけど——終われねぇ!


「俺は……先に進む!だからお前も!」


全スラスターを解放。残光がコンテナ群を照らし出す。ブライXと、一直線にニンテージへ突撃した。


「……トリモドス……?……ダレヲ?」


一瞬、声が揺らいだように聞こえた。カットリの砲口が光を帯びる。迎撃されれば終わりだ。だが、その刹那。心の奥底で確信が灯る。カットリ、お前はまだ——


「フレイムウィング!」


打たれる前に、こちらが打つ一瞬でもチャージが遅ければ俺は死ぬ。だが今は夜…シャイニングビームは打てない、それでも夜も味方してくれる!


「これで、目を覚ませぇぇぇぇぇぇ!!!」


ムーンライトレイχそれが俺の答えだった。大量の蒼い刃が夜を裂き、ニンテージの装甲に迫る。次の瞬間、閃光がコンテナゾーンを覆った。轟音。衝撃。視界は白に塗り潰された——。

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