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54やっぱりゲリンの罠があったのだが?

俺達はあっさりとダンジョンを攻略した。いや、ダニエルとフィッシャーのスキルのかみ合わせが最高にいい。何せダニエルの30倍のバフを受けて、フィッシャーの倍返しのスキルが60倍返しとか、もうこれ意味わからん。


結局ダンジョン最下層のボス、地龍は、フィッシャーに放ったブレスを60倍返しで受けて、瞬殺だった。


しかし。


「……ううん、みんな。これは」


それは例の魔族の気配だ。だが、気配は小さい。

するとクリスが心配したのか、俺に近寄ってくる。


「どうしたの? アル? 浮かない顔ね」


「クリス、例の魔物を大量に召喚するヤツの気配だ。今、俺の探知のスキルに引っかかった。だが、何故アイツがこんなところに?」


それを聞いてクリスも首をかしげる。


「そうね。例の男は白鷲教の一味、この処、王都に白鷲教の姿はなかったわよね?」


「そうですよね。リーゼも一度も王都では見かけなかったです……」


「白鷲教?……」


ダニエルが不思議そうに俺達の話を聞く。それはそうだろう、白鷲教が魔族と関わっていることは一部の人しか知らない。レオンやクラウスだって、魔族のことは知らない。


ただ、大量召喚した人物が白鷲教の一味で、召喚には主神ヘルへの多量の信心が必要。


ということだけを知っている筈だ。


「もしや、なんですが、白鷲教の信者は既に王都にたくさんいるかもしれねえです」


「なんだって? どうしてそんなことが言えるんだ? ダニエル?」


「へい。王都で冒険者をしていたころ、とある貴族の護衛をしてやして、その時、貴族が白鷲教の信徒とあっていやしたぜ、なんでもカール殿下からの使いだとか」


何? だとしたらカールは白鷲教の関係者? それに、今、カールの手の者、ゲリンが。


偶然か?


――そう考える訳にはいかなかった。疑惑でしかないが、万が一そうなら?


魔法学園の女生徒たちが危ない。ゲリンが故意にこのダンジョンに引き込んだのなら。


「そう言えば、カール殿下はよく魔法学園の下級生をこのダンジョンで助けてたわ」

「なんだって!?」


「あっしも聞いたことがありやすぜ、何故かカール王子は女生徒のピンチにさっそうと」


クリスとダニエルの証言が確かなら、カールは人気取りのために、故意に魔物を発生させて。


「急いで元の道を戻るぞ!」


「ええ、アルの考えていることわかるわ」


「リーゼも!」


「事情はわからんが、今はアルベルト様に従おう」


「ああ」


「「へい!!」」


レオン、クラウス、ダニエル、フィッシャーが俺達に続く。


杞憂だといいのだが。


だだだだだだだだだだ、と、かなり進んだところで、俺の探知のスキルが例の魔族の気配を検知した。あの、魔物が大量に発生した時の感覚だ。


「み、みんな! この先にデカい魔物と人の反応があるぞ!」


俺がみなに注意喚起する。


「ここは中ボスの部屋よ」


「そうだ、間違いない」


俺達は中ボスの部屋の扉を開け放って。


「こ、これは……」


「最強の龍! バハムートです!」


レオンが叫んだ。


俺は例によってセール品の無銘の剣を抜き放った。


だが、バハムートの視線の先に、別の人たちがいることが見てとれる。


――――怯える魔法学園の1年生。


それに、彼女たちの前には騎士が数名とゲリン。


良く見ると、中ボスの部屋へ入り口の方から、あのカールが進み出てきていた。

そして。


「全く、心配で来てみればやっぱりな。今を時めくアル一行は中ボスを無視して先に向かったらしいな。女学生がいるにも関わらず。全く、奴らにとっては面倒なことなんだろうが、目下の者のこともわからんとはな。私は違うがな」


「キャー! カール様!」


「ありがとうございます。カール様」


「アルとか言うヤツサイテー!」


魔法学園の女学生たちはめいめいカールへの賛辞と俺への悪意を吐露していた。


しかし。


女学生の前に進み出るカール。ゲリンと合流すると。


「ゲリン、瞬殺するぞ」


「承知しました。カール様」


女学生たちの前の騎士たちの更に前に出てくる。


いや、騎士より前に出てくるとか自殺行為だろ?


つまり、これはやらせか?


パーン


激しい音が聞こえた。最強の龍種、バハムートの尻尾による攻撃だ。


それは多分力を緩めたものだったのだろう。普通、即死だ。


だが。


「「あぽぽぽぽーん!!!」」


カールとゲリンは仲良く吹っ飛んで行った。


馬鹿か?


二人の作った大の字の穴を確認している時間はない。


俺達は速攻で、攻撃に移った。


「ハイドロエクスプロージョン!」


「スキル、バフ30倍!」


「スキル、60倍返し!」


「私も腕が鳴る!」


「置いていくな! レオン!」


リーゼの爆裂魔法を皮切りにめいめいスキルを発動したり、剣を抜き放ってバハムートに突撃する。


「光あれ、地は混沌であって、闇が深淵の面にあり――」


クリスは神級光攻撃魔法の詠唱に入った。


いかん。


このままでは。


俺がいいところ何もないじゃないか?


だって、これ、フィッシャーのワンパン一発でケリつくぞ?


俺が目立たん。


魔法学園の1年生が見ているのに?


Dが二人もいるんだぞ――――――――!!


だが、幸い俺にも30倍のバフがかかっていることに気が付いた。


聖剣(スライム剣)を使うにも、魔法を使うにしても、間に合わない。


ならば。


殴ろう。


リーゼの爆裂魔法でこちらに気が付いたバハムートがこちらを向く。


そこを俺は下から上へしこたま殴りつけた。


ばこーん。


バハムートはダンジョンの天井にめり込んだ。


「え?」


「は?」


「嘘?」


「す…」


「「「すごーい!! アル様ぁ!!!!!」」」


女学生の黄色い声が響く。もっと言って、言って。


俺が鼻の下を伸ばしていると、謎の殺気が俺を襲った。


「へ!?」


クリスが俺の方を見て、歪んだ笑みを浮かべている。


リーゼが俺の方を見て、ひきつった笑みを浮かべている。


「この浮気者!!!」


「アル様の浮気者!!!」


二人の魔法が同時に炸裂した。俺に向かって。


俺はカールやゲリン同様伸びたところをレオンとクラウスにおぶってもらって、何とか帰還した。


俺がダサ過ぎるのだが?

連載のモチベーションにつながるので、面白いと思って頂いたら、作品のページの下の方の☆の評価をお願いいたします。ぺこり (__)

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支援職、最強になる~パーティを追放された俺、微妙なハズレスキルと異世界図書館を組み合わせたらえらいことになった。は? 今更戻って来い? 何言ってんだこいつ?~
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