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ホシノ勇者  作者: 城ヶ崎
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第1話 健康診断

ある3月の日、受験シーズンは過ぎその結果発表に安堵する声や悲鳴が聞こえて来る季節の中、推薦という言わば一般受験の人から見たらチートとも言える枠で入学が決まった人間はその様子をコーヒーの一杯啜りながらリビングのソファーでくつろぎ「フーッ」とリラックスしながらSNSのタイムラインでその歓喜の声と悲鳴を眺めていた。

 時刻は11時を過ぎようとしちょうど小腹が空いてくる頃、昼飯の事を考えていた時、ちょうど戦地から帰ってきた(特売帰りの)母から


「大智アンタこんなところでくつろいでて大丈夫なの?」


「え?」


「いや、え?じゃなくて、ほら、学校の健康診断のやつ、もう一時間ぐらい過ぎてるけど。」


 困惑と同時に大智は入学手続きと同時に届いていた入学事前準備の用紙のことを思い出していた。。。


甦る記憶、

滴り落ちる汗、

高鳴る鼓動、


「へ・・・ぇ・・・それって・・・割と行かないと・・・まずいやつなんですかねぇ・・・」


・・・


ギャリギャリギャリギャリ!!!!!!!


(ハァハァ・・・)


 電話越しだけどあんなに謝ったのはいつぶりだろうか、おそらく中学生のころ体育の移動教室時ボイゴットと称し男子一同全裸で教室を占領、クラスの女子と先生を入れなくしたとき以来だろうか。


「ハァハァ・・・ぁ、やっとついた」


 学校までの距離はそこまで遠くなく自転車で20分の距離にある。全力で漕ぐと10分で着く代わりに足に乳酸がたまりすぎて10分の間はまともに動けない。


「フッ・・・何だよ・・たかが10分・・・10分全力で自転車を漕いだだけじゃねーか・・うごけ動けよ俺の両足!!」


校門の右手側にある駐輪場に自転車を止め、事務室向け重い足を呻き声とともに運ばせていった、、、


「受験番号110528 荒井 大智、で間違いないな?」


「はい・・・」


「1時間以上の遅刻・・・春休み中と言っても少したるみすぎじゃないのか?お前の担当教員ではないがこの学校の生徒になるものとして時間厳守で行動してくれないとな・・・」


(・・・全くだ、今年で16になる、一昔前だったら大人の仲間入りしている歳だ。現代はそうじゃなくともあまりにも自覚が足りない・・・家で優雅にコーヒーを啜りながらタイムライン見て上級国民気分を味わってる場合じゃないだろ!!ホント何してんだ!)


と数時間前、家で過ごしていた自分の傲慢で情けないない姿を思い出していた


(それにしてもこの先生怖い顔してるな・・パッと見、天龍源一郎に似てるなぁ・・・滑舌はいいのか、ちょっとざんねんだな)


「おい・・顔赤いけど大丈夫か??もしかして風邪でもひいてたのか?」


「えっ?・・いや・・・これは・・・」


「もしかしてそれが原因で遅刻したのか?!」


(・・・・・・・?)


「体調不良だったのなら、、、」


 話が勝手に進むのは、自分が理解していない若しくは話の輪にいるはずなのにまるでいないかのような雰囲気になり気が悪くなるものだが、この場合は非常にオイシイ。

 だが不本意なので一応勝手に話すを進めている天龍源一郎に「誤解だ」と言おうとしたが目の前に天龍源一郎はおらず、しばらく待つとまだ計測器具は片付けていないとのことで特別に受けさせてもらえることになった。


「きれいな体育館だなあ」


大智は先生から気を遣わせてもらった水を飲みながら呟いた、


「去年改装されたばっかの体育館だからな、きれいでなくちゃ困るな。」


どうやら健康診断はここで実施させれており、計測器具とその隣には計測結果を記入する人が座っていたであろう長机が落莫としてあった。


「よし!まずは身長から測るか、荷物はそこら辺テキトーに置いてもいいぞ」


と先生が指さした方向が舞台の上だったのでそこに荷物を置いた、荷物といっても大したものではなく中身は中学生時代のジャージと体操着、筆記用具であった


「すみません、服とかジャージに着替えたほうがいいンすかねぇ?」


「いや、私服でいいぞ」


「あっハイ」





「身長172・・・体重は60・・・視力聴力共に問題なしだな!」


何も問題なく進んでいく一人健康診断、本来ならみんなと身長、体重を見せ合いっこして盛り上がるところなんだろうと考えていたが


(いや、初対面の人だと聞きあうことはあってもそこまで盛り上がらねぇか・・・)


「どうしたんだ?ボーっとして」


「えっ?いや・・・これって先生がやっても問題ないんですか?」


「健康診断のことか?」


「はい、看護師とか医者みたいに資格を持った人じゃないとだめなんじゃないんですか?」


「あー、そういや自己紹介まだだったな先生な藤川 達也って言ってなここの近くの病院の医師なんだけどここの高校の教師も兼任しているんだよ。まぁ兼任ていっても臨時だけどな」


「は?・・・へ?!」


「だから問題なし!!ッハァハァーーッ!!」


「えぇ・・・」


この人、おそらくこの学校の中でもそこそこ偉い人なんだろなぁ普通いないもんな教師と医師を兼任してる人。いや、多分日本でもこの人だけだな。


そう呟きながら貰った水を飲み干し、キレイに折りたたんだ後ポケットの中にしまった。


「よし、後は採血と予防接種だけだな、健康診断の用紙は先生が預かっておく。運動場にあるマイクロバスのような車が見えるだろ?」


と、残すは後二つとなり目的地を指差して教えてくれたどうやら天龍源一郎さんとはここでお別れのようだ。


「ありがとうございました」


「いやいいんだ、風邪をひきながらも無理して来たんだ、こっちはそれに答えただけだ、きにしなくていい。採血と予防接種が終わったら帰ってもいいがしんどい様だったら親に連絡するか職員室に来るかするんだぞ?」


(・・・・・ッッッッありがどうございました!!!!)


大智は涙を拭いながら車の方へと歩いて行った、先生の本当の名前を知らぬまま・・・


「じゃあちょっとチクっとしますねぇ〜」


「・・・ウッ」


「採血をした後に予防接種するのでしばらく針は刺さったままだから腕は動かさないでね〜」


(動かさないでと言われても腕が動かしてはダメだと筋肉ピクピクしながら訴えてるんですが・・・!!)


大智は終始呻き声をあげていた、、、


「あーー・・・疲れた・・・母さんには一応受けることはできたってメール送っとくか」


はぁ・・・、とため息をつき家から全力で学校まで移動し叱られ誤解をされ、それを解かぬまま成り行きで健康診断を受けてもらった一時間ぐらいの出来事を思い出しながら運動場から駐輪場へと続く通路を歩いていた


すると、


「・・・・・・・・・・・・・あれ?」


(蜃気楼?・・・今12時ぐらいで確かに暖かい時間帯ではあるけど・・・セミなんて鳴いて・・・は?)


グニャリと目の前の景色が曲がり体の制御が効かなくばたりと倒れ、体が地面に溶け込んでいくような感覚に命の危機を感じていた、(これヤバイんじゃ?)声を上げようとしても胸を締めつけるような痛みに邪魔をされ足は動かなかった。


「フゥ・・・フゥ・・・」


あっという間に声を上げられず地面に突っ伏した状態になり、ただ胸の痛みに悶えるだけしかできず


(やば・・・ホントに・・・誰か人は・・)


力を振り絞り首を動かし周りを見渡すも人どころか気配すら感じなかった、


(・・・マジかよ・・・)


ついに体は動かなくなり大の字で空を見上げ、体の異常の原因を考えていたがここ最近引きこもっており道端に落ちているものをつまみ食いした覚えもないので


(体調不良・・・案外誤解でもなかったかもな・・)


そう思ったのを最後に大智は青空の下眠りについた

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