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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

企画参加作品

スればスるほど増えていく…

くそっ!


まただ…


なんだコレ…


ついに身体中が目だらけになった…


俺は一体どうしたと言うんだ…



**** 数日前 ****



休日の原宿。

人々が狭い道路を窮屈そうに歩いている。

インスタ映えするスイーツを売っているお店には人が群がっていて、地面に落ちた食べ物に集まるアリの様だ。


そんな人混みの中に、俺は進んで入って行く。


ドンッ!


俺が人にぶつかった音だ。


「あ、すみません!」


俺は眉尻を下げて、申し訳なさそうな顔をしてぶつかった相手に謝る。

相手は俺を一瞥(いちべつ)して、すぐに興味を失いまたお店の方を向く。


俺はすっとその場を離れる。


「へへへっ!バカなヤツだ。財布をスられたのにも気付いてないなんてな」


そう言って、先程ぶつかった相手のバッグから抜き取った財布を取り出した。

わざとぶつかり、その隙に相手から財布等を盗む。


俺はこの辺りで仕事をするスリだ。


今回も簡単に盗む事が出来た。

こんなに人が多いとぶつかるのは当たり前だし、隙だらけのヤツらも多い。

こんなに仕事のしやすい場所はないぜ。


「さて、いくら入ってるのかな?」


そう言って財布の中を確認しようとした時、左手の甲に鋭い痛みが走った。


「っ!痛てぇ…!バッグから抜く時に引っ掛けたのか?」


そう呟いて左手の甲を見ると、そこには一つの目があった。


「!!!…な、なんだ…コレ…」


訳が分からない!

何なんだ?

幻覚?いや、違う。

何故手の甲に目がついているんだ?

一体俺はどうしちまったんだ?


混乱していると、手の甲の目がギョロリと俺を見た。


「くそっ!なんたよコレ!気持ち悪い!」


本当にどうしてしまったんだ?

俺は何処かおかしくなったんじゃないだろうか?

気持ち悪くて仕方がない。

一旦家に帰って包帯を巻いて置こう。

今日は日曜日だから、休み明けの月曜日に病院に行こう!


そう思い、その日はすぐに家に帰った。


次の日、朝起きて左手を見てみると肘から下の腕にも目が出ていた。

そう、目の数が4つに増えていた。


「何なんだよ!一体何が起こったんだ!」


恐ろしくなって肘まで包帯を巻き、すぐに外科のある総合病院に行った。


せめて、何の病気か分かるかも…

そんな気持ちだったのだが、診察すると医者はおかしな事を言う。


「あぁ、赤くなってますねー。でも、コレは皮膚科に行った方が良いんじゃ無いですか?打撲の(あと)と言うよりは、虫刺されの様にしか見えませんね」


何をバカな事を言ってるんだ!

この医者の目はおかしいんじゃないのか!?

くそっ!このヤブ医者が!


「えぇ?虫刺されですか?何か別の物には見えないんですか?」


「そうですね、コレは打撲の痕ではないですね。念の為レントゲン撮りましたけど、骨にも異常はありませんでした。そうなってくると、皮膚の疾患かな?と思うんです。この病院には皮膚科も入ってますので、受診の手続きをしておきますねー」


「…はい」


医者はこの目が見えていないのか?



……


「赤くなってますけど、特に何もありませんね。多分、軽く擦りむいたか何かでしょう。触ると痛いんですよね?」


「…はい」


「うーん、一応化膿(かのう)しないように抗菌作用のある軟膏出しときますね」


「…ありがとうございます」


何だよ…結局何も分からないって事じゃねぇか!

くそっ!むしゃくしゃする!

また原宿に行って仕事してくるか。



……


何だよ…!

更に目が増えてやがる!

一体どうしてこうなってしまったんだ?

またカモから財布を抜き取ったら、急に右手も痛くなって、見たら右手にも目が出てやがる…

何なんだよ…



**** 現在 ****



あぁ、ついに身体中に目が増えてしまった…

一体どうすれば良いんだ?


『♪♪♪』


ん?LINEが来た様だ。

あぁ、スリの先輩に相談したんだったな…


『おい、何だよ身体中に目が出たってwそう言えば昔、主人公が死んで生き返って霊界探偵になった少年マンガに登場した額に目があるヤツが邪眼の力を解放した時にそんな姿になってたなw』


邪眼…?なんだっけ?


『そうなんですか?何でしたっけ?』


『確か「邪眼の力を舐めるなよ!」とか、腕に包帯をぐちゃぐちゃーっと巻いてそれを外すと腕に龍のアザ?が出来てて「邪王炎殺黒⚫波ぁ!」言ってるキャラだった気がするw』


あぁ…アレね。厨二病の皆さんが大好きな…


『ア・リ・ガ・ト・ゴ・ザ・イ・マス!』と。


ふむ、つまり俺には邪眼の力が宿ったと。


この力を抑えられれば額に第3の目が出来るくらいで済むかもしれん。


しばらくは山にでもこもって、邪眼とやらの力を扱えるように練習してみるか。



……


当然、男の身体に出た目は邪眼等ではなく。


その後、この男の姿を見た者はいない…






百々目鬼(どどめき)

腕に目が沢山ついている妖怪。女の姿をしていると言われている。

常に人のお金を盗む女がいて、その女が妖怪となったと言う逸話がある。

近年では、盗んだ(ぜに)が腕に張り付き、目になったと言われる事がある。

つまり、人のお金を盗むと百々目鬼と言う妖怪になっちゃうよと言う教訓めいた妖怪のお話。

ホラー難しい…


…が、頑張った!

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― 新着の感想 ―
[良い点] なるほど! 銭の真ん中に穴があいているから目が増えていくというわけですね。 今だと五円玉か五〇円玉が増えていく感じかな。 目が増えるような事がする人が居なくなることを切に願います。
2019/08/03 16:10 退会済み
管理
[良い点] 幽白ネタとかぬ~べ~とか懐かしいネタだ!(*≧ω≦) [一言] 怪談と言うよりは教訓に近いですな 百々目~( *・ω・)
[良い点] 教訓めいたところが、笑うせぇるすまん的な感じがしていいと思います! [気になる点] 主人公の末路を暗示する、もう一つくらいの情報が欲しかったです……そこに恐怖が! [一言] パイですね、わ…
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