第15話 最凶最悪!?大災害な儀式魔法!
最凶最悪!?大災害もこえる大儀式魔法!?いったいこの絶望的な状況を将平はどうするのか!?
「実は……この村は普通の村ではないのです」
と、村人は真剣な表情でこういった。しかし、見たところなんの変哲もない村に見える。普通ではないのには訳があるのだろう。事情を聞いてみるか。
「普通ではないとはどういうことだ?見たところ、おかしい様には見えないけどな…」
見回してみても村にあるのは、村人の家に畑、大きめの風車といった建物しかない。誰が見ても普通の村だと答えるだろう。
「それはそういうふうに見える魔法を使っているからです。いまから解いてお見せしますので少々お待ちを」
ふむ、つまりあれか、これは。伝説の秘宝が隠されている村みたいなやつか?なんというか………ゲームかな?
『ショーヘー様、なんだか嫌な感じです』
うお!?ビックリした!!何、念話!?え?紅朧こんなこともできたのかよ!?内心では心臓が止まるほどビックリしているが、それを表情や行動に出さないで答えた。もちろん念話で。
『なんだ?紅朧ほどのドラゴンがそう思うとなると……なにかあるのか?』
たぶん念じれば相手に届くだろう。そう考え、紅朧に俺の考えを念じて送った。
『はい、というかショーヘー様気づいてない……?』
『ん?何がだ?』
どうやら俺は何か見落としているらしい。なんだろうか?
『ショーヘー様、そこの村人……他の方もそうですが皆、まるで殺された村人をなんとも思ってないように平然としています』
―――確かにそうだ。
なぜ俺はこんな簡単なことに気づかなかったんだ。この魔法を解いている村人……まるで機械人形―――ゲームでいえばNPCのような決められた言葉を話すただの機械のようだった。感情がまるでない。
さっきまでの恐怖や怒りといった感情が表情にでていたのに、今ではそれもない。仲間が殺されたというのに……
『ショーヘー様!!莫大な魔力が集中しています!』
これは!?そうか!こいつら、演技だったんだな!実はバグが操っていたのはアムロだけじゃなくて、村全体だったのか!
「まずい!この魔法は止めるぞ!」
そう、まずいのだ。これは恐らく大災害魔法。その名の通り大災害級の被害をもたらす魔法だ。だが、この魔法は一日やそこらで組むことは不可能。つまり、俺がこの世界にくるずっと前からこの魔法を作っていたわけだ。
「止めるといっても、この規模だと厳しいのでは!?」
「この魔法はあと数十秒で発動する!ヤミ!お前はそこの村人を気絶させてくれ!だが、この魔法はもう術者を殺ったところで止めれん!紅朧!結界は作れるな!?」
「は、はい!できます……まさか!?」
「そうだ!俺とお前の結界で止めるぞ!」
と、ヤミはすでに村人を気絶させたらしい。よし、これで妨害は入らないな。
「拒否権はない!今は止めることだけ考えろ!失敗したら大陸は吹っ飛ぶ!!それが儀式魔法の頂点!大災害魔法だ!」
「ふ、吹っ飛ぶ!!?わ、わかりました!!!いきます!」
そのあいだにも魔法は構築されていき、発動まで残り10秒もない……
「0でいくぞ!3、2、1……」
「ゼロ!!!」そう俺が叫ぶと同時に結界が発動する。俺のMPの限界、500000を全てつぎ込む!!紅朧もMPを全て使うきで結界を構築した。できた結界は例え紅朧が全力で壊そうとしても壊れないだろう。
そして発動時間に到達する。すると、結界の中からとんでもない魔力が爆発した。しかし、結界は無傷。これなら止められる。俺は確信した。だが……
「ショーヘー様!?これ、おかしいです!結界は壊れてないのに、魔力爆発が止まりません!」
これは……俺の予想では馬鹿げた威力の爆発が数回、結界内でおきて収まると思っていたのだが……この魔力の減らない感じ……それに、この魔力は……
『紅朧!結界の維持に集中してくれ!俺の分も頼む!』
俺は、あることをすべく結界の維持を全て紅朧に丸投げ……もとい任せた。
『ええ!?この規模を一人で!?
―――わかりました。やりますよ!』
やけくそぎみで紅朧は答えた。すまん、紅朧。これも大事なことなんだよ。
……と、やるにはさっさとやらないと紅朧が可哀想だ。俺のやる、あること……それは逆探知。なぜ魔法が収まらないのか。というか徐々に威力が増えていってる。
つまり誰かがどこかから魔力をつぎ込みまくってんだろう。大災害魔法ほどの魔法にはかなりの魔力が必要だ。だいたい発動にMP50000ほど、それから維持すればするだけ魔力を使う。
維持するのにも常時10000を越えるMPを使うのだ。普通、こういう魔法は数人から数十人のベテラン魔術師が全員のMPを均等に使ってやっと使用可能なのだが……だが、いま維持しているのはひとりだ。
そんなことが可能なやつはこの世に一人……いや、1つしかない。つまりバグだ。どうやらバグは俺たちをこの大陸ごと消したいらしい。あの結界が破れるのももうすぐだ。だから、逆探知してからバグの位置を特定して、 魔力道を切る。
逆探知は正直できるかわからない。できたら今後が楽になるからやるだけだ。
「ショーヘー様!そろそろ限界が!!!」
やべ!よし、これで準備完了だ。
―――逆探知。スキル、エコーマッピングの応用だ。エコーマッピングは強力なマッピングスキルで距離は無制限だが、欠点がある。
それは、マッピング時は必ず自分を中心にして描き始めることだ。いつもならこれでいいが、敵がかなり遠くにいるとき……例えば10000キロ以上離れているときだ。
マッピングは秒速10キロくらいで描くことができるがそれでも1万キロは遠い。そのため世界をすべてマッピングすることはかなり時間をかけないと無理だ。
しかし、それも工夫して使うことで欠点をなくして使用することができるのだ。それが今回使う逆探知だ。この逆探知は相手が何らかの方法で遠距離から魔力を送っている時などに使える。
まず、魔力を何かに送るというのは近距離でも遠距離でもだが、必ず、魔力道と言うのができる。魔力道というのは魔力が通る道のようなものだ。どうやらこの魔力道は光速並みの速さを持っているようで、例え数万キロ離れた場所からでも瞬時に魔力を送ることができる。
で、逆探知なのだが、じつはとても簡単にできる。魔力道は目では見えないが、魔力感知で見ると見ることができるんだが、実は魔力道というのは一本道ではないんだ。魔力道というのは一方通行の道とそうでない道の2本が重なってできている。一方通行の方は送られてくる魔力が通る道だ。逆探知にはもうひとつの方の道を使う。
通信魔法などはこの2つめの魔力道を使うんだが、こっちの道にも魔力を流せるんだ。相手が魔力を送っている対象の側までいってこの道に魔力を通すようにイメージする。すると、勝手に魔力道を通って相手のほうに魔力を流すことができるんだ。
で、俺は自分の魔力をエコーマッピングで拾えばいいだけだ。たったこれだけで逆探知できる。だが、こんな簡単にできるということは簡単に妨害もできるということだ。
例えば2つめの魔力道を切っておくとかな。切っておけばそこで魔力が漏れるから逆探知はできない。しかし、この切るっていうのはそんなに意味はない。何故なら魔力道というのは自分の、ホントに近い位置でしか切れないからだ。
だから、一番有効なのは2つめの道にも魔力を送ることだ。しかし魔法にはまったく関与できないので魔力の無駄ではあるのだが……逆探知されないようにするにはちょうどいいんだ。
2つめの道に魔力が流れているときに、逆探知で魔力を流すと2つめの道が詰まってしまうんだ。もしそうしないようにするには、魔力の質を相手より良くするしかない。
……と、どうやら逆探知は失敗のようだ。バグの魔力は禍々しいが質は良い。俺のなんか比べ物にもならないくらいだ。まぁ、他にも対処法はあるが、いまは使えないので無理だ。
ということで、魔力道を切って終わりだ。だが、簡単に切るなんていっていうが、魔力道を……それも、格上が使うような魔力道を切るには相当な技がいる。俺の力を最大限まで引き出さないと切ることはできない。
「今から魔力道を切る!紅朧は少し離れてくれ!ヤミは村人の避難を!」
「魔力道を!?了解!」
「ワン!!」
よし、村人の避難は平気そうだ。ではいくか。
「身体強化<極>」「強靭」「震刀拳」「部分強化<掌>」
準備オーケーだ。「身体強化<極>」で自分の放つ技の反動に耐えれるようにし、「強靭」でさらに固く「部分強化<掌>」で手のひらまで固くした。今の俺の手のひらならオリハルコンを使った超合金の国宝級の剣でさえ切れないだろう。
そして、威力をあげるため「震刀拳」だ。その名の通り震える手刀だ。これで切れる。下手に錬金術で武器を作っても俺にはまだ扱いきれないからな。
「はぁぁぁああああ!!」
右手を魔力道の真上50センチほどのところに構え、そのまま、振り下ろす。ただそれだけのことだが、まだ地面どころか魔力道にも到達していないのに衝撃波で地面がえぐれていく。だが止めずにそのまま魔力道を狙って振り下ろし続ける。
そしてついに魔力道に到達し、触れた。その瞬間、俺の体がビキビキと軋み始めた。
「ぐっ、あそこまで強化してもまだ……だが!!」
ここでやめてはこの膨大な魔力は大災害魔法を強化し続けてしまう。いずれ俺と紅朧の結界などこわれて大陸は吹っ飛ぶだろう。
なのに……この程度の痛みであきらめて……
「たまるかってんだよぉおおおおお!!!!」
その瞬間、俺の中の魔力が空になった感覚がした。しかし、『常時回復Lv10』で常時全回復していく。1秒の間に魔力が空になりすぐ回復し、また空になる……という過程をしていた。だが、徐々にだが俺の魔力の質が上がってきているような感覚がしている。
『ぐぉ!こ、これは!?』
どこからともなく声が聞こえた。どうやら俺の魔力が暴走し、魔力道を逆流しているようだ。しかも、一方通行の方の道を。だが、今の俺には関係ない!今は一刻もはやくこの魔力を絶ち切ることだけを意識すればいい。
『お、おおおおおお!?!?こ、この魔力は―――っ!』
「はぁぁああああああああ!!!!!」
そしてついに……魔力道が大きな爆発音をだして……切れた。それと同時に地面に俺の手刀が激突した。その瞬間、地面はまるでその威力に耐えられなかったかのようにひび割れた。そのひび割れはみるみる大きくなり……やがて、大きな音をたて割れた。
「―――やった……か……」
俺は重力に引かれるがままに落下していく。体力面では無傷だが、精神的に疲れはててしまった。
「まぁでも……紅朧がいるしなんとかなるか……」
そしてどうやら俺の予想は当たったらしく、紅朧が本来の巨大な体に戻って俺のもとへ飛んできていた。
「ショーヘー様!!!」
そう紅朧は叫び、俺を追い越し俺の真下まで飛行し、そのまま俺と同じ速度で下へ降りるようにホバリングした。いや、ただ降りているわけではないようだ。徐々に降りるスピードを落としていっている。そのまま俺は紅朧の背中に落下した。
「大丈夫ですか?ショーヘー様」
どうやら、生き残れたようだ。
「あぁ、平気だ。ありがとな、紅朧」
「いえ、主人を助けるのは当然ですよ!では、このまま上へ上昇しますね」
そういって紅朧は高度を上げていき、俺を地上へと降ろした。どうやら大災害魔法は完全に止まったようだ。良かった良かった。これで一見落着……
「と思ってたんだがなぁ……」
地面に大穴が空いてしまった。穴というかもう渓谷に近いな。しかも十字の。底は見えない。横に(北から南西にかけて)だけで5キロはある。縦(西から北東にかけて)なんかは10キロはあるかもしれん。幅も500メートルはある。こりゃ、修復は大変かもなぁ。




