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始まる前からハードモード

正樹はとあるゲームで、神プレイヤーとまで呼ばれる実力者だった。サービス開始初期から育て上げたキャラの超ステイタスはもちろん、プレイヤー本人の常人とは思えない技術、薬草の生える場所からボスモンスターの行動パターンまで全てを知り尽くした深い知識。正樹一人加われば戦況がひっくり返る、対人イベントが行われると、その余りの強さから、実は開発側の人間で本当のラスボスなんじゃないかと噂されたりもした。

ゲーム内の全ての者から羨望と畏怖の眼差しを向けられていた英雄。それが今までの正樹だった。

しかし、今年から始まる国営ゲームに今までのやり方は通用しないようだった。何故ならそのゲームは、現実の成績もキャラステイタスに影響してくるというトンデモ仕様らしいのだ。

そして今回受けた全国試験が、ゲームに影響を与える最初のリアルイベントだったというわけだ。

正樹は現実ほったらかしの廃人ゲーマーだったため、試験の点数は全く期待できない。手応えから、ほぼ全ての科目が水面すれすれの超低空飛行、あとちょっと高度を下げようものなら、機体が水に触れて爆砕するような危険状態だと推測できる。

正樹の通う大学は国内でも有数の底辺大学で、あの手この手を使えば勉強しなくても単位が取得できる甘々な指導をしている大学だった。そのため正樹は、スポンジ脳みそでも今まで生き延びることができていたのだ。

(ゲームで遅れをとるとは、俺としたことが……)

今までやってきたゲームは全て、サービス開始前の試運転段階から参加し、常に最先端をぶっちぎってきた。そんな自分が開幕早々出遅れるという失態を犯してしまった。

課金した結構なお金は現金で戻ってはきたが、国営ゲームにはお金で強くなれる課金システムは存在しなかった。

文部科学省が、廃人を社会に復帰させる為に作ったゲーム。リアルマネーで強くできたら本末転倒だろう。

(前のゲームの補償でどの位補えるか、だな)

映像で見た男が言っていた、終了したゲームの補償。ステイタスボーナスとして配布されるらしい。超ステイタスの補償だから、他のプレイヤーよりも多いはずだ。

(しかし、引き継ぎには良い思い出がないな……)

引き継ぎできます、この言葉に何度も騙されてきた。期待通りの値が引き継がれた事は一度もない。控えめにこの位もらえるかなと予想し、実際はその1割位の値しか得られずに失望するのだった。

それでも正樹にはサービス開始までやれることはもうない。強いて挙げるなら、文部科学省とゲーム会社のホームページを舐めるように熟読し、基本操作をイメージし、強くなれる要素を見逃さないようにする事だった。

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