表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
41/123

立ちはだかる者。13

「黄志夏那美。ここのエースをぶっ潰しに来ました」



 レンズを光らせ、強い殺意を込めた声で彼女は部室を見渡した。先輩らしき人物は三人しかいない。夏那美からしてみると背の高いであろう少女が本を開いて椅子に腰かけている。隣にはゲームのコントローラーを握ったミディアムヘアの可愛い童顔少年もいる。そして少女漫画をアイマスク代わりに横になっている女の子……。推測では小学生くらいの身長だが、それでも制服はこの学校の物だ。



「じ、神通力(じんつうりき)を張り巡らせた特殊ガラス結界を、一瞬で……!?」


「さ、さすが、現役の特一級。ボクたちの予想を、はるかに超えてる……!!」



 全身の毛を逆立たせ、冷や汗ダラダラで顔を強張らせている先輩たちに対してキツく目を尖らせる夏那美だったが、北原がなんとか割りこんで『今日からお願いします!』と深々と頭を下げる。



「そ、それじゃあ、入部テストやってもらおうかな?」



 我に返った少年の先輩は、コントローラーを置いて、とりあえず二人を席に着かせた。



「えっ? 入部テスト? 聞いてないですよ、そんなの。オレたちは特待生として――」


「もちろん。言ってないからね。この学校の六割は霊能部員だから、ちょっとしたテストをさせてもらってるんだ。大丈夫。ペーパーテストがダメだったとしても、実技もちゃんとあるから。北原くんと黄志さんなら、少なく見積もってもベンチ入りは確定だろうし」


「ベンチ入り? あんまりナメた口きかないで下さいよ先輩。この私が全国優勝まで導きますよ」


「そ、それは頼もしいね。だけどとにかく、テストはやってもらうよ」


「ふンっ! 実力がすべてなのよ! ペーパーテストなんてなんの意味もないわ!」


「黄志……さん? そういえばこの問題、この霊能部の人が作成したんですよ? 十数年前、弱小校だったこの高校を三年連続で(ごく)龍旗(りゅうき)優勝へ導いて、なおかつツインウルフもブラックタイガーも三年連続優勝を果た伝説の人。たしか、同じ名字だったような気がするけどぉ……」



 ビクビクと顔色を窺っている先輩の少女から、気になる返答があった。『極龍旗』『ツインウルフ』『ブラックタイガー』は、それぞれ全国大会の種目。五人揃った団体戦から、ダブルス、個人戦まで用意されていたりする。ピクリと顔を上げてその少女を見ると、埃かぶった棚から『knight』と題されている一冊の古ぼけたアルバムを抜き取っている。虫食いだらけで穴が空きまくっているが、中の写真は生きているようだ。



「ちょ、見せて!」



 先輩というのも忘れて、夏那美はアルバムをぶん取った。



「……えっ!?」



 夏那美が分厚いアルバムを開いた瞬間、周りの空気が固まる。というよりも止まってしまっ

た。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ