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小さな殺戮者3

『まさか、狙いはっ……!』


『夏那美っ!』



 なにかが着地と同時に断崖絶壁の道路を粉砕し、田んぼの水を津波のように盛大に跳ねさせて急ブレーキをかけている。グリフォンの大きな翼を持ち、大蛇を連想させる尻尾。真っ黒な毛並みの狼は勢い余って山へと衝突し、獣独特の匂いを充満させて、それはようやく止まっていた。



 運が良かったわね、そこに着地して。ここに……ママのお墓に着地してたらアンタ、魂の欠片も残さなかったわ……!



『カメラ、28番から184番損傷! これまでのEsとは規格が違いすぎます!』


『な、なんてデカさだっ……!!』


『夏那美、正面からマトモにぶつかっちゃダメだからね! 今マルコシアスのレイベル数値を算出するから、全力で攻撃を回避して!』


 回避? それって逃げるって意味だよね。この私が? あんな腐れワンコなんかに対して? ……そう言われると真正面から力比べしたくなるのよ。どれほど私の力に喰らいついてこられるのか。それを見極めるためにね!



『いいか、夏那美。本部をスルーした以上、おそらくそいつの狙いはお前だ。敵の力が未知数な今は――っておい!』


「うるさいのよ、アンタはいちいち!」



 恭平の命令を完全に無視して、夏那美ははるか上空へと舞う。街と森林の境界線が分かるほどの寒空から、彼女は眩い光とともに自分の身長の三倍以上もある巨大な槍を即時装備した。



 悪いけど、一瞬で浄化してあげるわ。私に喧嘩売ったんだもん。それくらいの代償は、当然覚悟の上なんでしょ?


『待て、夏那美。様子が変だ。マルコシアスから殺気が感じられない』


「うるさいっ! 私に命令しないでっ!」


『夏那美のレイベル数値、急激に上昇! 2,500,000 3,000,000を突破!』


『このままじゃ、一般人が巻き添えになるぞ……。壱番隊、聞こえるか? 桧原村周囲に結界を。早く!』


『夏那美、どうしたの? なんでそんなに怒ってるの……?』


「――こんな、」


 ……こんなくだらない事、いくら百合ちゃんでも言えるわけないじゃん……



 ドクン、ドクンと心臓が波打ってるのに彼女は気付く。ここで槍を放てば、おそらく桧原村は蒸発。下手したら地下本部もただでは済まない。結界が間に合ってくれれば、桧原村……Es応戦用都市だけの被害で収まる。



 大丈夫。日霊保は私中心で回ってる。百合ちゃんと私さえ生き残ってれば、他の誰かが本部を自動的に再建してくれる。

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