目が覚めたので状況整理します。
目が覚めると消毒液などの匂いが鼻に飛び込んできました。
白い天井。白いカーテンに囲まれた白いベッドに
どうやら私は寝かされているようです。
一瞬現状が理解できませんでしたが、そういえば
さっき私は入学式途中に倒れてしまったのでした。
どなたか親切なお方が私をここまで運んでくださったのですね。
とりあえず今私ができることは気がついてしまった
現実を整理することだと思われます。
この世界とそっくりな私が前世で好んでいた
乙女ゲーム『5人の王子様~ときめきラブストーリー~』。
…少々タイトルがあれですが、そこはスルーで。
しかもこんなタイトルのゲームをドキドキしながら
30歳の独身女がやっていたのかと思うと涙が出そうです。
ストーリーはこの桜ヶ丘大学付属学校の
高等部になってからはじまる。この学校は偏差値が高く
幼稚舎の頃から多額のお金を支払い通っている
おぼっちゃま、おじょうさまが多い。
ヒロインは頭が良く高等部の入学試験を
なんと首席で合格するのだ。なんたるハイスペックだろう。
首席なのでもちろん特待生。多額のお金を
払わなくてもこの学校に通うことができる特別な生徒です。
そしてこのヒロインが恋をすることになる
5人の王子様というのが王道の生徒会様なのです。
私が先ほど倒れたのは、新入生代表として
呼ばれたのが後後生徒会長様になられる
西園寺 翔様だったから。
少し幼い見た目ではありましたが間違いありません。
あの美しい金の髪。意志の強そうな緑の瞳。
そしてなによりあの…………。
「目が覚めたか?」
「…っ!?」
腰が抜けそうなくらい甘くて低い…声。
ど、どうして生徒会長様(後の)がここに…!?