【傘の色が水色な泉君の自由帳は、今日も自由です】の第1話 片恋
ごめん。 ごめんな? 忘れてた訳じゃないんだ。 ただ今は、お前を見るのが辛くて。 お前と過ごした甘い日々は幸せで。
幸せすぎて。 辛い。 その白い肌に口付けただけで、俺は天にも昇る勢いだろう。 命懸けの、恋をしている。
もう二度と口付けも出来ない。 馬鹿だよな? 失って始めて、どんなに好きだったかを思い知らされた。
もう、戻れないのに。 俺はいつまでも未練たらしくお前を目で追うのをやめられない。
好きで。好きで。 本当にどうにかなってしまいそうだ。
そんな愛しいお前が、俺の前から姿を消し、親友と供に現れた時、俺は、俺は……。
「あ、わりぃ。 いつもの癖でお前の好物買ってきちまった。 ショートケーキって乳アレルギー食えねぇよな?」
「うわぁぁ!! 食えるかボケェェ!! ちくしょう! 死んでやるぅぅ!!」
「ちょ! 馬鹿やめろ! たかが108円のお得用でお前はその命を散らす気か!! 男なら1億のケーキで死ぬくらいの気概を見せろよ!!」
アレルギーによる乳製品断ち3日目の出来事であった。