関係者。
更新が遅くて申し訳ありません。
別サイトで、別小説を始めました。よろしければ、暇な時にでもご覧になってください。
http://estar.jp/.pc/work/novel/23502309/MY_COLOR_%E7%AC%AC1%E8%A9%B1?_=1
<あらすじ>
高校2年の彩佳。幼馴染の翔が大好きで。けれどとある女子生徒がきっかけで、彩佳の日常は壊れ始める。街で出会った佐伯という男、美咲という女子生徒。二人の存在が交錯し、彩佳は事件へと巻き込まれていく。
彩菜です。彩菜はまとまりの無い大人たちの会話に嫌気がしたのか、そばにいた一人の数年年下の男の子と一緒にジュースを飲んでいました。ちょうど持っていたステンレスのマグで、彩菜と男の子は交互に飲んでいます。
ありがとう、と男の子は言いました。
「私も酔いかけてたから、ちょうどよかった」
そう言って彩菜は笑みました。
「私はあのお兄さん、怪しいと思う」
そう言って、彩菜は注目を集める口の荒い若い男性を小さく、指さしました。
「じゃぁ、僕は…あのお姉さん」
そう言うと、男の子は30代の女性を指さしました。そうして二人で小さく、くすくすと笑いあいます。すっかり打ち解けているようでした。樋山は苦笑しました。今回のことにもう、興味がなくなったのだろう。そう思った時。彩菜は男の子に、手を振りました。
「またね」
少し疲れた様子で席に戻っていく男の子。その隣で、スマホに夢中な、母親。女の子が持った、マグ。
その三人を見ていた樋山は、突然はっとしたように、目を開きました。
ガタンゴトン…ガタンゴトン…ヒュウン…プシュー。
やがて駅に着いた電車は、ドアを開きます。
そしてその時。
「待ってください」
男を掴んだまま、電車を降りようとした中年男性を、樋山は引き止めます。
「え?」
中年男性は振り返りました。
「待ってください。少し理由を聞いてからにしましょう」
「スリに理由も何も…」
中年男性は逃がさないよう、男性をぐいと引き寄せます。
「いいえ、彼は…」
そう言った樋山の横を、サラリーマン男性にスリ呼ばわりされた若い男性が降ります。しかし。
「待って」
その腕を、早川が掴みました。
「くれませんか」
すると若い男性は不快そうな顔をしました。関係のない乗客は何人か降りていきます。
「は?何でだよ、俺は関係ねぇだろ」
「いいえ」
樋山は僅かに笑みました。
「今回の件、あなたが一番関係あると思いますよ」
は、と若い男性は少し馬鹿にした声を出しました。
「何の話だよ」
言う若い男性に、樋山は言います。
「実は僕、さっきあの被害女性がバッグの中を確かめている時、中身を少し見ていたんですよ。失礼ながら」
と樋山は女性を振り返りました。
「すみません、あなた、申し訳ないんですが、バッグの中身を全部出して頂けませんか?」
女性は少し戸惑いながらも見せてくれました。さっきの騒ぎに関わった者全員が、もう一度席に集まって女性を見守り、再びドアは閉まります。