八話
曰く、ここは日和たちの住んでいた世界とは異なり、短命種であるヒトの上に神聖なる古代種の王族が君臨する秀でた世界であって、特にこの国の場合は魔術が独自の発展を遂げており、一方向のみだが別次元に対する召喚を行うことができ、栄誉ある王族の婚姻相手を呼び出すという古き慣習が根付いていること。
曰く、召喚時にあずさの手を取った天使〈ブラァド・ピジョン〉は我らが銅鳩国の誇り高き王太子殿下であり、彼のためにこの祝福された地へ召喚されたあずさは彼の妻、将来この国の王妃となる高貴なる身の上の方となったこと。
曰く、異世界召喚は毎回立太子の儀と共に行われているが、術式には何の間違いもないはずなのに何故か数百年に一度くらいでしか成功しないため、異邦の花嫁は百年の幸いをもたらすというお伽話のような言い伝えがあること。
だから今回の召喚成功を国民は大いに歓迎し、城下では気の早い住民たちが女神の来訪を祝うパレードを催しているだけでなく、他国からの女神に対する関心も急激に高まっていること、を知った。
また二人同時召喚はただの失敗に過ぎず、日和は女神と双子であるという特殊な関係であるために間違って共鳴した結果紛れ込んでしまっただけで、遺憾ながら一度こちらに来てしまった存在を元の世界に戻す方法はないのだと。




