七話
そうして二人ともこの怪しげな神殿のような場所から出て、王宮らしき場所へ連れて行かれた。もちろんあずさは赤瑪瑙の瞳の彼にエスコートされながらだったが、日和の相手は言わばその他大勢である、腕章をつけた法衣をまとった神官であり、姉妹は別々の相手と共に、別々の部屋へ入室したのだった。
それ以降、日和はあずさに会うことはおろか手紙を渡すことでさえ一度たりとも許されず、己の身の丈を学ぶことを強いられた。
当然ながらこちらの世界、そして召喚された場所であるこの国のことを全く知らないため、日本式で例えるならアイウエオの字の書きとりや、幼い子供でさえ知っているような一般常識から、王宮では当然必要とされるテーブルマナーや淑女の振る舞い方など、この国そして王宮内で生きていくために必要だと思われる多岐に渡る知識を徹底的に教え込まれた。自分の現状を把握し、これからどう過ごせばよいのかということを理解させるために。
教育係としてつけられた年配の官女は、優しいとか怖いとかいう感情的な面を一切覗かせない機械人形のような女だったが、拝命した任務に忠実であれとする気質を持っていたため指導を怠ったり嘘を吐くことはなく、凍った表情筋で淡々と真実を教えてくれた。




