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六話

二人の目の前には豪奢な赤い外套に黒い襟巻をつけている小柄な男――というより少年と言った方が正しいほど若々しい――がいた。星の光を紡いだような金髪に、花の(かんばせ)へ見事な赤瑪瑙を嵌めこんだかに見える瞳の持ち主であるが、何かの儀式を行っていたらしいこの場所には不釣り合いな姿ではある。

彼は目の前に二人の少女がいることに一瞬驚いたように目を瞬いた後、ちらっと僅かに見比べてから、迷わずあずさへと手を伸ばした。彼の背には天使を連想させるような、小さな白い翼があった。


「美しき異邦の女神……白薔薇の乙女よ、そなたを待っていた」


ある特有の目的を果たすためだけに造られた、この演劇ホールのようにがらんとした石造りの建物の中、よく響き渡る彼の声を聞き日和は何故か不思議なほどどきりと胸が高鳴り、息ができなくなるような切なさを感じた。つい先ほどこちらに来る前の激しい閃光の中で嗅いだ、知らぬはずの懐かしい香りと似たものを感じたのだ。

しかし彼に見つめられながら手を差し伸べられたあずさも好ましいものを感じ取ったようで、くるりとした大きな瞳を潤ませ、ぽうっとした顔をしておとなしく彼へ手を引かれるがまま立ち上がり、そのまま優しく抱きしめられていた。その姿は、少女に祝福を授ける天使の絵画のように映り、怖いくらいに、お似合いだった。

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