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その2

「この頃神官たちが妙に浮足立っていると思ったら、こんなことを仕出かして……。

悪かったな君たち、無理やりこんなところまで呼びつけるようなことになって」


憂う顔すら綺麗だなんて、世の女性が知れば絶望してしまいそうだ。いや、もともとこれだけ綺麗な方だから当然だわと思うかもしれない。きらきら光る銀色の髪なんて髪の毛じゃなくてまるで高級な糸みたい……そういえば、毎年開国記念パレードの際には、その背に白い翼を顕現するっていうけど、いいなあ、今こんなに近くにいるんだしせっかくだから見せてくれたらいいのに、と心底思う。同じ国内に住んでいるとはいえ、農民はそうそう村から出られないのだ。


「名を聞いてもよろしいか」


まっすぐで透明な声。はい、という小さな可愛らしい答えと、一宮いちのみや玲子です……ここはどこですか、と震える響きが室内に広がった。召喚されてすぐの時、この子は同じ言葉を言ったのだ。何も分からなかっただろうあの時と時間の経った今、気持が少し弱くなってしまっているようで、言葉尻が小さい。改めて可哀想だと思いながら、私も名乗った。


「国境沿いの唐草の村より参りました、ラーの家のイシスです」


「……? 国内の者が、なぜ!」


天宮におわす神さまみたいに見事な彫刻の顔をはっきり驚きの形に変えて、王子さまは小さく叫んだ。その煌めく琥珀の瞳は、本物の宝石より透き通ってる。

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