※小咄「日和の疑問」
「ねえ、ちょっと聞きたいことがあるんだけどいい?」
日和の要望によりくるりと背を向け、青い櫛でつやつや光る長い髪の毛を丁寧に梳いてもらいながら、何よりも大切な奥さまが問う。
「……何だ」
気持ち良さそうにとろんとした目で、ゲブはいつも以上にリラックスしている。というのも、ここは王宮内に与えられているゲブの個室。それなりの広さはあるが、二人は暖炉の前を陣取って毛足の長いふわふわした敷物の上に寝そべっており、これは寒くなってからの日和のお気に入りなのだ。
「ゲブは確か、王太子なんだよね?
でも普通王太子って一番初めに生まれた王子さまのことを言うんじゃないの?」
こっそり髪に頬を寄せ、あーつやふわ気持ちいいよう……とうっとりしているのを誤魔化しているが、それに当然気づいているゲブは素知らぬふりで答える。
「母上は複数の卵を産まれたからな。
簡単に言うと、どれが一番最初かなど分からぬゆえ、全員王太子の地位をいただいている」
「……ふうんそうなんだ、卵ね、卵……ってどういうこと!? ええっゲブって卵生なの!?
じゃあもし私が赤ちゃん産むとしたら」
「当然卵になるが、それがどうした?」
不思議そうにそっと振り向く旦那さまは相変わらず西洋人形みたいに美しくて、つい見とれてしまいそうになるけれど、今の衝撃発言は放っておけない。
「……私、絶対赤ちゃん産まないからね!」
「……? ああ、今はまだ寒いからな」
いまいち噛み合わない二人ですが、毎日のんびりらぶらぶしています。
メッセージで、王太子の件についてご質問があったので、小咄にしてお返しいたしました。




