その四
つまり、こういうことだった。
この神々の治めている世界では、結婚するのに同じ世界出身者の認めが最低一人は必要という決まりがある(綾子の世界でだって婚姻届には確か証人欄があったし、それと似たようなものなのかも知れない)が、別世界からこちらに落ちてくるけったいな者など滅多にいないから、その制度の困難さをすっかり失念していた。
しかし自分たちは今後、いや気分としては今すぐにでも結婚したいのだから、異界人の綾子のために異界人の立会人が必要だと。
「これさえ済めばもうばっちり! 形式的なものだけど、神さまとして生を受けた以上はやっぱりこういうのって大切なんだよ」
セトはうんうんと自分の言葉に納得して頷きながら、「じゃあちょっと、通信得意な知り合いの神に連絡取ってやってもらうから、楽しみに待っといてね!」と鼻歌交じりに去って行った。
しかし綾子は、本当にそんなことできるのか? むしろこれうっかり成功して同郷のヒトとか来ちゃった暁には絶対結婚しなきゃいけなくなるんじゃ……と嫌な胸騒ぎがしつつ、ひとまず掃除の続きをするため持ち場へと戻って行った。
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