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二話

日和が原因不明の病を発症し、この地下牢に隔離という名の幽閉をされる身となってから、彼――青蛇〈ブルゥ・サーペント〉という種らしいゲブがいつからかやって来るようになった。


ゲブは人間なんかほんの人睨みで殺してしまえるほど高位の魔物らしいが、そんな素振りを一つも見せず、毎夜当たり前のように現れ甘く微笑み、日和にくっついてくるだけで後は時々世間話をする程度。

もちろん日和だってそれなりに見知らぬ不審者に対する警戒心は持っていた。そう、彼の出現に初めはものすごく驚き、怯えたのだ。鉄格子を開けて入ってくるならともかく、いきなり同じ牢の中にぽんと現れたのだから、当然恐慌状態になり思わず泣き叫んでしまったくらいだ。

しかしゲブは平然と日和のパニックが収まるまでごろんと寝転がり、じいっと見つめてくるだけで、その時はほんの数分経つとまた現れた時と同じくぽんといなくなった。そんなことが何度も続けば自然に恐怖心も薄れるというもの。


ゲブは十話しかけたところでようやく一返すかどうかといった極端に無口な男(名前を知るのに一週間はかかったのだ)だが、誰も見舞いになど訪れてくれることのない寂しい牢獄では、ろくに喋らずともこうして傍にいてくれるだけで心強い。

この薄暗い世界の中で、日和にとってゲブだけが救いだった。

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