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十六話

「あずさがどうしてるのか知ってるの?」


「もちろん。あの鳩王子にべったりで、絹のドレスに金銀を集め、高価な香油を塗り化粧して……つまり歴代の王妃と変わらず国庫をそれなりに食いつぶす、在り来たりな女さ。」


惚れっぽい姉が、あの天使みたいな王子を好きになったことは、日和には簡単に想像できた。まず出逢いからしてロマンチックであったし、その気持ちのまま姉は突き進み王子にアタックしているのだろう。また女神と王子が仲睦ましくあるべきことに異論はないため、周りの人たちも全力で加勢しているに違いない。

ゲブは姉をつまらないと言ったが、それでも王子と並べば一対のお似合いなのだろう。

そう思うと、胸がずきりと痛んだ。


「あの鳩はお前の姉を主神〈セト〉の定めた王妃だと思っているようだが、実際は違う。

 セトは元々二人ひと組で召喚させる。

 だから伝承がたまたま歪められているだけで、今回の召喚は失敗しちゃいないのさ。」


思いもよらない言葉に日和はあっけにとられ、涼やかなゲブの顔を見つめた。

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