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十五話
「ヒヨリ。病は治っただろう?」
青白い肌がほんのり赤く染まり、今までの親鳥が小鳥を慈しむようなバードキスとは桁違いの、知らなかった新たなキスの余韻でぼんやりと潤んだ瞳を向けていた日和は、はっとして自分の体を見るとそこにはもう今まで蝕んでいた奇妙な青い痣が、すっかりなくなっていた。
「ど、どうして……」
「青き傷跡、青蛇の蠱毒、蛇の道は蛇。解毒するは王族のみ」
「せ、聖者? 何のこと……」
「大したことではない。なあそれより、しばらくここに通い考えていたが、他の奴らがなぜあんなつまらぬ女を崇拝するのか解せぬ」
ゲブは雪色の睫を物憂げに伏せて、平然とぼやき、高貴なる未来の王妃の妹君が使うものとは到底思えない、牢獄ぴったりな囚人用の粗末な寝台へどしりと腰を下した。それだけでぎしりと音を立てる薄っぺらな粗悪品で、地下牢に連れてこられる前日までふかふかした羽布団の恩恵を受けていた日和には、嫌がらせだとしか思えない代物である。




