ソレデモトマラズ
死ぬな、進め。
「死にたい」
自分の部屋、毛布の中、ぼくは呟く。
顔には生気が全くないだろう。だって、ぼくは死にたいと思いたくて仕方ないのだから。
「死にたい」
と、何回口にしたことか。
それでも、死にたいとは思わず。しかし、生きたいと思うこともできず。
暗い気持ちで、惰性的になんとなく息をしている。
『おはようっ。
どうしたの? 早く学校に行こうよ。で、わたしに早く作品を読ませてっ』
なんとなく、想像する。
あの幼なじみが生きていたら、玄関で言ってくれたであろうことを。
『自殺ブーム』
が、中高生で流行している。
急に『自殺したい』と思い、自分で自分を殺す。首吊り、ナイフで胸を刺す、屋上から落ちる。方法は様々。学校では毎日のように「自殺はやめよう」と大人たちが言う。効果はないけど。
そして、ぼくの幼なじみも自殺してしまった。
唯一創作を褒め、認め、はげましてくれていたのに。
死にたい、そう思えたら。
だって、もうぼくの創作する理由はないのだから。
重たい鬱よ、早く来い。早くぼくに殺させてくれ。
今、ぼくの手には、手紙がある。
100均で買っただろう、そんな手紙用の封筒。中には、もちろん手紙。
『あの子がユウくんにって』
幼なじみ、田口さんのお母さんが家に来て、玄関でぼくにくれた。
遺書、になるのだろう。
自殺した、首を吊り、可愛い顔で目を見開き、糞尿をたらしたであろう、あの幼なじみの。
まさか、中1で遺書を書くとは思わなかっただろう。
ぼくも、中1で恋をしていた子の遺書を読むとは思っていなかった。
けど、それが今日本で流行っている『自殺ブーム』。
2026年、少子高齢化が進んでいるのに、更に加速させている、原因不明の流行。
ドキドキしながら、封筒を開ける。
「…なんだよ、これ」
『進め!』
そう、書かれていた。
たったの3文字、けど、精一杯に、力を振り絞って。
このたった3文字(記号も入れると)が、ぼくが勝手に惚れていた幼なじみからの最後の言葉だった。
ぼくは、毛布から出る。
そして、はあ、と息を吐く。
もう、ぼくの創作を認めてくれる人はいない。
けど、それでも、ぼくは生きたい。
『自殺ブーム』に歯向かいたい。
生きているから、ぼくは進む。
生きている限り、まだ終わっていない。
田口さんが、微笑みながら。
天国から見てくれているから。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。




