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ソレデモトマラズ

作者: 永進
掲載日:2026/04/20

死ぬな、進め。

「死にたい」

自分の部屋、毛布の中、ぼくは呟く。

顔には生気が全くないだろう。だって、ぼくは死にたいと思いたくて仕方ないのだから。


「死にたい」

と、何回口にしたことか。

それでも、死にたいとは思わず。しかし、生きたいと思うこともできず。


暗い気持ちで、惰性的になんとなく息をしている。


『おはようっ。

どうしたの? 早く学校に行こうよ。で、わたしに早く作品を読ませてっ』

なんとなく、想像する。


あの幼なじみが生きていたら、玄関で言ってくれたであろうことを。


『自殺ブーム』

が、中高生で流行している。


急に『自殺したい』と思い、自分で自分を殺す。首吊り、ナイフで胸を刺す、屋上から落ちる。方法は様々。学校では毎日のように「自殺はやめよう」と大人たちが言う。効果はないけど。


そして、ぼくの幼なじみも自殺してしまった。


唯一創作を褒め、認め、はげましてくれていたのに。


死にたい、そう思えたら。

だって、もうぼくの創作する理由はないのだから。


重たい鬱よ、早く来い。早くぼくに殺させてくれ。




今、ぼくの手には、手紙がある。

100均で買っただろう、そんな手紙用の封筒。中には、もちろん手紙。


『あの子がユウくんにって』

幼なじみ、田口さんのお母さんが家に来て、玄関でぼくにくれた。


遺書、になるのだろう。

自殺した、首を吊り、可愛い顔で目を見開き、糞尿をたらしたであろう、あの幼なじみの。


まさか、中1で遺書を書くとは思わなかっただろう。

ぼくも、中1で恋をしていた子の遺書を読むとは思っていなかった。


けど、それが今日本で流行っている『自殺ブーム』。

2026年、少子高齢化が進んでいるのに、更に加速させている、原因不明の流行。


ドキドキしながら、封筒を開ける。


「…なんだよ、これ」


『進め!』

そう、書かれていた。

たったの3文字、けど、精一杯に、力を振り絞って。


このたった3文字(記号も入れると)が、ぼくが勝手に惚れていた幼なじみからの最後の言葉だった。




ぼくは、毛布から出る。

そして、はあ、と息を吐く。


もう、ぼくの創作を認めてくれる人はいない。


けど、それでも、ぼくは生きたい。

『自殺ブーム』に歯向かいたい。


生きているから、ぼくは進む。

生きている限り、まだ終わっていない。


田口さんが、微笑みながら。

天国から見てくれているから。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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