第九話「森の異変解決と名声の確立」
第九話「森の異変解決と名声の確立」
セレナが健一のパーティーに加わったことで、森の異変は急速に収束に向かった。
セレナの魔力が安定したことで、森の魔物たちの凶暴化も沈静化。
黒狼の群れも、もはや不穏な魔力に引き寄せられることはなくなり、通常通り散り散りになったようだ。
健一たちは、セレナの案内で、彼女が使っていた祠の奥を探索した。
そこには、魔族が残したと思われる古文書や、魔力の研究に関する資料が残されていた。
【スキル『古代文字解読』を習得しました！】 【スキル『魔術書解読』を習得しました！】 健一は古文書を読み解き、セレナの魔族としてのルーツや、彼女の魔力の特性について、さらに深く理解を深めることができた。
また、魔族の技術に関する知識も得られ、今後の冒険に役立つだろう。
「これで、エメラルドの森の異変は完全に解決だな」 健一がそう言うと、フィーナとルナ、そしてセレナも安堵の表情を見せた。
「健一様がいらっしゃらなければ、わたくしはきっと、このまま魔晶石に生命を吸い取られ、森の魔物たちを暴走させ続けていたでしょう……」 セレナは改めて健一に感謝の言葉を述べた。
「気にすることはない。
これも、出会いの縁だ」 健一は、前世のおじさんでは考えられないほど、懐の深い言葉を自然と口にしていた。
森の異変を解決し、健一たちはファーランドの街へと戻った。
冒険者ギルドで依頼完了の報告をすると、受付嬢は驚きの声を上げた。
「なんですって！？エメラルドの森の異変を、あなた様たちが解決したと！？しかも、あの『黒狼』の群れも完全に鎮圧されたと！？」 健一が提出した討伐報告書と、セレナの証言（彼女の魔力安定はギルドが確認済みだった）により、ギルドは森の異変解決を認定した。
「これで、健一様はEランクから一気にCランクに昇格です！こんな短期間での昇格は、ギルド史上でも稀なことですよ！」 受付嬢は興奮気味に告げた。
周囲の冒険者たちも、健一たちの報告にざわめいていた。
「なんだと！？あの新人、本当に『黒狼』を……！？」 「しかも、森の異変そのものを解決したって？もしかして、あの魔力量は伊達じゃないってことか！」 「あの『炎の牙』も、結局何もできなかったってのに……」 健一の名声は、ファーランドの街中に瞬く間に広まっていった。
特に、パーティーに魔族の少女セレナが加わったことは、大きな話題を呼んだ。
一部の冒険者たちは魔族への警戒心から訝しげな視線を向けるが、健一の圧倒的な実力と、セレナの穏やかな人柄が知られるにつれて、徐々にその視線も和らいでいった。
ギルドからの報酬は、金貨が数枚。
健一にとっては十分すぎる額だ。
「これで当面の生活費には困らないな」 健一はそう言って笑った。
その夜、『迷宮亭』では、健一たちの活躍を祝う宴が催された。
女将が特別に用意したご馳走がテーブルに並び、健一、フィーナ、ルナ、セレナの四人は、笑顔で料理を囲んだ。
「健一様のおかげで、わたくし、初めてこんなに楽しい夜を過ごせます……」 セレナは、ぎこちないながらも、心からの笑顔を見せた。
「そうだな！おじさんといると、毎日が刺激的だぜ！」 ルナが肉を頬張りながら元気よく言う。
フィーナも「はい、健一様は本当に頼りになります」と、健一の腕にそっと寄り添った。
健一は、目の前で楽しそうにしている三人の少女たちを見て、温かい気持ちになった。
前世では味わえなかった、この充実感。
（これが、異世界での第二の人生か……悪くないな） 健一は、麦酒を一口飲み、小さく息を吐いた。
この日を境に、健一と彼のハーレムパーティー『無双の老兵団』（健一が冗談でつけた名称だが、なぜか定着しつつあった）は、ファーランドの街で確固たる地位を築き、次なる冒険へと歩みを進めることになった。
彼らの名声は、やがてこの街を飛び出し、世界へと轟いていくことになるだろう。
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