第六話「エメラルドの森の黒狼と新たな仲間」
第六話「エメラルドの森の黒狼と新たな仲間」
エメラルドの森は、その名の通り、深く豊かな緑に覆われた森だった。
木々の葉は鮮やかな緑色で、地面には苔が生い茂り、神秘的な空気が漂っている。
健一、フィーナ、ルナの三人は、森の奥へと足を踏み入れていた。
「この辺りから、特に魔物の気配が濃くなってきたな」 健一は、自身の五感が研ぎ澄まされているのを感じていた。
【無限成長】によって、スキルだけでなく、身体そのものも強化されている証拠だ。
フィーナは弓を構え、警戒しながら周囲を見回している。
ルナは獣人特有の鋭い嗅覚と聴覚で、周囲の情報を健一に伝えていた。
「健一おじさん、この先の茂みの奥に、複数の気配があるぜ!かなり大きくて、速い。
あれが『黒狼』で間違いないと思う!」 ルナが耳をぴくぴくさせながら、低い声で言った。
健一は頷いた。
「よし、先行する。
フィーナは後方から援護を、ルナは側面に回って攪乱を頼む」 健一は的確に指示を出す。
前世での管理職経験が、こんなところで役立つとは、と少し苦笑した。
健一が茂みを抜けると、そこにいたのは、たしかに漆黒の毛並みを持つ巨大な狼の群れだった。
体長は二メートル近くあり、鋭い牙を剥き出しにして唸り声を上げている。
数は五体。
その瞳は赤く、ただならぬ凶悪さを感じさせる。
「グルルルルッ……!」 黒狼たちが、一斉に健一に飛びかかってきた。
健一は剣を抜き放ち、構える。
【スキル『片手剣術』】、【スキル『身体強化』】、【スキル『危機察知』】。
あらゆるスキルが、健一の全身で機能する。
まるでスローモーションのように、黒狼たちの動きが認識できた。
最初に飛びかかってきた一体の頭部を、健一は剣で一閃。
黒狼は呻き声一つ上げられず、真っ二つにされ、光の粒子となって消滅した。
その瞬間に、フィーナの矢が正確に別の黒狼の目を射抜く。
「キャンッ!」 盲目となった黒狼が混乱する間に、ルナが横から猛スピードで突撃し、鋭い爪でその喉笛を掻き切った。
「ヨシ!あと二匹!」 ルナが叫ぶ。
残る二体の黒狼は、仲間が次々と倒されていく光景に、恐怖を感じ始めたのか、連携が乱れ始めていた。
健一は、魔力を使って、簡単な火球の魔法を放つ。
【スキル『初級火魔法』がレベルアップしました!】 火球は真っ直ぐに一体の黒狼に命中し、黒狼は断末魔の叫びと共に燃え尽きた。
残る一体は、もはや戦意を失っていた。
健一のあまりにも圧倒的な力に、獣の本能が逃げろと叫んでいるのだろう。
黒狼は健一に背を向け、一目散に逃げ出そうとした。
しかし、健一はそれを逃がさない。
剣を振りかざし、逃げる黒狼の背中を、一刀両断にした。
「ピコン!」 【スキル『中級火魔法』を習得しました!】 【スキル『索敵』がレベルアップしました!】 【経験値を獲得しました!】 次々と鳴り響くシステムメッセージに、健一は笑みを深めた。
森に静寂が戻った。
「や、やった……!終わったのですね!」 フィーナが駆け寄ってきた。
その顔には、安堵と、そして健一への尊敬の念が浮かんでいる。
「すげぇおじさん!あんた、本当に何者なんだ!?あんなに強い『黒狼』の群れを、一人で……!」 ルナも興奮冷めやらぬ様子で、健一に詰め寄る。
健一は肩を竦めた。
「まあ、何とかってところだな。
これで森の異変も収まるだろう」 その時、健一はふと、森の奥から微かな魔力の反応を感じ取った。
それは、先ほどの黒狼とは比べ物にならないほど、強大で、不穏な魔力だった。
(これは……もしや、この森の異変の原因か?黒狼たちは、この魔力に引き寄せられていただけ、なのか?) 健一は直感的にそう感じた。
この依頼の裏には、もっと大きな何かがある。
「ルナ、フィーナ。
すまないが、もうしばらくこの森を探索する必要があるかもしれない」 二人は健一の言葉に、不思議そうな顔をした。
「どうしたんですか、健一様?」 「何か、嫌な気配がするんだ。
この森の異変は、まだ終わってないかもしれない」 健一は、二人にそう告げた。
こうして、健一たちの『黒狼討伐』は、新たな局面を迎えることになった。
そして、森の奥で待つのは、健一のハーレムに加わることになる、意外な人物だった。
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