表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/50

第四話「酒場での情報収集と出会いの予感」

第四話「酒場での情報収集と出会いの予感」


冒険者ギルドでの騒動から逃れるように、健一とフィーナは目的の酒場『迷宮亭』へと足を踏み入れた。

木製の重厚な扉を開くと、中からは賑やかな喧騒と、様々な料理の香りが押し寄せてくる。

薄暗い店内は、木製のテーブルと椅子が並び、壁には依頼が張り出された掲示板や、使い込まれた武具が飾られていた。

いかにも異世界の酒場といった雰囲気だ。

「へぇ、なかなか良い雰囲気じゃないか」 健一は前世で何度となく通った居酒屋とは違う、粗野でありながらも活気に満ちた空間に、わずかな高揚感を覚えた。

フィーナは、慣れない場所に少し戸惑っているようだったが、健一の隣でしっかりと立っている。

二人が空いている席に着くと、すぐに恰幅の良い女将が笑顔で近づいてきた。

「いらっしゃい!何にする?」 「初めてなんですけど、とりあえずこの世界の酒と、何か簡単な食事を。

あと、情報を集めたいんですが、おすすめはありますか?」 健一が尋ねると、女将はにやりと笑った。

「情報なら、うちが一番さね!それじゃあ、まずは『麦酒ばくしゅ』と、『山賊焼き』ってのはどうだい?この街じゃ名物だよ」 「じゃあ、それで。

フィーナは何にする?」 健一が問うと、フィーナは「わ、わたくしは、果実水で……」と控えめに答えた。

注文を済ませ、料理が運ばれてくるまでの間、健一は改めて店内を見回した。

冒険者らしき者たちが、酒を酌み交わしながら大声で笑い合っている。

中には、深刻そうな顔で地図を広げている者や、互いの腕前を自慢し合っている者もいる。

健一は、彼らの会話に耳を傾けた。

「……あの森、最近妙にゴブリンの数が増えてるって話じゃねぇか」 「ああ、ギルドの依頼もゴブリン討伐が増えてるらしいぜ」 「おかげで稼ぎにはなるが、ちょっと不気味だよな」 (ゴブリンか。

確かに森の中で何体か見かけたが……) 健一は、森でフィーナを襲っていたゴブリンが異常に凶暴だったことを思い出す。

何か異変があるのかもしれない。


運ばれてきた麦酒は、琥珀色に輝き、香ばしい麦の香りがする。

一口飲むと、喉越しが良く、芳醇な味わいが口の中に広がった。

「うん、美味いなこれ!日本のビールとはまた違う、素朴な味わいがある」 健一は満足そうに頷いた。

隣のフィーナも、初めての山賊焼きを恐る恐る口に運び、「お、美味しいです……!」と感動している。

食事を終え、しばらく店内の雰囲気を楽しんでいると、女将が再びやってきた。

「どうだい、味は?」 「ええ、とても美味しかったです。

それで、情報の方なんですが……」 健一が切り出すと、女将は顔を近づけて、少し声を潜めた。

「最近、この街の近くの『エメラルドの森』で、魔物の活動が活発になってるって話さ。

特に、強力な魔物が目撃されたなんて噂も聞くよ」 「強力な魔物、ですか」 「ああ。

特に、この辺りじゃ見かけねぇような、黒い毛並みの大きな狼だとか……。

それが森の奥に巣食ってるってんで、腕利き冒険者も何人か挑んだが、未だに討伐できてないらしい」 (黒い狼……。

これは、初依頼にはうってつけかもしれないな) 健一は、今後の活動資金稼ぎと、自身の力試しのために、その依頼に興味を抱いた。

「ありがとうございます。

それと、この街で宿を探しているんですが、どこかおすすめはありますか?」 「それなら、うちの二階に空きがあるよ。

冒険者さんには特別価格で貸してるから、よかったらどうだい?」 女将の提案に、健一は二つ返事で頷いた。

宿探しに時間を割く必要がないのは助かる。


二人は二階の部屋に通された。

質素だが清潔な部屋で、ベッドが二つ並んでいる。

「さて、明日は冒険者ギルドで、その『エメラルドの森の異変』に関する依頼を探してみるか」 健一が言うと、フィーナは少し不安そうな顔をした。

「強力な魔物が出るのですよね?健一様は強いですが、やはり少し心配です……」 「大丈夫だ、フィーナ。

おじさんの力は、君が想像している以上だからな。

それに、無理はしない。

あくまで様子見だ」 健一はフィーナの頭を優しく撫でた。

その時、部屋のドアがノックされた。

「はーい、お隣さん、ちょっといいかい?」 ドアを開けると、そこに立っていたのは、活発そうな獣人の少女だった。

褐色の肌に、ぴんと立った猫のような耳と、揺れる尻尾。

瞳は琥珀色に輝き、動きの全てに野性的なしなやかさが感じられる。

年齢はフィーナと同じくらいか、もう少し上くらいだろうか。

彼女は健一の顔を見て、きょとんとした表情を浮かべた。

「あんた、新顔だね。

私はルナ!この宿の常連さ。

よろしくね、おじさん!」 ルナと名乗る獣人の少女は、人懐っこい笑顔を健一に向けた。

健一は、これが新たなハーレムメンバーとの出会いの予感であることを、まだ知る由もなかった。


読んで下さりありがとうございました!

★★★★★評価、リアクションお願いします!

Youtubeにて作品公開中!

再生リスト : https://www.youtube.com/playlist?list=PLmiEOdmheYJxhNyR4Frew0S0BXZP3KUUd


ご感想やご質問など、ぜひコメントでお聞かせください。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ