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第三十二話 古城潜入と、魔王の異界門

第三十二話 古城潜入と、魔王の異界門


大陸東部にそびえ立つ魔王の古城。

その禍々しいシルエットが、満月に近づく蒼き月のもと、不気味に浮かび上がっていた。

健一と無双の老兵団は、蒼き月が完全に満月となり、魔王の力が最大になる夜を前に、古城への潜入を決行した。


「蒼き月が満月になるまで、あと数時間。

それまでに古城に潜入し、魔王の遺産が眠る場所と、奴らの儀式の拠点を突き止めるぞ」

健一は、古城を見上げながら、仲間たちに静かに指示を出した。


古城の周囲は、古代の魔王戦争時代の名残である強大な結界と、蒼き月の商隊の残党や、異界の魔物たちによって、厳重に守られていた。


「この結界は、古代の魔王の魔力と、現在の蒼き月の魔力が融合した、非常に複雑な構造です。

無理に突破しようとすれば、古城全体に警報が鳴り響きます」

アリアが、空間魔術で結界の構造を解析しながら、警告した。


「任せて。

私の星の力で、結界の魔力の流れを乱し、潜入できる**『わずかな隙』**を作ります」

ステラが、決意の表情で言った。

彼女は、健一の信頼に応えるべく、その星の力を最大限に高めていた。




古城への潜入


健一は、ステラ、アリア、セレナと共に、結界の最も薄い部分へと近づいた。

ルナ、フィーナ、リルム、セレスは、周囲の魔物と残党の警戒にあたる。


ステラは、古城の結界へと両手をかざした。

彼女の銀色の髪と青い瞳が、星の光を放ち、結界に流れる魔力の流れを乱し始めた。


「今です!健一様!」

ステラの合図と同時に、アリアが空間魔術で、結界に一瞬だけ小さな時空間の歪みを作り出した。


「行くぞ!」

健一は、その歪みへと、無双剣 虚無を突き立てた。

剣の虚空属性が、歪みを広げ、健一たちが潜入できるほどの微細な空間門を作り出した。


健一と仲間たちは、誰にも気づかれることなく、魔王の古城の内部へと潜入することに成功した。


古城の内部は、外観の不気味さとは裏腹に、広大で静寂に包まれていた。

しかし、健一の魔力感知スキルは、この静寂の奥に、禍々しい異界の魔力が蠢いているのを感じ取っていた。


健一は、**【隠形】と【気配遮断】**のスキルを最大出力で発動させ、仲間たちに指示を出した。


「古城の内部は迷路のようになっている。

アリアの空間魔術と、ステラの魔力感知で、儀式の拠点、そして魔王の遺産がある場所を探るぞ」

「承知いたしました。

この古城の魔力の中心は、地下深くにあるようです。

おそらく、そこが魔王の遺産が眠る場所、そして儀式の拠点でしょう」

アリアが、魔力の流れを追跡しながら報告した。




遺跡の罠と魔物たち


地下へと続く通路を進む健一たちの前に、古城の古代の罠と、魔王軍の残党である異界の魔物たちが、次々と現れた。


通路の床には、強大な魔力を持つ呪われた魔術陣が敷かれており、不用意に踏み込めば、全身の魔力を奪われる危険があった。


「この魔術陣は、古代の魔王が築いた強力な罠です!解除するには、魔王の魔力の流れを読み解く必要があります」

セレナが、魔族としての知識を活かし、魔術陣の解析を試みた。


その時、通路の奥から、複数の影のような魔物が、健一たちへと襲いかかってきた。

彼らは、蒼き月の魔王の魔力によって生み出された、闇の眷属だった。


「リルム!その魔物たちは、物理攻撃が効きにくい!フィーナの聖なる矢で、動きを封じろ!」

健一の指示に、フィーナは聖なる矢を放ち、影のような魔物の動きを封じる。

リルムは、魔力で作られた純粋な光の短剣を投げつけ、影の魔物を浄化していった。


ルナは、素早い体術で魔術陣を避けながら、セレナを魔物から守る。

セレスは、ロングソードを振るい、魔物たちを一刀両断していく。


その間に、セレナが魔術陣の解析を終えた。


「健一様!魔術陣の解除方法がわかりました!魔王の魔力とは逆の流れで、虚空属性の魔力を流し込めば、無力化できます!」

セレナの言葉に、健一は無双剣 虚無から虚空属性の魔力を放ち、魔術陣を完全に無力化した。




魔王の遺産の謎


魔術陣を突破し、さらに地下深くへと進む健一たち。

古城の最深部には、巨大な空間が広がっていた。

そこは、まるで異界と繋がる空間のような、禍々しい魔力に満ちていた。


空間の中央には、巨大な祭壇があり、その祭壇の上に、眩い光を放つ巨大な黒曜石が安置されていた。

その黒曜石こそが、魔王の古城に眠るとされる**『魔王の遺産』**だった。


「あれが……魔王の遺産……」

健一は、黒曜石の放つ圧倒的な魔力に、思わず息を飲んだ。

その魔力は、王都の宝珠や、星の巫女の水晶とは比較にならないほど、巨大で邪悪なものだった。


しかし、その黒曜石の周囲には、すでに蒼き月の商隊の残党と、彼らを率いる新たな使徒が待ち構えていた。

彼らは、黒曜石を起動させるための儀式を、まさに始めようとしているところだった。


「ふふっ……まさか、ここまで来るとはな、Sランク冒険者よ。

だが、もう遅い。

我々は、この**『魔王の涙』**を起動させ、魔王様をこの世界に招く!」

新たな使徒は、憎悪の表情で健一たちを睨みつけた。


「魔王の涙……それが、奴らが運んでいた異界の触媒の真の姿か」

健一は、使徒の言葉に、事態の重大さを理解した。


「させるか!」

健一は、無双剣 虚無を構え、使徒へと飛びかかろうとした。


その時、使徒は、祭壇の横にある巨大なレバーを引いた。


ゴオォォォォォッ!!

巨大な音と共に、祭壇の奥の壁が開き、その奥から、巨大な異界の門が姿を現した。

その門は、夜空の蒼き月と強く共鳴しており、門の向こう側からは、深淵の底のような闇の波動が流れ込んでくる。


「これが……魔王の降臨の儀式!?」

ルナが、その光景に驚愕の声を上げた。


「ふふっ……この異界の門は、魔王様がこの世界に降臨するための、『蒼き月の道』。

貴様ごとき人間には、決して止められぬ!」

使徒は、高笑いと共に、魔王の涙の力を最大限に引き出し、異界の門へと注ぎ込み始めた。


門の向こうから流れ込む闇の波動は、古城全体を覆い尽くし、健一たちの身体に重くのしかかる。


「健一様!急いで!魔王の涙を破壊しなければ、本当に魔王が降臨してしまいます!」

セレナが、魔王の降臨が間近に迫っていることを告げた。




最後の戦い


健一は、無双剣 虚無を構え、使徒と魔王の涙、そして異界の門へと向かう。


「フィーナ、ルナ、リルム、セレス!残党を食い止めろ!アリア、セレナ、ステラ!魔王の涙の防御結界を解析しろ!儀式を妨害するぞ!」

健一は、最後の指示を仲間たちに出した。


健一は、使徒との一対一の戦いを開始した。

使徒は、魔王の涙の力と、異界の門から流れ込む魔力を受け、以前の使徒よりも遥かに強大な力を発揮していた。


「無駄だ、Sランク冒険者!この私は、魔王様の力と融合した、『深淵の器』!貴様の剣など、通用せん!」

深淵の器と化した使徒は、闇の波動を放ち、健一の身体を押し潰そうとする。


しかし、健一の無双剣 虚無は、深淵の闇の魔力を吸収し、その力を打ち破っていく。


「通じないな。

お前の魔王の力も、俺の無限の成長の前では、無力だ!」

健一は、無双剣 虚無に虚空属性の魔力を集中させ、深淵の器へと肉薄した。


その間に、アリア、セレナ、ステラが、魔王の涙の防御結界の解析を終えた。


「健一様!防御結界は、蒼き月の光と、星の巫女の力でしか破壊できません!」

ステラが、自身の能力がこの結界破壊に必要であることを告げた。


「わかった!ステラ!君の力が必要だ!俺と一緒に、この魔王の涙を破壊するぞ!」

健一は、深淵の器を一時的に押し戻し、ステラへと合図を送った。


ステラは、健一の指示に力強く頷き、再び光り輝く巫女の姿へと変貌した。

彼女の星の光が、健一の無双剣 虚無と、魔王の涙へと注がれていく。


「星の光よ、虚空の剣と一つになり、深淵の闇を打ち砕け!」

ステラの清らかな声が、古城の最深部に響き渡る。


健一は、ステラの光の力を受け、無双剣 虚無を魔王の涙へと突き立てた。


ズガァァァン!!

健一の剣が、魔王の涙の防御結界を貫き、その核を破壊した。

魔王の涙は、光の粒子となって砕け散り、異界の門へと注がれていた魔力の流れが完全に断ち切られた。


魔王の涙の破壊と共に、深淵の器と化した使徒も、その力を失い、光の粒子となって消滅した。


異界の門は、魔力の供給を失い、ゆっくりと閉じ始めた。

しかし、門が完全に閉じる直前、門の向こう側から、巨大な影が、一瞬だけこの世界に姿を現した。


その影は、見る者の魂を凍りつかせるような、純粋な闇と恐怖の塊だった。

そして、その影は、健一の存在を認識し、低い、威圧的な声で、健一の精神に直接響き渡った。


「よくぞ、我らの降臨を邪魔したな、異物よ……。

貴様の存在、必ずやこの世界から抹消してくれる……!」

魔王の威圧的な声が、健一の精神に響き渡った後、異界の門は完全に閉ざされた。


健一は、魔王の古城での危機を救い、魔王の降臨を阻止した。

しかし、魔王の本体が、健一の存在を認識したことで、彼らの戦いは、新たな局面を迎えることになった。


読んで下さりありがとうございました!

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Youtubeにて作品公開中!

再生リスト : https://www.youtube.com/playlist?list=PLmiEOdmheYJxhNyR4Frew0S0BXZP3KUUd


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