第二十三話 神託の民の総攻撃と、王都の防衛戦
第二十三話 神託の民の総攻撃と、王都の防衛戦
王家の宝珠が無事であることを確認し、リリア王女も回復の兆しを見せる中、王都には不穏な空気が満ちていた。
神託の民は、王家の宝珠の無力化に失敗したことで、焦りを見せている。
健一は、彼らが次の手を打つであろうことを確信していた。
その日の夜明け前。
王都の警備を強化していた健一の魔力感知スキルが、巨大な魔力の波動を捉えた。
それは、王都の複数の方向から、同時に押し寄せてくる、禍々しい闇の魔力だった。
「来たか……神託の民の総攻撃だ!」
健一は、すぐに王宮の警備隊に緊急警報を発令した。
王女と宰相もすぐに状況を把握し、王都全体に防衛命令を下した。
王宮の屋上へと駆け上がった健一は、王都の城壁の向こうに広がる光景に息を飲んだ。
無数の魔物、そして黒いローブをまとった神託の民の兵士たちが、まるで津波のように王都へと押し寄せてきているのだ。
彼らの上空には、異形の姿をした巨大な飛竜のような魔物たちが舞い、王都の空気を震わせている。
「健一様!東の城壁が危ない!大型のゴーレムが突破しようとしています!」
フィーナが、弓を構えながら叫んだ。
「西からは、闇の魔術師の集団が、結界を破ろうとしています!」
セレナも、魔力感知で状況を把握し、報告する。
「南からは、異界の魔物たちが多数押し寄せてきています!この規模は、以前の比ではありません!」
アリアは、空間魔術で敵の数を分析し、その膨大さに顔をしかめた。
「くそっ、これだけの数を、どうやって……!」
ルナは、拳を握りしめ、戦況に焦りを見せた。
健一は、王都の防衛陣形と、神託の民の攻撃パターンを瞬時に分析した。
スキル 戦術指揮 スキル 集団戦術解析 スキル 大規模魔力制御。
無限成長によって得られた新たなスキルが、健一の頭の中で最適解を導き出す。
「リルム!王都の防衛設備を最大出力で稼働させろ!セレスは、騎士団を指揮し、各所の城壁の防衛に向かえ!リリア王女を、すぐに王家の宝珠の元へ!王家の宝珠の力を開放する!」
健一の指示は、的確かつ迅速だった。
リルムは、自身が持つ鍛冶の知識と、健一から得た魔力制御の知識を活かし、王都の防衛設備である魔力砲台や魔術障壁の出力調整に向かった。
セレスは、健一の指示に力強く頷き、王宮騎士団を指揮して各所の防衛へと向かった。
彼女の顔には、迷いはない。
健一は、リリア王女を王家の宝珠が安置されている聖なる洞窟へと連れて行った。
リリアは、まだ病み上がりではあったが、王都を守るために戦うことを決意していた。
「佐藤様……わたくしに、できることがあるのなら、何なりと仰せください!」
リリアは、健一にそう告げた。
「ああ、頼む。
リリア王女。
君の力が必要だ。
王家の宝珠の力を開放し、王都の結界を最大出力まで引き上げてくれ」
健一は、リリアに王家の宝珠の制御方法を指示した。
リリアは、健一の言葉に従い、王家の宝珠へと手をかざした。
王家の宝珠は、リリアの王家の魔力と共鳴し、眩い光を放ち始めた。
その光は、王都全体を包み込み、王都の結界を最大出力まで引き上げていく。
「これで、王都の結界は、しばらくは破られない。
だが、この規模の攻撃は、長続きはしないはずだ。
敵の狙いは、結界を破ることだけではない。
この混乱に乗じて、何かを企んでいるはずだ」
健一は、神託の民の真の狙いを見抜いていた。
王都の城壁では、壮絶な防衛戦が繰り広げられていた。
フィーナの弓は、空を舞う飛竜を次々と射落とし、ルナの素早い体術は、城壁に群がる魔物を吹き飛ばす。
セレナの魔族魔法は、闇の魔術師の攻撃を相殺し、リルムが調整した魔力砲台は、大型ゴーレムを破壊していく。
セレスが指揮する騎士団は、健一の戦術指揮に従い、各所の防衛線を死守していた。
セレス自身も、最前線でロングソードを振るい、敵を斬り伏せていく。
「この程度で、王都を落とせると思うな!」
セレスは、王都の民を守るために、限界を超えて戦っていた。
しかし、神託の民の攻撃は止まらない。
彼らは、次々と新たな魔物や兵士を送り込み、王都の結界を執拗に攻撃していた。
その時、健一の魔力感知スキルが、王都の中央、王城の真下から、巨大な魔力の波動が放出されているのを捉えた。
それは、王都の地下深くから、一気に上昇してくる魔力だった。
「くそっ、やはり、狙いはそこか!」
健一は、神託の民の真の狙いを確信した。
彼らは、王都の結界を破ることではなく、王都の混乱に乗じて、王城の地下に潜入し、何かを企んでいるのだ。
「フィーナ、ルナ、セレナ、アリア!全員、王城の地下へと向かうぞ!セレスは、引き続き防衛を!」
健一は、急いで仲間たちに指示を出し、王城の地下へと向かった。
王城の地下へと続く通路を進む健一たち。
通路は、先ほどまで静まり返っていたが、今は激しい魔力の衝突音と、悲鳴が響き渡っている。
最奥の部屋へと辿り着くと、そこには、王城の地下深くに隠された**『古代神殿』**があった。
神殿の中央には、巨大な祭壇があり、その上で、黒いローブをまとった複数の神託の民が、何らかの儀式を行っている。
そして、その祭壇の中心には、先ほど対峙した使徒よりもさらに強大な魔力を放つ、異形の存在が鎮座していた。
その存在は、見る者の精神を蝕むような禍々しいオーラを放ち、周囲の空間を歪ませていた。
「健一様……あれは、まさか……**『神の降臨』**の儀式!?」
セレナが、恐怖に声を震わせた。
彼女の魔族としての知識が、その儀式の危険性を物語っていた。
「くそっ、やはり、これが真の狙いか!」
健一は、無双剣 虚無を構え、祭壇へと飛びかかった。
「使徒どもめ!邪魔をするな!」
健一は、祭壇の周囲にいた神託の民の兵士たちを、一瞬で斬り伏せた。
そして、祭壇の中心へと向かい、異形の存在へと剣を突き立てようとした。
しかし、異形の存在から放たれる圧倒的な魔力の波動は、健一の剣を弾き飛ばした。
異形の存在は、ゆっくりと目を開き、その赤い瞳を健一へと向けた。
「よくぞここまで来たな、異物よ。
だが、もう遅い。
我らの真の神は、既にこの世界に降臨しようとしている。
お前ごとき人間には、止められぬ!」
異形の存在は、低い声で健一に告げた。
その声は、健一の精神に直接響き渡り、彼を圧倒する。
「真の神……貴様が、この世界の真の闇か!」
健一は、無双剣 虚無を再度構え、異形の存在へと肉薄した。
フィーナ、ルナ、セレナ、アリアも、健一を援護すべく、それぞれの攻撃を異形の存在へと放った。
しかし、異形の存在から放たれる魔力の波動は、彼らの攻撃を全て無効化する。
「無駄だ。
我らの神は、貴様ごとき人間には理解できぬ、超越した存在。
お前たちの力など、塵に等しい!」
異形の存在は、そう告げると、祭壇の中心にある光を、さらに強く輝かせた。
その光は、王城の地下から、王都の空へと向かって伸びていく。
「くそっ、このままでは、本当に真の神が降臨してしまう!」
健一は、焦りを覚えた。
彼の魔力感知スキルは、王都の空に、巨大な異界の門が開かれようとしているのを捉えていた。
「アリア、セレナ!あの光を遮断しろ!リルムは、俺の剣に魔力を集中させろ!フィーナ、ルナは援護だ!」
健一は、絶望的な状況の中、最後の指示を出した。
アリアとセレナは、健一の指示に従い、古代神殿の祭壇から放出される光を遮断するための術式を構築し始めた。
リルムは、健一の無双剣 虚無に自身の魔力を注ぎ込み、剣の力を最大まで引き出そうとした。
健一は、無双剣 虚無を構え、異形の存在へと肉薄した。
彼の剣は、光属性の魔力を帯び、異形の存在の闇の防御を打ち破ろうとする。
「俺が、お前たち神託の民の野望を打ち砕く!」
健一の咆哮が、古代神殿に響き渡る。
王都の運命、そしてこの世界の命運を賭けた、健一と神託の民の最終決戦が、今、始まろうとしていた。
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再生リスト : https://www.youtube.com/playlist?list=PLmiEOdmheYJxhNyR4Frew0S0BXZP3KUUd
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