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第二十話 神託の民の幹部と、王都の決戦

第二十話 神託の民の幹部と、王都の決戦


バルド軍事顧問の私邸地下にある秘密の祭壇。

健一の言葉に、バルドは怒りに顔を歪めた。


「貴様、いつからそこに!?我が神託の民の秘密を知りながら、生きて帰れると思うなよ、Sランク冒険者!」

バルドはそう叫ぶと、手に持つ闇の魔晶石を掲げた。

魔晶石から放出される禍々しい闇の魔力が、バルドの全身を包み込み、彼の身体を異形の怪物へと変貌させていく。

それは、ゴードンが変身した姿よりも、さらに巨大で邪悪な姿だった。

全身に黒い鱗が生え、鋭い爪が伸び、背中からは蝙蝠のような翼が生えている。


「これこそが、神託の民の幹部のみに許された、真の覇王の器。

貴様ごとき成り上がりの転生者に、この世界の真の力を思い知らせてやる!」

バルドは咆哮と共に、祭壇の床を踏み砕き、健一へと襲いかかった。

彼の爪が、健一の頭上へと振り下ろされる。


健一は、無双剣 虚無を構える。

バルドの闇の魔力が、剣の全属性無効化の特性によって完全に吸収されていく。

健一は、バルドの力を吸収する度に、自身のスキルがレベルアップしていくのを感じていた。


スキル 闇属性吸収 スキル 闇魔術解析 スキル 覇王の器解析。


「無駄だ。

お前の力は、全て俺の栄養になるだけだ」

健一はそう告げると、無双剣 虚無に自身の膨大な魔力を注ぎ込み、剣から青白い虚空属性の斬撃を放った。

斬撃は、バルドの闇の鱗を容赦なく切り裂き、彼の巨体に深々と食い込んだ。


「グアァァァァッ!」

バルドは苦痛の叫びを上げた。

彼の身体から、闇の魔力が噴き出し、祭壇の周囲に展開されていた結界を揺るがす。


「こんな……!なぜ、私の覇王の力が効かない!?貴様は一体何者だ!?」

バルドは、信じられないものを見る目で健一を見つめた。

彼は、自分の力が、健一に全く通用しないことに、初めて恐怖を感じていた。


「俺は、ただのおじさんだ。

だが、お前たちの邪悪な企みは、この俺が止める」

健一は、一歩踏み出し、バルドへと肉薄した。

神速剣技が炸裂し、無数の斬撃がバルドの身体を襲う。

バルドは、その巨体と闇の魔力で反撃しようとするが、健一の剣は、彼の闇の防御をまるで存在しないかのように切り裂いていく。


その時、祭壇の奥から、複数のローブの男女が現れた。

彼らは、バルドの護衛であり、神託の民の幹部級の人間たちだった。


「バルド様、ご安心ください!我々が加勢いたします!」

ローブの男女は、健一を取り囲み、それぞれが闇の魔術を放った。

闇の波動、闇の雷、闇の炎。

あらゆる属性の闇魔術が、健一へと降り注ぐ。


しかし、健一は動じない。

無双剣 虚無は、全ての闇魔術を吸収し、健一の力へと変換していく。


「お前たちごとき、数が増えても無駄だ」

健一は、剣を一閃する。

虚空属性の斬撃が、ローブの男女を一掃した。

彼らは、健一の剣の前に、まるで紙切れのように切り裂かれ、光の粒子となって消滅した。


バルドは、仲間たちが一瞬で倒される光景を目の当たりにし、完全に戦意を喪失した。


「ば、馬鹿な……。

こんな、こんな化け物、いるはずがない……!」

バルドは、恐怖に震えながら、祭壇の奥へと後ずさった。

彼の闇の魔力も、既に尽きかけていた。


「お前には、話してもらうことがある。

王都の、この世界の真の闇についてな」

健一は、バルドの変身を解除し、彼の身柄を拘束した。

健一の精神干渉スキルは、もはやバルドの抵抗を許さない。



バルド軍事顧問は、セレスの父を陥れた黒幕であり、神託の民の王都での幹部であった。

彼が捕らえられたことで、王宮内は騒然となった。


健一は、バルドから得られた情報を、王国の宰相と、王族の一員である王女と共有した。

王女は、若く聡明な女性だったが、今回の事件で深く心を痛めていた。


バルドの記憶から得られた情報は、王都の闇が想像以上に深いことを示していた。


神託の民は、ロゼッタ王国の建国以前から存在する秘密結社であり、王国の高官や貴族の中にも、彼らのシンパが多数潜伏しているという。

彼らの最終目的は、王都の王家の宝珠を無力化し、王都の結界を完全に破壊すること。

そして、異界から「真の神」を降臨させ、世界を浄化することだった。


「浄化とは名ばかりの、世界破壊計画だな」

健一は、眉間に皺を寄せた。


「しかし、バルド軍事顧問を捕らえたことで、王都の危機は一時的に去りました。

佐藤様、重ね重ね感謝申し上げます」

宰相は深く頭を下げた。


「いえ、まだ終わりではありません。

バルドは末端の幹部に過ぎない。

彼の背後には、さらに強大な存在がいます」

健一はそう告げると、王女に直接問いかけた。


「王女様。

王家の宝珠について、詳しく教えていただけますか?」

王女は、健一の言葉に驚いた表情を浮かべたが、すぐに頷いた。


「はい。

王家の宝珠は、王都の地下深くにある聖なる洞窟に安置されています。

それは、古代の賢者によって作られた強力な魔術の結晶であり、王都全体の結界の中核を担っています。

しかし、その宝珠は、王家の血を引く者でなければ触れることすらできません」

「なるほど。

つまり、王家の血を引く者が、宝珠を無力化すれば、王都の結界は完全に崩壊するわけだな」

健一は、神託の民の次の狙いを確信した。

彼らは、王家の血を引く者、あるいは、その能力を奪う術を探しているはずだ。


「しかし、ご安心ください。

宝珠は厳重に守られており、王族の血を引く者が、そう簡単に裏切るはずは……」

王女の言葉を遮るように、セレスが口を開いた。


「いいえ。

王女様。

神託の民は、私たち王族の血を引く者を狙っています。

現に、わたくしの父は、冤罪によって排除されました。

そして、王家には、王女様の他に、もう一人、王族の血を引く者がいます」

セレスの言葉に、宰相と王女は顔色を変えた。


「まさか、王女の妹君であるリリア王女のことか!?」

宰相が驚愕の声を上げた。

リリア王女は、病弱で、王宮の奥で静養していると聞かされていた。


「はい。

リリア王女は、病弱ではありますが、王家の血を最も濃く受け継いでいます。

もし、彼女が神託の民の手に落ちれば……」

セレスの言葉に、王女は蒼白になった。


「リリアが!?そんな、ありえない……」

健一は、バルドの記憶の中に、リリア王女に関する断片的な情報があったことを思い出した。

バルドは、リリア王女の病の治療を装って、彼女に接近していたのだ。

そして、その病そのものも、神託の民による魔術的な干渉である可能性が高い。


「リリア王女が、神託の民に利用されている可能性がある。

早急に彼女の身柄を確保し、保護する必要があるな」

健一はそう告げると、王女に顔を向けた。


「王女様。

リリア王女の居場所を教えていただけますか?」

王女は、健一の言葉に頷いた。


「はい。

リリアは、王宮の離宮にある、静養用の館におります。

しかし、そこは厳重な結界が張られており、簡単には入れません」

「結界なら、心配ない。

アリアとセレナの専門分野だ」

健一は、アリアとセレナに視線を向けた。

二人は、健一の言葉に力強く頷いた。


こうして、健一と無双の老兵団は、王宮内のさらなる闇へと足を踏み入れることになった。

彼らの次の任務は、神託の民に囚われたリリア王女を救い出し、王都の真の危機を未然に防ぐことだった。



その夜、健一は、王女から渡された王宮の地図を広げていた。

離宮は、王宮の北側に位置する、広大な庭園の中にある。


「ここか……。

確かに、厳重な結界が張られているな」

アリアが、空間魔術で結界の構造を分析していた。


「この結界は、古代の魔術式で構築されています。

強力な魔術師が複数いないと、解除は困難です」

セレナも、魔力感知で結界の強度を測っていた。


「ですが、健一様の魔力があれば、解除は可能です。

わたくしとアリアで、健一様の魔力を増幅させ、結界を突破します」

健一は、仲間たちを見渡した。

フィーナ、ルナ、リルム、セレス。

皆、健一の言葉を信頼し、次の任務へと目を輝かせている。


「よし。

全員で向かうぞ。

リリア王女を救い出す。

そして、神託の民の王都浄化計画を完全に阻止する」

健一は、無双剣 虚無を腰に差した。

彼の心の中には、新たな決意が燃え上がっていた。


「神託の民……お前たちの企みは、この俺が、全て打ち砕いてやる」

健一と無双の老兵団は、闇に包まれた王都の夜空の下、離宮へと向かった。

彼らの戦いは、まだ始まったばかりだった。


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