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第24話 推しの新任務はミアの警護(泊まり込み)です。しばらく会えません


アキから強制的に引き離し、市井を見回りしながら話すウィルとアレン。

ポップコーンをポリポリ食べるローブ姿と男と、騎士団長の組み合わせは市民の目を引くらしく、明け透けにチラチラ見られていた。



「アレン。君、何でああなっちゃうの?アキちゃんを何だと思ってるわけ?」

「え?好きな人です」

「………本当に残念な子だね」



その顔でそのセリフを言えば終わりなのに。

疲れたように目頭を揉んだウィルフレッドがため息混じりに呟くが、本人は「?」という顔で首を傾げる。



「それで?今日はどうしたんですか。用事がないなら、俺は失礼しますが」

「あのねぇ。俺は忙しいんだよ。用事があるから会いに来たのに」

「ポップコーン片手にですか?誰に会う予定で?もしかして…」

「君だよ君。誰だと思ったの。全く、恋するとポンコツになるんだね」



ムッとするアレンだったが、少なくともアキに会いにきた訳ではないと分かり、ようやく表情を崩した。



「早く要件を仰って下さい」

「さっさとアキちゃんの元に行きたいの分かるけどさ。一応君の主上なんだよ?……まあ、良いや。新しいお仕事だよ」

「はあ」



柔和に笑う(口元だけ)にいい思い出はない。

思わず怪訝そうな表情をしたところで。



「要人警護だよ。昨日舞踏会で紹介した、隣国の視察者だ」

「? 舞踏会ですか」

「あれ?見てなかったっけ」



首を傾げるアレン。

それはそうだ。昨日の舞踏会では主にアキを追いかけていたのだから。



「まあ良いや。後で資料送るから見といて。引き受けてくれるよね?」

「……いつまでですか」

「即答してくれないの?そうだな、2週間程だよ。…その間、王宮に泊まることになるけどね」

「………」



アレンの端正な顔が分かりやすく曇る。その眉間には皺が寄っていた。

いくら仕事とはいえ、2週間も王宮にいる……という事は、それだけアキに会えないのだから。

いつまで経っても答えないアレンに、ウィルは小さくため息を吐く。



「実は、アキちゃん王宮にスカウト中なんだ」

「ーーーっ!?」

「クビにされたらおいでって言ったけど…この調子だと、アキちゃん逃げ出したくなっちゃうね」

「!どういう……」

「アレン。暫くアキちゃんと離れて、落ち着いて考えなさい。このままだと告白される前にフラれるよ」



ビクリと大きく身体が揺れるアレン。

むしろ告白して、既にフラれてる。

などと言えず押し黙る。



「……2週間だけです。その後は、他の者に変わりますからね」

「良いよ。……まあ、そんなに掛からないさ」



少しだけ気になる間を開けて言ったウィルは、ようやく貰えた了承に気分が良くなったのか「ふふ」と微笑んだ。



「では、明日から仕事始めだよ。警護対象はミア・ナディア嬢だ。…よろしくね?アレン」



ヒラヒラと手を振り、食べかけのポップコーンをアレンに渡すと、市民に紛れて消えていった。



「……?どこかで聞いたか…?」



ここ最近、耳にした名だ。


(……あ)


昨日会ったばかりの、あの青い髪の令嬢か。

確か、アキがしつこく追いかけろと言っていた…。


(……?確かに美しい令嬢だったが)


アキが“あれほど”しつこく言った理由はわからない。何か裏があるのか、それとも…?


(……まあ、どうでも良い。…それより……)


アレンは深いため息と共に、アキがいるであろう商業街に目を向けるのであった。







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